シャンディラ編2
続き
要塞都市シャンディラ。
世界でも有数の大国アリアトリス王国の首都である。
王国の政治、商業、文化の中心地。
華やかな大通りには出店などが並び、活気に満ちている。
「到着だ!」
圧倒されるほどの迫力の門を超え、聖人はそう言った。
「本当に!ありがとうございました!」
「いいんだよ!長い旅で疲れただろうほら。」
「え?」
目の前の聖人は袋を取り出し俺には差し出してきた。
それを開けると
「金貨...?」
袋いっぱいに入った金貨であった。
「うん!君鞄とか持ってないし、多分一文無しなのかなぁって...いや!ちょっとごめんね!失礼だったかもしれない!」
「いやいやいや!失礼じゃな...え?いや!金貨ってすごい価値あるんじゃ!そんな!受け取れませんよ!」
「いいんだよ。僕いいとこの生まれだし。」
「そういう話じゃないですよ!」
俺がそう言うと聖人は大笑いする。
「ははは!確かに!そう言う話じゃないな!まあ、あれだ。一回渡したものをまた返されるのとこっちの恥になるだろ?僕のためと思って受け取ってくれ。」
「そんな...」
「ははっ!じゃあ僕は騎士団に戻らないといけないからこの辺で。」
「せ、せめて名前でも!」
「僕の名前?サンジェル・アリアトリス。もしまた会ったらサンジェルって呼んでくれ。」
聖人は名を名乗ったあと颯爽と去っていった。
「あと!この大通りの花屋の隣が宿だから!安いしいい宿だぞ!」
こうとも言って聖人は去っていった。
「...なんて優しい人なんだ。どこかで刺されるもんかと。そんなこと思ってた俺が心から恥ずかしい。」
そう独り言を呟き、とりあえず辺りを見渡す。
辺りは人!人!人!
サンジェルさん話によるとここは元々要塞だったとか。
戦争が終わったあと元の首都より兵士含めて人口が多くなって、経済の中心地が完全に変わったからここに遷都したとか。
「とりあえず、サンジェルさんが教えてくれた宿に行ってみるか。こんな大金持ち歩く訳にはいかないし。」
俺は宿を目指すことにした。
サンジェルさんが言っていた花屋を探しながら街の様子を見る。
大通りの様々な人々が笑いながら明るく暮らしている。
だが、やはりここまでの都市となると闇の部分もあるのだろう。
時折ある路地裏には活気がない。
痩せた老婆、子供が座っている。
目の焦点があっていない男性もいた。
どの世界にも闇は存在するのだ。
「そんなもんか。」
そんなもんである。
しばらく歩くと話の花屋を見つけ、その横には行っていた通り宿があった。
「さっすがー。」
宿の扉に入ると中年の男が正面の受付に座っていた。
「...金貨一枚なら四泊できる。」
「じゃあお願いします。」
「...六泊だ。」
「え?」
「...少しぐらい疑え。お前みたいな素直すぎるやつを騙す気にはなれん。ここの街の住人は俺みたいな汚いやつも結構居る。気をつけろよ。」
「あ、はい。」
受付は不思議と掴みどころのないおじさんだった。
でも悪い人ではなさそうだ。
「ハァァァァァ...!!」
別に何日も彷徨ってたわけではないが、疲れがどっと来た。
非現実的、非日常的展開の繰り返し。
身体的疲れというより精神的疲れが大きかった。
そっと目を閉じた。
そんなつもりはなかったが自然と目が閉じたのだ。
そのまま疲れに身を任せ俺は眠りについた。
「そこだ!捕まえろ!」
「クソ!あっちだ!」
「罪を償わせろ!」
「うわあぁぁ!」
アリアトリス王国国王、マーデアス・アリアトリスが殺害された。
跡形もなく炭にされた。
「はあ!はあ!」
その光景を見ていた第一王子サンジェル・アリアトリス。
他の騎士がたじろぐ中一人勇猛果敢に立ち向かった。
「ゴホァ!」
血を吐く。
壁に叩きつけられた。
その後の惨殺。惨殺。
彼はそれをただ見ることしかできなかった。
一通り殺害が終わった後にやっと叫べた。
「...貴様ァ!何者..だァ!」
それは意地だったのか負け犬の遠吠えだったのか。
分からない。
「アムアリーナ=ザール=ハヴァロスゲール。私はこの世界に降りた。終わりの龍。」
そう名乗ったのち、去ろうとした。
「待てぇ!我が名はサンジェル・アリアトリス!騎士として最後の命をかけ!貴様と決闘する!」
皆死に絶えた王の間で叫ぶ。
それは名誉のためでない。
彼の騎士道がそうさせていた。
もう限界のその足が。
もう限界のその腕が。
彼をそうさせた。
しかし...
「待て!待てぇ!貴様!僕を無視するつもりか!」
振り向きもしない。
歩いている。
ただ悠然に。
龍は歩いていた。
悟空




