第15話 決心
さっき諦めよう…って決めたのに、たった一通のメールで揺らいでしまうなんて…我ながら意志の弱さに笑ってしまう…。
でも、眠いのを我慢して、バイトの終わる頃にメールをしてくれる心遣いが嬉しかった。バイトを休んだことや彼女とのデートのことなど負い目があるのかもしれないけど、今の私にとって、そんなことはどうでもよかった…。
やっぱり、山田くんが好きなんだ!無理に忘れることはできそうにないし、第一、山田くんは私のことなんて恋愛対象としてないかもしれない…。私の片思いだとしたら、韓流スターに恋するのも、同僚に恋するのも同じじゃない?
考えてるうちに、思考回路がおかしくなっちゃったのか、変なこじつけみたいになってる自分がおかしかった。
けれど、夫もいて子供もいて、もうすぐ介護が必要になる親がいて…自分の人生はこの場所から動かせないけど、心だけは自由でいたい!
だから、片思いでもいいじゃない!山田くんの興味が失せるまで、メル友でも同僚でもいい!そばにいて見つめていたい!
今の自分の正直な気持ちを再確認して何だかスッキリした私。数時間前、あれだけ落ち込んだり悩んだりしていたのが嘘のよう…
もう悩まず、まっすぐな気持ちで山田くんのことを見つめていこう!家族と同じように大切な人だから…
そう決心したら、気持ちも穏やかになって自然と笑みがこぼれてきた。
「さあ、急いでかえらなくっちゃ!」
そうして車を発車させた…