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勒枢薇朧の一日

夜明け前の静寂。

枕元の端末を手に取り、昨夜の睡眠の質を確認する。

意外にも、深い眠りを得られたようだ。


(ふん、健康的なことだ。

 だが、それがどうした。)


気怠い身体を奮い立たせ、用意された ToDo リストを消化していく。

無機質なタスクをこなすことで、心の均衡を保つ。


(ああ、今日もまた、同じ一日が始まるのか。)


朝食は、炭酸水のみ。

質素な生活は、心の隙間を埋めるための儀式。


(食欲など、とうに失せた。

 ただ、生きているという証を、確認するだけだ。)


八時間の睡眠は、最低限の休息。

それでも、心の疲労は、容易には癒えない。


着物を身に纏い、仕事に取り掛かる。

昼食は、早めに済ませ、夜は絶食する。


(身体を酷使することで、心の痛みを忘れようとしているのか。

 愚かなことだ。)


目覚めの煙草。二本を同時に火をつけ、肺を満たす。

ニコチンの刺激が、思考を加速させる。


(ああ、今日もまた、煙に巻かれるのか。)



夜。適当に時間を潰し、酒を煽る。

薬を少し多めに飲み、意識を朦朧とさせる。


(ああ、今宵もまた、現実から逃れるのか。)


ここまでで、煙草二箱を消費した。

借金も抱え、まさに屑と言わざるを得ない。


(ああ、私は、何をしているのだろうか。

 それでも、生きている。

 この腐りきった世界で。)


そして、詩を紡ぐ。

心の闇を、言葉に託す。


(ああ、私の詩は、誰に届くのだろうか。)

夜が明ける。

今日もまた、同じ一日が始まる。


(ああ、私は、何をしているのだろうか。)


煙草の煙が、思考を刺激し、薬が心のざわめきを鎮める。

酒をあおり、詩を紡ぐ。


(ああ、私は、何に依存しているのだろうか。)


それでも、私は生きている。

この腐りきった世界で。


(ああ、救われたい。

 この苦しみから、解放されたい。

 誰か、私を。)


月の光が、硝子ガラスを透かし、部屋に影を落とす。

その影は、私自身なのか、それとも別の何者かなのか。


(ああ、孤独だ。

 けれど、この孤独も、悪くない。)


それでも、私は、詩を紡ぐ。

心の闇を、言葉に託す。


(ああ、私の詩は、誰に届くのだろうか。)


この物語が、誰かの心に、少しでも響くことを願う。


私は、勒枢薇朧。

精神病を患い、薬物中毒になってしまった、屑な人間だ。


それでも、私は、詩を紡ぎ続ける。

それは、救いを求める、魂の叫び。

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