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しろうさぎと、くろうさぎと、あおいとりのおんがくかい

作者: 篠原 ひなた

 このものがたりは、すべてひらがなでかきました。

 たのしんでいただけたら、うれしいです。


 なんのへんてつもない、ありふれたあさでした。

 2わのうさぎが、はなをくんくんとうごかしながら、めをさましたのは。


「ああ、よくねたもんだね」


 けづくろいをしながら、しろうさぎがいいます。


「うん、ぐっすりねたね」


 みみのあたりでとびはねた、くせっけをなめながら、くろうさぎがわらいます。

 2わは、ひとしきりけづくろいをすませると、ふんふんとはなをうごかしました。

 あさつゆにぬれた、ごちそうのかおり。

 もうそれだけで、うきうきです。


「「でかけよう」」


 すあなを、あたりをうかがいながら、とびだして。

 いつもののはらへ、かけだします。

 あっちのなずなをかじかじ。こっちのぎざぎざのたんぽぽも、かじかじ。 

 ひとしきりわらって、おもうぞんぶんころげまわって。

 にわはぼんやりと、そらをみあげました。

 つきぬけるようなあおのなかに、もくもくとうかぶ、おおきなくも。

 あつくなったみみのそばを、すずやかなかぜがとおりぬけます。


「ねえ、なにかきこえないか」


 しろうさぎが、みみをぴくっとうごかしながらいいました。


「なんだろう。きれいなおとだね」


 2わは、かおをみあわせます。


「「いってみようか」」


 ほぼおんなじたいみんぐで、2わはいいました。

 どっこらしょ、とたちあがって、おとのするかざかみのほうへ。


 とっとこったったか、

 とっとこたったか。


「やっぱりきこえるね」

「うん、こっちからだ」


 おがわを、ぴょんととびこえて、あざみのしげみをよけて。

 2わがたどりついたのは、のはらのはしっこ、ゆずりはのきのした。


「ここらへん、なんだけどなぁ」


 みみをすませば、

 すぐそこからきこえる、おと。


「あ、あれかしらん?」


 しろうさぎが、しめしたのは。ゆずりはのすぐそば。

 まるくてしろいからだに、きらきらひかるまるがいくつか。

 かぜにゆれたはっぱが、きらきらひかるまるとこすれて、しゃらん、しゃらん。


「なんだろう」

「ね、なんなんだろう」


 2わはかおをみあわせて、それからくちをひらきました。


「こんにちは。

 あなたは、だあれ?」


 でも、へんじはありません。

 2わはかおをみあわせて、もういちどだけあいさつをしてみました。

 けれど、やっぱり。

 へんじはかえってきませんでした。


「いきもの、じゃないのかな?」

「どうだろう」


 そっとちかづいたくろうさぎが、まえあしできらきらしたまるにふれてみました。


 しゃらん、しゃららん。


「・・・もしかして、これは“がっき”っていうのかもしれないぞ」

「がっき?」

「いろんなおとがでる、きやいしのことをそういうんだって」


 なるほど。

 と、くろうさぎはうなずきました。

 なんたって、しろうさぎはものしりです。

 そのかれが“がっき”というなら、そうにちがいありません。

 あなたは、きっとこのがっきをしっています。

 たたくとおとがする、あれ。

 そう。

 2わがみつけたのは、たんぶりんだったのです。


「ところで、“がっき”ってどうするものなんだろう」

「うーん・・・」


 しろうさぎとくろうさぎは、たんぶりんをまえにあたまをかかえました。


 そのときです。

 ざぁぁぁぁ、と

 つよいかぜがふいたのは。

 とっさに、2わはぎゅうっとめをつぶりました。


 とん、しゃらん、

 ととん、しゃららん


 とたん、きれいなおとがあたりにひびき。

 2わは、ぱっとめをあけました。


「ね、いまの」

「うん、“がっき”、だよね」


 そっと、たんぶりんをみやれば。

 まわりに、ぱらぱらときのみがおちていました。


「そうか!」


 しろうさぎが、めをきらきらさせました。


「きのみだ! 」

「そうか! きのみか!!」


「「きのみが、

  あの“がっき”をならしたんだ!!」」


 しろうさぎとくろうさぎは、かおをみあわせてにっこり。

 それから、それぞれに。

 すぐちかくのきのみをくちにくわえて。

 ちょろちょろ、っとたんぶりんにちかづきます。

 そうして、そうっと、きのみをくちからはなすと。


 とととん、とん。

 しゃら、しゃららん。


「やった!」

「やったね!!」


 2わは、とびあがってよろこびました。

 そのままおどりだしたっておかしくないような、こころもちでした。


 ぽとん、とんとん。

 ぽとん、しゃららん。


 くりかえし。くりかえし。

 2わはきのみをおとしました。

 しろいところは、ひくいおと。

 きらきらのところは、たかいおと。

 おおきなきのみは、おおきなおと。

 ちいさなきのみは、ちいさなおと。

 2わは、とにかくむちゅうで、きのみをおとしつづけました。


 ふ、と。くろうさぎのみみがぴくりとうごきます。


「ね、なにかきこえないか?」

「へ?」


 くろうさぎのことばに、しろうさぎもみみをぴくぴく。


「うえから、だ」


 2わは、そらをみあげ。

 とってもびっくりしました。

 だって、このあいだのあおいとりが そらをとびながらうたっているのですから!


「このあいだは、ありがとう。

 おかげで、とべるようになったわ」


 そう言うと、あおいとりはまたうたいだしました。

 それはそれは、うつくしいうたごえで。

 きいているだけで、どきどきしてくるような。

 からだが、かってにうごきだすような。


 2わはますますたのしくなって、きのみをどんどんおとしました。


 しろうさぎと、くろうさぎ、そして、あおいとり。

 3わのおんがくかいは、いつまでもいつまでもつづいたんですって。




はじめまして。もしくは、おひさしぶりです。

水音灯あらため、篠原ひなたです。

しろうさぎとくろうさぎの物語は、いつかつづきをかきたいとおもっていました。

つづきは、やさしくて、たのしいせかいにしたいな、とも。

こんかい、そのものがたりをかくことができてうれしいです。


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