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夢見の林檎

掲載日:2026/03/02

すみません! 異世界恋愛は今日もお休みさせてください!

今日は童話です~!

 とある小さな町には林檎がなる木が集まった果樹園がありました。

 その町でなる林檎は他の場所でなる林檎とは違った、不思議な林檎でした。


 普通、林檎といえば赤色ですが、この町では赤色よりも黄色や桃色、緑色などの林檎がよくなりました。そして、町の人たちの好物も、赤色以外の林檎でした。

 赤色以外の林檎は、食べた人に素敵な夢を見せてくれるのです。


 黄色なら元気いっぱい、楽しい夢。

 桃色なら素敵な王子様と恋に落ちる夢。

 緑色なら、森の中で日向ぼっこするような穏やかな夢。


 町の人たちはそれらに夢中でした。

 そしてその町に住む男の子サムもまた、素敵な夢を見られる毎日が大好きでした。




 ある日のこと、サムは桃色の林檎を食べて眠りました。

 友達のリリーと道端で走り回る夢です。追いかけっこの途中、リリーはサムに野花で作った指輪をくれました。

 サムはそれが嬉しくて、大事にすると誓いました。

 しかし、目が覚めるとリリーがくれた指輪はどこにもありませんでした。

 勿論現実のリリーも、サムの夢の話など覚えてはいませんでした。


「ねぇ、どうしたら夢の出来事を現実にも持ってこられるの?」


 サムはお母さんにそう聞きました。するとお母さんは首を横に振ります。


「夢のものを現実に持って帰ることはできないのよ。でも、悲しがることはないわ。同じ林檎を食べれば、同じ夢も、夢の続きも、いつだって見られるのだから」


 サムはなるほど、と頷きました。

 現実のリリーが覚えていないのならば、夢のことを覚えているリリーと、夢の中で出会えれば良いのです。

 それからサムは現実ではリリーと遊ばなくなりました。それどころか夜だけではなく、朝も昼も眠るようになったのです。

 そしてそれは町中の人たちも同じでした。

 一人、また一人と町の人たちは眠り続けるようになり、やがて町は静まり返るようになりました。




 ある日目が覚めたサムは、町があまりに静かなので、寂しさを覚えました。

 その寂しさから逃げるように林檎を食べようとしましたが、家の林檎は食べきってしまって空っぽだったので、果樹園まで林檎を取りに行かなければなりませんでした。


「誰もいないのー?」


 サムは心細さから、辺りに声を掛けながら歩きます。しかし返事はありませんでした。


 夢の中では、サムが望めば返事をしてくれる人なんていくらでもいました。

 しかし現実はサムの思った通りにはなってくれませんでした。

 サムは泣きそうになりながら、果樹園まで走りました。


 そして数えきれない程の林檎の木が並ぶ景色が、目の前に近づいてきたその時です。

 サムは、果樹園から走ってきた女の子にぶつかりました。

 二人はその場に転んでしまいます。


「ごめんよ」


 相手に手を差し伸べようとしたサムはそこでようやく、ぶつかった相手が友達のリリーであることに気付きました。

 リリーも同じです。驚いたようにサムを見ています。


「リリー!」

「サム!」


 二人は自分以外に起きている人を見つけた喜びから抱きしめ合い、安堵から涙を流しました。

 そして一しきり泣いて、気持ちが落ち着いた頃。サムはあることに気付きます。


「ぼくは、毎日会って、毎日楽しいことをしてくれる、夢の中の君も好きだけど……変だな。今君に会えたことの方が夢の時よりずっと嬉しいし、今の君の方がずっと好きなような気がするよ」

「私もそうだよ。サムと色んな場所を冒険したけど、いつもの町でサムに会えたことがすっごく嬉しいの。不思議だね」


 二人は自分たちが得た気付きについて話し合い、そして悟りました。

 思い通りにいく夢は、心が傷ついたりはしないし、楽しいことでいっぱいです。

 しかし思い通りにいかない現実は悲しい思いをする反面で、夢の中よりもずっとずっと嬉しいと思えることが隠れているようなのです。


 サムとリリーは話し合って、このことを町の人たちへ伝えることにしました。

 二人は手を繋いで町を歩き回ります。

 そして林檎の夢から目覚めた人たちから順に、自分たちの発見を話しました。


「夢の外は思い通りにいかなくて、悲しいこともあるけど、その分夢の中よりも大きな喜びがあるんだ! それに大事な人に触って、温かいなって思えるのは夢の外だけだし、大切なものがきちんと残ってくれるのも、夢の外だけなんだ。ぼくは、みんなと夢の外で暮らしたいよ」


 彼の必死の訴えは町の人たちに大きな気付きを与えました。

 夢では手に入らないようなものが、現実にはたくさんあったということを、みんなは思い出したのです。




 それから、町の人は夢を見る林檎を食べるのをやめることにします。

 まず、町の人たちは赤色以外の林檎を育てることをやめました。

 それから夜に寝て、朝に起きる、規則正しい生活を送るようになり、眠るまでの時間はたくさんの人と話して過ごすのです。

 そんな、思い通りにいかなくとも穏やかな日々を送っていく内、いつしかみんなは赤色以外の林檎のことを忘れていきました。

 こうして世界には赤色の林檎だけが残ったのです。




 赤くて、シャキシャキとした歯ごたえがあって、甘くておいしい。

 それだけが今の林檎にある常識なのです。

最後までお読みいただきありがとうございました!


もし楽しんでいただけた場合には是非とも

リアクション、ブックマーク、評価、などなど頂けますと、大変励みになります!


また他にもたくさん短編をアップしているので、気に入って頂けた方は是非マイページまでお越しください!



そしていつも異世界恋愛を楽しみにしてくださっている方々すみません&お休みありがとうございます……!

お休み頂いている分、沢山素敵なご報告が出来るよう裏でせっせか頑張らせていただいております故、何卒……っ、何卒……っ!(懺悔)

3月は本当に予定が落ち着く予定なんです! 本当なんです!信じてください!!!!;;;

明日は異世界恋愛更新できるよう頑張ります!

よろしくお願いいたします!


それでは、ご縁がありましたらまたどこかで!

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