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星空で繋がる世界  作者: 江崎涙奈
第2章 目覚め始め
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16.夢か現か正夢か

 


 まだ長い説明があります。うとうとしながらも聞いてあげてくださいね



 


「じゃが稀に、人々に力を提供することによって神の手から離れさせる悪魔もいるがの。確かそういう悪魔を人々は天使と呼んでおったな…」


 さっきの余韻で今だおさまらない鳥肌に腕を摩りながら、一応は耳を傾ける。小さい神サマの呟きの中から聞き捨てならない言葉を聞いた気がした。


 え?天使は悪魔なの!?


「観点による、ということじゃ。

 儂等からしたらどちらも悪魔じゃが、人間からしたら自分達にとって善であり益になる者は天使、悪であり害になる者が悪魔になるのじゃろ」


 あーなるほど。


 でも、天使は神様の部下とかいう位置付けになってたりした筈。今の話を聞く限りだと嘘になるけど、そこらの真偽はどうなってるの?


「うーむ…それは、利害が一致した時が大抵じゃが、稀にモノ好きな悪魔とも協力をしたこともあるからじゃないかのー」


 なんてアバウトなと呆れ、最後に小さく神サマの癖にと付け加える。「何か言ったか」と聞こえてると言わんばかりに睨んできた。こういう時は無視に限ると話を逸らしてみる。


 ...そう言えばこの世界でも天使は天使で悪魔は悪魔だったし、ファンタジー小説に書かれてたようなことが結構的を射ていたりする。ただの偶然にしては出来過ぎじゃない?


「確かに世界は分離しているが、実は深層部では繋がっているのじゃ。何処と無く似たり、それに近い話を書くのもその影響じゃな。平行世界、パラレルワールドなんて呼ばれるものに近いじゃろ」


 架空の御伽噺のような現実味のなかった単語が妙にすとんと胸の中に入る。でもこんな非日常がありふれ過ぎると感覚も狂うなと、その代表のような神サマを遠い目でみてしまう。すると神と呼ぶには随分と人間臭い神サマは腕時計を見るような動作をして「む、もう時間がないわい」と呟いた。


 …腕時計してないけどね。


「最後に、再三言うようじゃが、定まらぬ者は世界にとって規格外故、その存在自体が脅威じゃ。そして、それは生まれ変わった所でその者が定まらぬ者でなくなる訳ではない。

 今回、主は儂らの事情で強制的に“地球”という世界から引き抜かれた。その行為は、本来ならそれは出来ぬ事じゃが“地球”は別なのじゃ。

 かの世界は神のいない世界で、予定調和は世界の意思で保たれておるが、それは役割や運命付けられたものではない。ただ、その場の予定調和を乱す者を排除ないし忘却するという自己防衛行為を取るだけのものに過ぎぬ。その為、そこに住む全ての者が、生まれた時は定まらぬ者というわけじゃ。

 とはいえ、その者が周囲に及ぼす影響によっては、完全な定まらぬ者ではなくなってしまうケースがある。権力者やカリスマ性に溢れた人間など様々ではあるが、そう言った者達は、晴れて世界のブラックリスト入りというわけじゃ。

 一応言っておくが、他の世界のように行動制御まではされんぞ。とはいえ世界に目をつけられた人物を引っこ抜くのは中々に難しい。その点、キレイサッパリ完全な定まらぬ者だった主を連れてくるのは楽であったぞ」


 眠たくなるような長い話を若干うとうとしながら聞き流す。なんとなく最後に失礼な事を言われたような気がしたが、突っ込む気にもならない。


「…それだけではないのじゃが…まぁ、今語るべきことでもないかの……」


 何やらボソボソと呟いていて上手く聞き取れなかったけど、襲いかかる眠気から聞き返す気にはなれない。


「兎も角、主が死す事が今回の場合必要じゃった。つまり、復活するという行為自体が今回の条件に合わぬ為、転生という措置を取る必要があったのじゃ。

 しかし、かの世界には神がいない故、故意に転生することは不可能。故に、定まらぬ者をまだ受け入れる事の出来る世界に転生させたという訳じゃ。

 例えるなら、予定が秒刻みで入っている者と、分刻みで入っている者の元に予想外の事態が舞い込んだとして、その場合、どちらの予定が多くズレるか、という話じゃな。

 その例えを使うと、主が殺された世界が秒刻みなのに対して、儂の管理する世界は月刻みくらいじゃな」


 「ではな」という言葉を最後に去っていった。ようやく寝れると思いずり落ちた布団をのろのろと引き寄せる。とうに誕生日云々を忘れ本格的に寝入ろうとした時、居なくなった筈の神サマがまた帰ってきた。


「ああ、そういえばもう一つ言うのを忘れておったわい。3日後、星を得るじゃろう。」


 御告げのような重要な発言に理性を総動員して星を得るってどういう意味か聞こうとすると、小さい爺はニヤリと笑う。「全ては来るべき時に来たるもの。得るものもまた同じ、じゃ」という不可解極まりない発言を残して消えていった。




 * * *




「...さま、エルナさま」


 チュンチュンと鳥のさえずる声とゆったりと優しい声に目覚めを促される。瞼をゆっくりと開けると見慣れた顔が現れる。


「むぅ?あしゃな?」

「はい、アサナでございます」


 子供にすら満たない赤子相手に、恭しく礼をし、一言断った上で抱き上げ椅子に座らされる。


「今日は特別の日ですから気合いをいれておめかししましょうね」


 と、アースの誕生日に着て行ったような(箪笥の蓄えと化している)豪華な服を5、6枚出された。


 いつの日かの着せ替え人形状態を思い出し、またあんな長い時間拘束されるのかと思わずゲンナリしていただ、以外にも身支度は手早く済まされ、早速リビングに向かう事に。


 「ご馳走が沢山ありますよ」という言葉になんだかわくわくしてきた。さっきまでの退屈な時間が嘘みたいだと思って、ふと疑問にが浮かんだ。


 あれ、いったい何処からが夢だったんだろ


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