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篠崎怜には幽霊が見える

■作者からのお願い


【注意‼】本作には最後まで読まないと分からないオチがあります。この作品を読んだ方は、まだこの作品を読んでいない人にオチの内容を言わないようお願いします。それは他の人から楽しみを奪う行為になります。良い子は絶対にやらないで下さい。大人がやった場合は私が直接シバきます。


「わたしって実は、幽霊が見えるんだよね」


 そう言った瞬間、三橋零(みはし れい)の目が点になる。ああ、余計なことを言わない方が良かったかも。だけど、一度口に出してしまったものは仕方がない。


 ああ、失敗した。今日の放課後には、篠崎怜は幽霊が見えると狂言を吐いているなんて噂が広まっているのかな。うわ、最悪。


「もしかして、こいつ中二病だとか思ってる?」

「いや、実際に僕ら中二だからさ」


 三橋はそう言ってわたしをフォローする。実際には痛い奴だとか思っているのかもしれないけど、そう言わないからモテるんだろうな、このイケメン。


 幼馴染のわたし達は幼稚園から仲が良い……というか、わたしが三橋に付きまとっているだけなんだけど。


 地味で読書好きの彼は休み時間になっても他の男子と遊ばずに本ばかり読んでいる。三橋の見た目は本来であればスクールカーストの頂点にいてもおかしくないはずなのに、地味に読書ばっかりしているものだから人畜無害な地味イケメンとして認識されている。


 これだけの美貌(びぼう)があるのに、どうして三橋はそれを上手く使わないのだろうといつもやきもきする。完全なる親視点で。


 そんな風に彼が心配になるのもあって、時々こうやってちょっかいを出している。


「それで、どうなの」

「どうなのって、何が?」


 さっさと読書に戻りたい目の前のイケメンはちょっと面倒くさそうだった。


「わたしが幽霊が見えるって話、信じてないんでしょう?」

「そんなことないさ」

「絶対に嘘。だって、なんか面倒くさそうだもん」


 わたしがそう言うと、三橋が一瞬だけ「ふっ」と息を漏らした。図星だったようだ。


「幽霊が見えるね。素敵なことだよね。友達の少ない僕にとっては素晴らしい能力だと思うな」

「ちょっと、なんで棒読みなの? あんた、絶対に信じてないでしょう?」


 セリフ棒読みの三橋に、思わずわたしはツッコむ。このままだと、秘密を打ち明けたわたしはただの中二病患者で終わってしまう。


「どうしたレイレイ、なんだか楽しそうな感じだな」

「ちょっと、勝手にまとめないでよ!」


 他の男子から声をかけられて、わたしは思わず反論する。篠崎怜と三橋零は両方とも下の名前が「レイ」だから、二人合わせて「レイレイ」と呼ばれることがある。これはわたしと三橋が一緒にいることが多いのもあるけど。


 誰かがわたし達をレイレイと呼び出してから、それがハマったのかみんなが面白がってレイレイという呼び方を使いはじめた。お陰でレイレイはすっかり教室に定着しつつある。


 呼んだ方に悪気は無いのか、わたしの「一緒にまとめるな」という抗議は見事にスルーされる。


「たまにはサッカーでもやろうぜ」

「いや、僕は運動は苦手だからさ」

「ったく、お前がいたらギャラリーの女子も盛り上がるのによ」


 そう言って笑いながら、クラスメイトの男子は去って行った。


「せっかく誘ってもらったんだから行けばいいのに」

「いいんだ。僕はサッカーなんて下手クソだからさ。それに」

「それに?」

「君とのんびりしている方が楽だからさ」

「んっ」


 ――それって、それってどういう意味なの?


 もしかして、わたしって今さりげなく告白された?


 ねえ、ちょっとどうなの?


 そうは思うものの、口には出せずに三橋をじーっと見つめた。彼は何も言わずに読書の時間へと戻っていた。なんとなく、これ以上邪魔はしない方がいいんだろうなって思った。


 どっちにしても、わたしは三橋から相当助けてもらっている。だから彼の嫌がることはしないようにしようって思っている。


 わたし的には爆弾を落としたつもりなのに、最後にはわたしの方がドキっとさせられちゃったな。


 ほんとに、昔っから三橋には勝てないや。

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