第3話 面接
翌日、さっそく電話をかけた。面接の電話をかけるのも10年ぶりなため、内心ドキドキしながら、コール音を聞いていた…。
トゥルトゥルトゥル…トゥルトゥルトゥル…
10コールは鳴らしたのに誰も出ない…。あと10コール鳴らしても出なかったらかけ直そう!と思っていると、やっと繋がった。
「…すいません、お待たせしました…ビルメンテナンスサービスです。」
女性の事務員が出るのかなぁと思っていたので、予想外に若い男性の声に、またさらに緊張してしまった!
「…あの、お忙しいところすみません…求人広告を見てお電話したのですが…」
少し上ずった声で答える私。
「希望勤務先は、どちらですか?」
「えっと…先日オープンした温泉なのですが…」
…と、なんとか無事に面接の約束をして受話器を置いた…。
忘れないうちにカレンダーへ赤丸をつけて、力が抜けたようにソファー沈み込んだ…
「このぐらいで緊張してて大丈夫かしら?…」
一抹の不安を感じながら、面接の日を待った…
3日後、スーツを着て面接に向かった私。通された会議室には、私より少し年上らしき課長さんが座っていた…。疲れた表情ながら温厚そうな課長さんは、履歴書に目を通すと、
「体力的な仕事ですが、大丈夫ですか?」
と聞いてきた。
「毎日、家事で鍛えてますから…」
と笑顔で答えると、
「じゃ、いつから勤務できますか?」
との質問。具体的な日にちを決めてなかった私は、とっさに…
「今週末から大丈夫です!」
と言ってしまった。
「それじゃ、土曜日からよろしく!」
呆気なく仕事が決まった瞬間だった…