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【TRPG】怪談白物語用 フリーシナリオ集  作者: 牧田紗矢乃


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13/13

「あたる」話

 キーワード


①不思議

②普通

③大吉

④テンション

⑤食中毒

⑥病院

⑦宝くじ

⑧タロットカード

⑨噂

⑩白紙











 だんだんと暖かくなってきて、春の訪れを感じますね。

 この陽気でつい勉強や仕事の途中でうたた寝をして、怖い夢を見てしまったりして。

 今宵の百話目は、友人のSさんから聞いた夢のような【不思議】な体験をお話ししたいと思います。


 Sさんはどこにでもいる、ごく【普通】の青年でした。

 身長も平均的、学力も運動能力も優秀というほどでこそないものの、それなりにこなせるタイプのごくごく【普通】の青年です。

 そんな彼の身に【不思議】な出来事が起こり始めたのは、今から十年ほど前。大学四年生の頃でした。

 初詣に行った神社で、おみくじを引きました。

 友人たちは小吉だとか吉だとか、パッとしない結果を引き当てている中、Sさんだけが【大吉】を引き当てたのです。

 Sさん自身、【大吉】を引くのは小学生の頃以来でずいぶんと【テンション】が上がったので、よく覚えていると言っていました。

 おみくじに書いてある内容も良いことばかりで、普段は占いなど見向きもしないSさんもこの時ばかりはいい年になるんじゃないかと思ったようです。

 ところが、それから数日後。

 海鮮食べ放題の店に家族で行った後で彼一人が【食中毒】になってしまったのです。

 翌日、母親に支えられながら【病院】へ行き、点滴を打ってもらった帰り道のことでした。

 【病院】を出てすぐ、突っ込んできた車にはねられてしまったんです。

 幸い車のスピードが出ていなかったのと、その【病院】ですぐに処置を受けられたために大事には至りませんでした。

 おみくじでは【大吉】だったのに、踏んだり蹴ったりの状況で、小吉や吉だった友人たちには本当は大凶だったんじゃないかと言われる有様です。

 大きな事件、事故はそこからしばらく落ち着きましたが、キャッチボールをしている子供たちの投げた球が【不思議】とSさん目がけて飛んできてぶつかったり、お年寄りの乗った自転車に轢かれたりと何かと不幸が続きました。

 そんな彼の様子を見ていたSさんの父はふとこう言ったそうです。

「今年はやけに『あたる』年だな」

 たしかに、【食中毒】も事故も「あたる」という表現をします。

 そこで彼は思いました。

 ――【宝くじ】も当たるんじゃないだろうか、と。

 運試しでスクラッチくじを十枚買ってみたところ、千円が一枚当たりました。

 収支としてはマイナスですが、Sさんにとって初めての当選に【テンション】は急上昇です。

「そんなに当たるなら占いとかやってみれば?」

 友人がそんなことを言い出します。

 適当なことを言って当てられるなら、占い師でひと稼ぎできるんじゃないかと考えたようです。

 Sさんは乗り気ではなかったようですが、言われるままに【タロットカード】を使って占いをしてみました。

 カードの意味は知りませんでしたが、思いつくままに言葉を並べてみました。

 【不思議】なことに、それがすべて的中したんです。

 Sさんは内定をもらっていた企業を強引に辞退して、リサイクルショップで見付けた水晶玉と【タロットカード】で占いの店を開きました。

 初めはまばらだった来客ですが、Sさんの占いがよく当たると【噂】になって次第にいろいろな人が彼の店を訪れるようになったのです。

 彼は儲けた金を年末に控えるジャンボな【宝くじ】につぎ込もうと占い師業に精を出しました。

 ここだけの話、ハリウッドの有名俳優もお忍びでSさんの店に来たという噂ですよ。

 他にも政治家だったり、占いを本業としている人だったり色んな人がSさんの元を訪れました。

 ジャンボな【宝くじ】は高額当選。

 向かう所敵なしの無敵状態です。

 ところが、そんな生活は突然終わりを告げました。

 それは、年が明けてすぐのことです。

 前回【大吉】を引いた神社に初詣に行き、おみくじを引いたのですが、【白紙】だったそうです。

 神社の方々もいろいろなトラブルを目にしてきましたが、全くの【白紙】が出たのは初めてだったそうです。

 その後からです。

 Sさんの占いはちっとも当たらなくなりました。

 大行列だったSさんの占い屋さんは閉業に追い込まれてしまい、そこでできた政治家やハリウッドの有名俳優との人脈も途切れました。

 肝心のジャンボな【宝くじ】も、換金する前に紛失してしまったそうです。


 Sさんの現在ですか?

「全く当たらない」ことを逆手に取って、ドライバーをやっているそうですよ。

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