第24話 対峙
1時間ほどして病室へ戻って来た夫…。
何から話していいか分からない様子で、しばらく沈黙が続いた…
「…博子、相手の山田君…だったかな…意識不明の重体だそうだ…」
何も言えない私は、ただ涙が溢れそうになるのをぐっとこらえていた…
「…山田君に非があるわけでなく、対向車のトレーラーがカーブを曲がりきれず、突っ込んできたらしい…。でも、とっさにハンドルを左にきってくれたおかげで、おまえは助かったんだと思う…」
それを聞いたとたん、ぷつんと何かが私のなかで切れたようで、涙がとめどなく溢れ出た…
自分が危なくなるのが分かってて、私のために精一杯のことがとっさにできるなんて…本当に山田くんらしい…
何だか、すぐそばに山田くんがいるような気がして、いるはずのない彼の姿を探してしまった…
「…こんなときに…と思うんだが、いつからなんだ?山田君との…」
最後まで言いたくなかったのか、語尾を濁した夫…
事故に遭ったのも、もちろんショックだっただろうけど、男と一緒だったことの方が、きっとショックだったに違いない。
怪我のため話しづらい私は、ゆっくり時間をかけて正直に話した…私の話を静かに聞いていた夫は、
「…博子、おまえは、あいつが好きなのか?」
さっきまで
「山田君」だったのが
「あいつ」になっていることに驚きながらも、ゆっくり頷いた…
「…家族…子供たちを捨ててまで一緒になりたいか?」
その質問には答えられず、黙って俯いてしまった…
主婦 博子の恋をHAPPY ENDにするべきか…思案中です。最後まで見届けてくださいね(^0^)/