第17話 変更…
「…いいよ」
やっとのことで出た一言。あまりにも小さな声だったので、
「えっ!何?」
と聞き返された。
もう一回言うのも恥ずかしかったけど、
「明日、空いてるよ…」
と言ってうつむいてしまった…。だって嬉しさと恥ずかしさで、山田くんの顔もまともに見られないから…。でも、どうして私とデートなんだろう…?
そんなことを考えながら、山田くんの言葉を待った…。
「本当?じゃ…映画でも見に行く?」
「えっ?!映画?」
昨日の今日で映画を見に行く気分じゃなかったけど、山田くんの提案を断ることもできなかったので、待ち合わせの時間と場所を決めて、その日は別れた…。
眠れないまま、朝を迎えた私…。でも、いつものように朝の支度をして、夫と子供たちを送り出した…。
ひとりになってホッとしたのもつかの間、携帯が鳴った…。
「おはよう!」
いつもより元気のいい声。ちょっとびっくりしながら、
「おはよう、山田くん」
と私。
「あのさ、デートの件だけど…」
やっぱり、断りの電話かな…?そう思いながら、耳をすましていると、
「明日じゃなくて、今日今からはどうかなぁ?天気もいいし…映画じゃなくてドライブとか…」
急な変更にとまどいながらも、断る理由もなかったので、最寄の駅まで迎えに来てもらうことにした。
電話を切ったあと、急いで片付けて支度にかかった。
「どうしよう…何着て行こう…」
夫以外の人とデートなんて何年ぶり?
それも相手は自分よりも10コも年下。
あんまりオバサンぽくならないように、かと言って若作りしすぎもなぁ…なんて考えながら服を選ぶ私。
なんだか独身の時みたいだなぁ…
なんとか時間までに支度して急いで家を出た…