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星空で繋がる世界  作者: 江崎涙奈
第1章 リスタート
16/37

1-.不穏な影<前編>

この話は11~13(後日祭)で主人公とスイとは別行動をしていたルセレセsideです


 


〈side:ルセ〉


 今にも駆けださんばかりの片割れ(レセ)の姿に、何時もの様に溜息を溢す。このまま放って置けば後でとんでもない事になるのはとっくの昔に経験済みだ。その為に適度なガス抜きをしとく必要がある事は分かっている。だから仕方がないといえばそうだが、でも気が進まない。


 溜息をぐっと飲み込みスイ兄の方へ向く。


「…じゃあ、スイ兄さんここから二人で行っていい?」


 自分ルセの発言に明らかな期待の眼差しを向けるレセにスイ兄が失笑交じりに承諾すれば、途端レセの表情輝いた。だが、それを見て透かさずスイ兄は釘を刺しす。


「ルセ、レセの事を良く見ていて下さいね」


「う「ねぇ、早く!」ちょっ、レセ!」


 返事も満足に出来ないまま、レセの腕が僕の襟首を掴んだ。


「やめろ、引っ張るなって…うわっ!」


 身の危機を感じたがもう、遅かった。


 嗚呼、結局こうなるのかよ…


 ものの見事に往来の激しい道の真ん中で倒けると、案の定道行く人に踏まれた。




 * * *




〈side:レセ〉


「だから、いつも引っ張るなって言ってるだろ!!」

「うん、ごめんごめん」


 まるで姑のように、ぐちぐちとルセは私を叱る。いつもの事だし気にしないけど、あんまりそんな事で怒ってたらすぐに剥げちゃうのになぁ


「ましてや、襟首なんて掴んで引っ張れば転ける事ぐらいわかるだろ!?」


 そういえば、確か使っていいおこずかいは、300ルタだからだいたいお菓子三つか四つくらいしか買えない


「しか………な人通りの激し……けて踏まれたこっちの…」


 でもどれもおいしそうだし、決めれないなぁ…


「…なれっ……言って…」


 あ、そうだ。ルセにお願いして全部半分に分けたら沢山食べれる!


「…セ……ぉい、レセ!」

「うん?」


 大声で私の名を呼ぶから何かと思ってルセを見ようとしたけれど、目の端に映った光景に動きを止める。


「お前、人の話聞いて「あっ」っもうなんだよ!」


 一部不自然に人通りの途絶えた場所の真ん中に、がたいのいい男が如何にも弱そうな男性に因縁をつけている姿だった。道行く人は見て見ぬふりか遠巻きに見るかのどちらかで、誰も助けようとはしない。


 自分たちが助けないと、と思ったのと同時に体は動いていた。


「って、レセ!?」


 混乱するルセの腕を掴んでレセは走りだした。




 * * *




〈side:――〉


「す、すいません…」

「ああん?すいません、で済むと思ってんのか」


 胸元を掴まれ怯える男性に今にも殴り掛かりそうな男の後ろに、少女レセは立った。


「ちょっと」


 声を掛けられ男性の胸元を掴んでいた手を乱雑に放し、男は振り返る。


「なんだよ、邪魔すんじゃねぇよ」


 少女レセは、突き飛ばそうと突き出した男の手を、横から叩いて避けた。


「っち、生意気な…痛い目見たくなかったら引っ込んでろっ!!」


 苛立った男が少女レセへと振り上げた拳を、難なく少年ルセは鞘で止める。


「なっ」


 横から出てきた少年ルセの存在に戸惑う男に向かって、少女レセは腰に携帯していた杖を向ける。


「“風よ、見えない力で自由を奪え”」


 男の周りが風に包まれたかと思うと途端、まるで縄に縛られたように道に転がった。


「な、なんだ!?」


 突然の事で状況の把握が出来ず喚く男の姿に少女レセは見向きもせず、尻餅をついて怯えている男性に優しく手を差し伸べ尋ねる。


「大丈夫?」

「あ、は、はい…あ、あの、あり、がとう、ございます」


 起き上がると、少女レセに向かってペこペこと何度も頭を下げた。


「くそっ、舐めやがってーーーー!!」


 先程まで芋虫のようにじたばたと暴れていた男は、いつの間にか戒めから逃れたのか、懐からナイフを取り出し少女レセを背後から襲いかかった。


 立ち止まって見守っていた人々は、その後に起きるだろう悲劇に目を覆い隠した。


 が、予想に反し鋭い金属音が響くだけ。再びそろりと目を開けば、少女レセの背後を庇うように少年ルセが剣を構えて男を睨み付けていて、ナイフは少し離れた地面の上に転がっている。


 振り向くことなく背を向けたまま流石と笑う少女レセと、呆れた様に笑みを返す少年ルセの信頼しあった二人の姿に周囲の人々はすっかり心を奪われていた。


「く、畜生…覚えてやがれ!!」


 捨て台詞を吐いた男が去れば、辺りは拍手喝采で人々は少女レセ少年ルセの周りに集まりお祝いムードになっていた。




 * * *




〈side:ルセ〉


 あの男…


 人ごみに紛れ男の消えていった先をルセはじっと見詰めた。


 一般人にしては変だ。何かもっと…


「あんたたち強いんだね」


 不意にばしばしとおばちゃんに叩かれ、それにルセは失笑しながら会釈した。


「ほれ、これ持ってけ」

「え?」


 屋台にいたおっちゃんは店に並んでいたお菓子をどっさりとルセに渡した。それを見ていた他の人も次々といろんなものを渡し始めると、結局最終的には二人の腕一杯にもなっていた。


「いやっ、でも…」

「子供なら人の好意は遠慮なく貰っておけ」

「ルセ」

「そうだな…ありがとうございます」


 深々と頭を下げお礼を言うと、おっちゃんたちは随分と律儀なもんだと豪快に笑った。


「って、レセもちゃんとお礼言えよ」

「いやいや、かまわねぇよ。好きでやってる事だ」


 そうだよなと同意を求めると、周りの人も笑ってそれに答えた。




 * * *




〈side:レセ〉


 なんかルセの様子がおかしいんだよね


 さっきも時々ルセはちらちらとそっち見てたし、今もそこから視線外さないし…


「ほら、行こうよ」

「あ、嗚呼……」


 さっきの人たちももう各々の場所に戻りいつも通りの往来の中、それでも振り返ったまま立ち止まって動かないルセにレセは首を傾げる。


「ルセ?」


 視線はそのままで、ルセは口を開く。


「……なぁレセ、あの男」


 あの男?


「うん、警備の人にでも引き渡すの?」

「いや逆、やられてた(・・・・・)方だ」


 ルセに習うように、レセも男が消えた道を見詰めて目を細める。


「ふーん、それで?」

「悟られない様に捜してつけれるか?」


 言葉とは裏腹に出来るだろうと問うルセに、レセは当然とばかりに頷く。


「ん、シルフィードお願い」


 レセが呼びかけると、横を風が通り過ぎた。


「さてと、買い物の続きを再開しよ!」


 レセの発言にルセは両手一杯に抱えた物を見る。


「こんだけあって、まだ何か買うのか…」


 そう言ってルセは顔を引き攣らせたが、(レセ)がその程度で意に介す筈もない。


「大丈夫大丈夫、見るだけだから」

「いや…いつもそう言って買ってるとお「はいはい行くよー」って引っ張るなーーーーーー…」


 響く悲鳴に返ってくるのは、聞きなれた笑い声と無数の温かい視線。それから(ルセ)が解放されたのは、半日経ってからだった。



1ルタ=1円です

金銭感覚や物価も大して変わらないと思って下さい

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