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星空で繋がる世界  作者: 江崎涙奈
第2章 目覚め始め
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18.拝謁と見物

 


 アースと遊びに行った翌日。城に呼ばれた本命、才能の目覚めとやらをするには王様に拝謁する必要があるらしい。それらしい格好に着替えさせらたエルナは、アルバとフレイに挟まれながら拝謁室へと足を踏み入れた。


 扉から真っ直ぐに続く絨毯の先、王座に腰掛ける王様の姿と、寄り添う様に置かれた椅子に座る王妃様の姿が。そして、王座の脇にずらりと並ぶのは、見知らぬ5人の男の人とレイス。それを見たアルバは眉に皺を寄せていた。


 お母様に促され、大体4分の3辺りまで足を進め、ちょこんとお辞儀をしたまま名を名乗る。


「かりゅてぃーえりゅな=くりゃいゔ・ありゅで・りゅーんでしゅ」


 舌足らずな幼子にふっ空気が緩んだ辺りで、王様はエルナに顔を上げる許可を与えた。


 さぁ何を言われるのだろうと身構えていると、王様は急に相互を崩して顔を顰めた。


「カルティーエルナよ、普通ならここまで早く儀式をする必要はないのだが、如何せん生まれた家が家なだけに悠長な事が言えん」


 溜息をついて同情の眼差しで王様がこちらを見て来た。


 それって、どういうことでしょうか?


 どこか話の内容に不穏な影を感じて、嫌な予感がびしばしとする。すると、お母様が今思い出したように言う。


「あら、そう言えば我が家訓をまだ言ってませんでしたね」


 家訓?


 そう首を傾げながら、そんなものあったんだとどこか呑気なことを考えつつ、お母様の次の言葉を待つ。


「クライヴ家、家訓第二箇条"生まれて1年経ったら己が秘めた才能を目覚めさせ、3歳になるまでに武術、魔術を己がものとし、5歳までには己が主を守るべし。"という代々伝わる家訓があるのです」


 はい?


 耳から入ってきた情報は、余りに現実味のない規格外な家訓だった。信じられずぽかんとしていると、王の脇に居る見知らぬ男の1人が口を開いた。


「普通の家ならば、才能の目覚めは5歳からで、ルーンと同じ他の称号持ちの家と比べてもこれは無理難題ですぞ」


 傷跡のある厳つい顔を顰めるのは歴戦の猛者のようなお爺さん。


 あ、やっぱり無理難題なんだ。


 自分は間違ってなかった事にほっとするが、礑と安心している場合ではない事を思い返して気を引き締める。


「神童すら霞む家に何言っても無駄でしょう」


 そう言ってけたけたと笑うのは優男という感じの男。チャラいというよりちょい悪風。


 神童すら霞む...って一体全体どんな子供が輩出されているんですか!?と自分の事は棚にあげて心の中で突っ込むエルナ。


「それだけ才能に恵まれた方がお生まれになるのでは?」


 流石、安定のイケメンレイスさん。やっと出てきたまともな意見にほっとするや否や。


「いや、才能だけで済む問題ではないではない」


 即座に否定するのは、この中で唯一ローブを纏って顔が見えない(声の感じから察するに)男性。


「ええ、建国から一度たりとも例外が存在しないなど異常と言えます」


 相槌を打ちつつ何度も頷くのは、文官のような姿の男性。髪がつむじから毛先にかけて茶色から赤色と綺麗なグラデーションになっている。別に似合ってない訳じゃないんだけど、なんとなく違和感がある。


「流石、人外一家だ」


 そう言って何故か満足そうに頷くのは同じく文官のような姿をした人。特に目立った特徴はない。まさにモブって感じの人だ。


 というか、さっきからぽんぽんと人類から弾かれそうな発言ばかり聞いてる気がするんですが。真偽の程はどうなのかとお父様の方を向けば、わなわなと体を震わす父の姿があった。


