第12話 夫のこと…
「だって子供じゃん…」
私は、そうつぶやいた。実際10コも年下の彼。男性として好きなのか、子供や弟を思うように母性をくすぐられて好きなのか、今は分からない。
恋愛に年齢は関係ない!なんて言うけど、本当にそうだろうか…?真剣になればなるほど、悩んでいる人は多いんじゃないんだろうか?
ふと夫のことを考えた。そう言えば、出会ったのは私が20歳で夫が35歳だったっけ…。バツ1だった夫が落ち込んでいたのを見て、食事に誘ったのが始まりだったけど…付き合い始めてもなかなか手を出さなかったっけ…(笑)
最初は真面目な人なんだぁと思ってたけど、きっと今の私みたいに悩んでたのかもしれない…
そう考えると、この10年、子供を育てるように優しく夫なりに見守ってくれてたのかもしれない…
口数の少ない人だから、本当の気持ちは分からないけど、何となく夫のことが分かったような気がした…
そんなことを考えると、たまたま若い男の子が、私に興味を持ってくれたことを、単純に浮かれてていいんだろうか…?
「現実はドラマみたいに単純じゃないもんなぁ…」
携帯を眺めながら返信しようか悩んでいると、電話が鳴った…
「もしもし…」
「山本さん?おはよう…」
山田くんからだった。
「メールの返事がないから電話したんだ!」
と弾んだ声。
「ごめん…ちょっと考えごとしてて…」
「それって俺のこと?」
冗談ぽく言う彼に
「さぁ…それは内緒!」
とはぐらかした…