第22話 悪夢のような…
「家の方、大丈夫…?」
心配そうに私を覗き込む山田くん。
「大丈夫よ、晩ごはんは昨日のカレーだし…」
と明るく答えた。
すっかり暗くなってライトアップされた高速を走りながら、私はさっきの光景を思い出していた…。
きっと今日という日は、一生忘れられないだろうな…そんなことを考えながらぼんやり外を眺めていると、運転席から声を掛けられた…。
「…大丈夫?疲れた?」「うん、大丈夫…」
「1時間くらいかかるから、眠っててもいいよ…」
「ありがとう…疲れたらそうするね…」
こういう山田くんの気遣いも嬉しかった…。
しばらく窓から規則正しく並ぶライトを眺めているうちに、私は、いつの間にか眠ってしまった…
けれど…しばらく眠っていた私を起こしたのは、体中に響く衝撃音だった…
一瞬、何が起こったか分からず、なぜか動かない体に驚きながら、ゆっくり目を開けてみた…が、目の前の事実が信じられず、そのまま気を失ってしまった…
本当に信じられない光景だった…
粉々に割れて失くなったフロントガラス…
目の前にあるはずのない、運送トレーラーのボディと散乱した車の部品?や荷物…
なにより、隣にいるはずの山田君の姿が…ない!
動かない首の代わりに、精一杯視線を向けるものの、視界の中にその姿を捕らえることはできなかった…
きっと気を失うまで数秒足らずのこの光景は、まさに悪夢のようだった…
今、やっと自分の状況が少しずつ分かってきた…
帰り道、私が眠っている間に事故に遭ったんだ…
一応、私は助かったみたいだけど、山田くんは?
山田くんは、どうなったんだろう…?