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1.とある人物から見た元令嬢。








「魔法学園で頑張っておいて良かった! いきなりダンジョンに入って良い、ってのは今後が楽になるわね!!」



 アリシアはそう言いながら、王都の外をしばらく進んだ先にあるダンジョンを目指す。そこは初心者向けに採集ができる森や、ゴブリンで腕試しができる中級者向けの平原とも違った。岩の隙間に掘られた穴、入口付近こそ階段状になっているが、少し進めば岩肌を歩くことになる。出現する魔物も桁違いに凶悪になるとされる『超高難易度ダンジョン』だった。

 その魔窟とも呼べる場所に彼女は単身、一本の剣だけ携えて突入。



「うーん、やっぱり魔素が濃くなってるわね。これは強い魔物がいそう!」



 そして、そんなことを言いながら迷うことなく突き進んだ。

 魔素というのは魔法の源であり、魔物が生きていくために必要な餌というもの。基本的に街中のような場所に、魔素はあまり存在していない。したがって街で魔法を使えるのは、相応の訓練を積んだ者か、潜在的な保有魔力量が多い者に限られた。

 そして魔素が薄ければ、強力な魔物ほど生存することができなくなる。

 すなわち魔素が濃ければ濃いほど、凶悪な魔物が襲い掛かってくる、ということだ。



「まっだかな♪ まだかーな♪」



 それに恐怖を抱くことはないのか、アリシアは鼻歌交じりに突き進む。

 ダンジョンに足を踏み入れ、かれこれ小一時間。あまりにも早すぎるペースで、彼女はその最奥付近まで到達してしまった。新人冒険者ではまず、あり得ない速度。

 だが、この少女に自覚はないらしい。


 ひときわ広い空洞の場所に出たあたりで、何か魔物がいないか捜索していた。

 すると、そんな彼女の期待に応えるように――。



【ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!】



 姿を現したのは紫色に輝くドラゴンだった。

 通常のそれよりも大きな体躯をしたそいつは、一部の冒険者に守護竜ガーディアン・ドラゴンと呼称されている個体だった。その由来というのは、ダンジョン最奥に存在する財宝を守護しているから、という噂によるもの。

 もちろんそんなものが存在している、という確証はなかった。

 何故なら、誰一人としてコイツを倒したものはいないから。



「お、やっと強そうな魔物がでてきた!」



 それを目の前にして、アリシアはなんと笑っていた。

 剣を引き抜き構える姿には、無駄な者は一切ない。その一連の動きから見ても、彼女が相応の剣術使いであるというのは分かった。

 だがしかし、仮にアリシアが一角の天才だとしても。

 そのような常識が通じる相手では――。



「いきます! ――紫電よ、剣に宿りて彼の敵を屠り給え!」



 ――ない、はずだったのだが。

 アリシアがその文言を口にすると、見たこともない魔法が彼女の剣に力を与えた。白き刃に紫の雷をまとい、周囲に稲光が迸る。その光の一端を受けた岩壁は轟音鳴らして瓦解し、地響きはその魔法の威力を物語っていた。

 そして、唸り声を上げるドラゴンに向かって。

 アリシアは手にした剣を振るい、こう叫ぶのだった。




「神の一撃よ、顕現せよッ!!」




 刹那。それまでの雷撃が児戯の如く、世界が光によって漂白された。

 その眩さが取り除かれ、世界に色が戻る。すると――。




「ふう! こんなもの、かな!」




 そこにはもう、ドラゴンの姿は見る影もない。

 ただ、あるのは魔素の結晶の山だった。







 アタシは証拠の品として、微かに残ったドラゴンの鱗を手にギルドへ戻る。

 そして、先ほどの受付嬢に話しかけた。


「えーっと、ダンジョンの奥にいる紫のドラゴン倒しました!」

「ガ、ガーディアン……を?」



 すると何故か、彼女は恐ろしいものを見る表情を浮かべる。

 もしかしたら嘘をついている、と思われたのかも。そう考えてアタシは、



「あ、それなら収納魔法で持ってきた魔素結晶を換金してください!」



 ザラザラと、七色に輝く魔素の結晶をデスクに並べた。

 これだけの量があればきっと、ドラゴンを倒した、という証拠になる。


 そう思ったのだけど――。



「ひ、ひぃ……!?」

「受付嬢さあああああああああああああああああああああん!?」




 受付嬢さんは、何故か気絶してしまう。

 アタシは事態が分からずに、ひとまず彼女に治癒魔法をかけるのだった。




 


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