「...おい貴様ら、俺の娘は見せ物じゃはないぞ!」


 珍しく低い声で怒るアルバに、5人は何とも無さ気な呆れた顔で矢継ぎ早に言葉を浴びる。


「何言ってるんだ」

「全くだ」

「今まで色々遣らかしておいて、何を今さら」

「嗚呼、それに、こんな面白いものを見に来んなら損だろ?」

「...ちょっと待て、あんたらシャノやミュー、フィーやフュー、ローやエンだってたいして変わらないだろ!!」


 そう言い返すアルバに、厳ついお爺さんは目をくわっと見開いて


「何を言っておる。大アルカナを持った人間しか(・・)生まれぬ家なんぞ、この世界を隈無く探してもお前の家しかないわ!!」


 うっと、言葉に詰まっているお父様を尻目に、髪がグラデーションの文官の男性が追い打ちを掛ける。


「あと、クライヴ家に次ぐと言われているコルテ家すら、そこまで酷くは無いと思いますが?」

「...嗚呼、あそこまで異常ではない」


 そう同意するのは、何処からともなく現れた黒子のような姿の男。


 もうさっきから何がなんだかわからない。軽い眩暈すら感じた瞬間、何処となく横から冷気が漂っている様な気がしてお母様を見る。


「私の可愛い娘が困惑しているようですけれど、今此の場がどの様な場かお分かりかしら?」


 そこからはもう凄まじいかった。5人+お父様と巻き添え食らった王様が、お母様にこてんぱに(口で)打ち負かされて、土下座でもしそうな勢いだった。お父様は兎も角、王様や大人の男性が、一人の女性に口も挟む暇も無く叱られているのはカオスだったね。あの厳ついお爺さんすら項垂れてるし。


 うん、お母様には逆らないでおこう。そう心に誓いながら、完敗した方々を目に焼き付けた。


「フレイ、その程度にして差し上げたら?」


 今日一日使い物にならなくなったら困るものと、王妃様は微笑みながら追い打ちを掛ける。その辺り、お母様と似た匂いがする。お母様は仕方ありませんわねと、呟き更に、あらそういえばと、付け加えた。


「エルナ、ここにいる方々に会うのは始めてよね?」


 急いで頷けば、お母様は、なら、と言って一歩前に出て振り返った。


「紹介するわね、まず一番手前にいるのがマルティン=リナード・クイン・エン殿よ」

「う、うむ、宜しく頼む」


 引きつった顔で返事をするモブの人もとい、マルティンさん。


「その隣にいるマルティン殿と同じ服を着たのがクルド=ルーノ・クイン・ロー殿」

「ええ、宜しくお願いします」


 なんとか取り繕うグラデーションの人もとい、クルドさん。


「反対側にいるあの方は、ノルドレス=オランジュ殿よ」

「カルティーエルナ殿もフレイティー殿に似て本当にお美しい」


 大げさな程身振り手振りでその喜び(?)を表現してらっしゃる。


 …うん、軽薄そうではなく、軽薄なのがノルドレスさんね。残念なものでも見る様な目でノルドレスさんを眺めていれば、いつの間にか復活していたお父様が怒る。


「ノルド!!お前は人の妻だけでは飽き足らず、可愛い娘まで...」

「ふむ、アルバ、お前をお義父さんと呼ぶ日も近いか」

「お前になんぞにやるかぁぁ!!!!」


 お母様に叱られた事をもう忘れたのか、言い争いを始めた二人。恐る恐るお母様を盗み見ればそれはそれは綺麗な笑みを浮かべていました。途端、二回ほど鈍い音が響き、前を見れば無惨に潰れる二人の影が。


「あんな大人にはなってはいけませんよ」

「あい、おかあしゃま」


 ほほえむお母様の言葉に一も二もなく頷く。気を取り直して、再び前を向くとローブの人が此方を見たかと思えば、徐にフードを外した。


「ミシェル=ツィンク・アルデ・フィーだ、先程は済まなかったな」


 頭を下げるローブの人もとい、ミシェルさんにぶんぶんと首を横に振る。


 幼児にすら頭を下げて謝るとか何処まで真面目なんですか!?驚き過ぎて挙動不審になってしまったが、ミシェルさんへの認識は改めよう。


「真ん中に居るのは、エルナももう知ってるとは思うけどれ、レイス=グリードよ」

「今朝方振りですね」


 その言葉にエルナはこくりと頷く。


「レイスは若くして王の側近を務めているわ」


 やっぱり凄い人なんだ。尊敬の眼差しで見ていれば、まだまだ見習いの身ですと、曖昧に笑う。


「御歳76歳ながら現役のシーザク=カルーラ・アルデ・ミュー殿よ」


 無言で頷く厳ついお爺さんもといシーザクさん。


「ディーリス様の御父上様が子供の頃から御使えなさっていたのよ」

「そろそろ隠居の頃合いだがな」


 優秀な後釜もいるからなとシーザクは付け加え、レイスを見る。それに気付いたレイスは、真剣な面持ちでシーザクを見返し首を横に振った。


「いえ、まだまだ学ぶことが多いので、辞めていただいては困ります」


 何をまだ学ぶつもりかと、シーザクは呆れ半分、照れ半分でそっぽを向いた。


「最後に、クリス=コルテ・アルデ・シャノ殿」


 そうお母様が言うと、いつの間にか消えていた黒子の人もとい、クリスさんが現れた。こくりと頷き、後ろに後退すると、すっと姿を消した。


 え、消えたと思って驚いていた。が、よくよく見れば王座の影の辺りでぼんやりとクリスさんらしき姿があった。ただ、その姿は半透明で、輪郭が空気に溶けていったかの様。そう、それは、まるで、幽霊みたいだったと。


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