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桜の木の下に埋まっていたモノの話

【キーワード】


①夜桜

②ネット

③シャベル

④死体

⑤穴

⑥ゴミ

⑦飴玉

⑧発狂

⑨花びら

⑩栄養












 月明かりに照らされた【夜桜】も風情があっていいですね。

 それにしても、夜に花見をしながら百物語でもいかがですかと誘った時には皆さん微妙な反応をしていた割に、いざ始まってみるとノリノリじゃないですか。

 ほら、見てください。

 残っているロウソクはこれで最後ですよ。

 よくもまあここまで怖い話が出揃ったものです。

 どれも聞いたことがない話でしたし、【ネット】で拾ってきたんじゃなくて実体験でしょう?

 ということは皆さんお祓いを受けた回数も一度や二度じゃ済みませんね?

 一度でもお祓いを受けていれば【ネット】ではヒーローだっていうのに……。

 物好きが集まった会ですね。


 そうだ、せっかくですし、この木の根元を掘ってみませんか?

 木の下にはなんとかが埋まっていると言いますし。

 運良くここに人数分の【シャベル】があるんですよ。

 さあさあ遠慮なく。

 一人ひとつ、【シャベル】を持ってください。

 掘ってみたら怖い話の種でも出てくるかもしれないじゃないですか。

 そうしたら次回話すネタができますからね。

 え? 【死体】が出てきたらどうするんだ、ですって?

 あなたここに埋めたんですか?

 違うなら掘ってもいいでしょう? どうしてそんなに真っ青なんですか。

 それに、【死体】が出たら埋め直せばいいじゃないですか。

 さあ、どんどん掘りましょう!


 【穴】といえば、星新一の短編を思い出しますね。

 突然現れた底なしの【穴】に、これは便利だと【ゴミ】を捨てていったらある日いきなり空に【穴】が開いて、そこから捨てた【ゴミ】が次々出てくるやつです。

 これぞ自業自得! って感じで好きなんですよね。

 ……と、話していたら何か出てきましたね。

 あー……、蛇の抜け殻だ。

 しかも二匹ぶん。

 土の中で脱皮する蛇なんているんですかね?

 それとも、中身だけ食べられたんでしょうか?

 なになに、まだ出てきましたか!

 次は……ラーメンのどんぶり?

 またおかしなものを掘り当てましたね。

 しかも中に【飴玉】が入ってるじゃないですか。

 一、ニ、三……ちょうど人数分ありますよ。

 どうです、食べてみますか?

 この【飴玉】、まだ新しそうですし、個包装になっているから食べても大丈夫だと思いますよ。

 強いて言うなら、見たこともないパッケージだし、謎の祠の絵がついているのが気になりますが。

 それも含めて余興ということでね!

 ……え?

 どうしたんです?

 急にこの【夜桜】が偽物なんじゃないかって言い出したら誰だって【発狂】したんじゃないかと心配しますって。

 あぁ、【花びら】が散らないから。

 言われてみればそうですね。

 これだけ満開に咲いているのに【花びら】ひとつ降ってこない。

 言われてみれば妙な気がしてきました。

 ……でもまあ、いいじゃないですか。

 今日は楽しいお花見ですよ!

 それより、お酒はいかがです?

 怖さなんてね、お酒の力で紛らわせてしまえばいいんです。

 そうでしょう?

 さあ、飲めや歌えの大宴会と行きましょう。

 今日はご馳走もたくさん用意していますからね。

 【栄養】過多でぶっ倒れないようにだけ、気を付けてください。


 ……おっと、あっという間にこんな時間ですか。

 いい時間ですし、そろそろお開きにしましょうかね。

 え? ああ、あの人たちね。

 不思議なことに、私が百物語の最後を語るとああして【発狂】する人が出るんですよ。

 だから今日は控えめにしたつもりだったのに、ダメでしたか。

 嫌ならさっき掘った【穴】に【ゴミ】と一緒に埋めましょうか?

 大丈夫。この木はなんでも【栄養】にしちゃうんですよ。

 見たでしょう? さっきあれだけ掘っても【死体】ひとつ出てこなかった。

 それが答えですよ。

過去のシナリオの残骸たちを埋め込んでみました。

みんなはどれがいつの残骸かわかったかな?

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