シャンディラ編4
続き
そして今俺は路地裏を歩いている。
街とは正反対な静寂が場を支配している。
誰であれこの場所の異常性は気付くであろう。
こういう場所は危険だと嫌というほど知っているが、こういう場も知るべきだと過去の経験が言っている。
むしろこっちの方が落ち着く。
「...あ」
小さな声が足元から聞こえる。
手を広げる子供。
物乞いだ。
善意に従えばここでお金を与えるべきなのだろうが、渡せば他の物乞いがこちらに寄ってくる。
そうなれば面倒だ。
「...」
気付かないふりをして通り過ぎる。
これがこの場の最適解である。
「ゴラァ!!待てやァ!!」
静寂を切り裂くような怒鳴り声。
「...あれ?」
さっきの輩だ。
少しついていき覗くとフードを被った小さな女の子の胸ぐらを掴み持ち上げている。
「...八つ当たりかよ。」
こういうのも無視が一番だ。
俺は別に人助けしに来たんじゃない。
実際さっきも物乞い見捨てた。
「すまないな。」
「助けてパパ!ママ!」
「......」
嫌なタイミングで思い出す。
あの時の記憶。
思い出したくもない記憶。
「クソガキ!返せ!俺の金!」
そんなこと言いながら殴っていた。
(あの女の子スリなのか...なら捕まって当然だ。あんな風貌のやつにバレたら殺される。殺されて当然だ。)
「それは君だからだよ。」
「....グゥ!!」
何故か頭が痛い。
割れそうだ。
「...助けて」
「..........ッ!」
女の子の声、少女の声。
やはり命は、死は平等ではない。
「おい、待てよ。」
「ああ?」
輩の後ろに立ちはだかる。
「誰...?」
女の子が問いかける。
姿を見るとボロボロのフードを被っている。
幼さは感じるるものの、何故か別のものも...
「誰でもいいだろ。『助けて』って言ってたろ。だから助ける。」
「おいお前。マジでクソだな。さっきは油断した。ぶっ殺してやる。」
「ちょっと待てよ。別にお前と喧嘩しに来たわけじゃない。」
「ああ?!てめえが突っかかって来たんだろうが?!今更ビビって尻込みか?」
「よく考えてみろ。お前金取られて困ってんだろ?」
「そうだ!スリだよこのガキ!」
「おい!女の子。返してやれよ。」
俺は女の子に問いかける。
ここは穏便に済ませるべきだ。
流石にこれ以上エスカレートすれば問題になる。
「........イ...」
「クソガキ!何が嫌だ!ぶっ殺してやる!てめえもこんなガキ庇う必要ないんだよ!」
輩は懐からナイフを取り出し、女の子に刺そうとする。
「待て!!お前の目的は金だろ!!」
そう言った後輩に向かって貨幣を投げる。
それをキャッチした輩はそれを見て少し驚く。
「き、金貨...」
「ああ、そうだ。価値基準だかレートは分からんが、それで十分か?」
「...ああ、まあな。」
そういうと輩は思ったより素直に女の子を下ろした。
「ほらよ。」
下ろした後俺の方に強く押す。
「...ン!」
俺にぶつかって女の子は少し声を出す。
(痩せている。)
「今日はこれぐらいで見逃してやる。あばよ。」
不気味なほど素直に輩はその場を去る。
俺はそれに違和感を感じていたが彼女の安全の確保と傷の手当ての方が先だとし、とりあえず酒場の店主が話していた教会病院へ向かった




