第1部 2章
『キン、コン、カン、コン』
学校の授業が終わり、放課後がやってきた。
生徒達が帰宅している中で一際目立つペアがいた。
コウとリンダだ。
二人は毎日と言っていいほど一緒に帰っていた。
その光景は、誰から見ても羨まれるベストカップルに見える。
すれ違う人のほとんどが二人を見ていた。
二人は馴れていたので、もう気にはしていなかった。
「ねぇ、コウ。今日暇?」
「今日はトシと遊ぶ約束してるから、暇じゃないな。」
「そうかぁ、それじゃ仕方ないか・・・。じゃあまた明日ね。」
そのまま寂しそうにリンダは帰っていった。
コウが自宅に着くと玄関の前でトシが待っていた。
「よう!遅かったな。」
「お前が早いんだよ。まぁ、中に入れよ。」
そして二人は雑談をしながら部屋に入った。
「まだ、お前達付き合ってないのか?」
「付き合うって俺とリンダか?何言ってるんだよ。あいつは幼なじみだぜ。」
「はぁ。まだ付き合ってないのか。」
トシは呆れた風に呟いた。
「リンダはまだ言ってないのか・・・コウは恋愛方面は疎いからな・・・。」
「ん?何か言ったかトシ?」
「いや、今日も疲れたなーて呟いただけだよ。」
トシは笑いながらごまかした。
「今日も疲れたよな。ところで、今日言ってたいい物ってなんだ?」
コウが聞くと不敵な笑みを浮かべてトシは手に持っていた一冊の本をコウに渡した。
それは本というより辞典みたいな厚さで、表紙には見たことの無い文字が書いていた。
「・・・なんだコレ?」
「ふふふ、聞いて驚け。この本は親父の部屋から見つけてきた『魔法の書』なんだ。」
トシの親父は冒険家だ。
家に居るよりも旅をしている時期が長く、今もどこかに行って帰ってきていなかった。
「魔法ってよくゲームの中に出てくるやつだよな?」
「あぁ、多分ね。でも、見たことの無い文字で書いてあるから全然読めないんだよな。」
「読めないのにどうして『魔法の書』ってわかるんだ?」
トシは考えながら答えた。
「それは長年の俺の勘さ!」
コウは呆れながら話しを続けた。
「・・・勘でも癌でもいいから、そんな物持って来てどうするんだよ。」
「俺、いらないからお前にやるよ。」
「読めない本はいらないぜ。」
「まぁまぁ、いいからいいから。机に置いとくからな。」
そしてトシは机の上に本を投げ捨てた。
「さてと、用件も済んだ事だし、今日は他にやることあるから帰るわ。」
トシはそのまま満足顔で帰っていった。
「あいつはこの本を処分するために来ただけか!」
そして1日の終わりを示す夜がやって来た。
小説を書き初めてすぐなのに、感想もらって、嬉しがってる雪斗です!
色々と指摘もされたので、その辺を少しづつ変えて行きますので、これから期待しててください!