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【TRPG】怪談白物語用 フリーシナリオ集  作者: 牧田紗矢乃


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12/12

住めない家の話

【キーワード】


①入居者

②マンション

③転勤

④偶然

⑤借り手

⑥部屋

⑦電車

⑧引っ越し

⑨検査入院

⑩空室











 いよいよ百話目ですね。

 やけに空気が冷えて、うっすらと白いモヤが掛かって見えるような気がするのは私だけですかね?

 これが隙間風の影響なら構わないのですが……。

 欠陥住宅でないことを祈りましょうか。

 せっかくですので、今宵の最後はとある建物にまつわるお話にしましょう。


 【入居者】がコロコロ変わる貸家の話は聞いたことがあるでしょうか?

 怪談話では耳にすることの多いシチュエーションですが、極小数ながら実在するんです。

 知人のAさんが住むN市にも、そんな【マンション】がありました。

 と言っても、そこは事故物件などではありません。

 その【マンション】の三〇五号室の【入居者】は早ければ入居から数週間、遅くても三、四ヶ月のうちに県外への【転勤】が決まってしまうのです。

 初めは【偶然】が続くなぁと思われていましたが、【借り手】の人数が二桁を越えた辺りからいよいよ冗談では済まされない空気になり始めました。

 その物件は築年数も五年ほどとまだ浅く、その【部屋】でなにか事件が起こったというわけでもありません。

 原因は全くの不明で、管理人さんもお手上げ状態でした。


 Aさんはその【部屋】が【入居者】の入れ替わりが激しい【部屋】だと知って、面白半分でそこに住もうと思ったそうです。

「僕の勤めている会社は他の支店もありませんから、【転勤】になる心配もないですよ」

 Aさんは管理人さんにそう話して契約をしたそうです。

 住んでみると不便なことは何もなく、日当たりも防音性も申し分ない。

 ずっと住み続けたいと思えるほど良い物件だったそうです。

 ところが、Aさんもやはり二ヶ月ほどでその【部屋】を出ることになってしまいました。

 というのも、Aさんの勤めていた会社が突然倒産してしまったのです。

 幸いすぐに再就職先が見つかり、家賃が払えない、という最悪の状況は免れました。

 とはいえ、再就職先までは【電車】を乗り継いで片道三時間はかかる距離。

 初めのうちは気合で通勤していたようですが、家にいる時間よりも【電車】に揺られている時間の方が長い生活に嫌気がさしてきます。

 そこでやむなく【マンション】を引き払い、Aさんは職場の近くへと【引っ越し】ていきました。


 Aさんが退去して頭を抱えたのは、【マンション】の管理人さんです。

 あまりに【入居者】の入れ替わりが激しいと、色々な噂も立ち新たな【借り手】が付きにくくなります。

 とはいえ、他の事故物件のように告知をしようにもその内容は「住むと何らかの理由により転居が決まる」という漠然としたものですから、告知のしようがありません。

 そこで取った苦肉の策。

 それは、管理人さん自身が三〇五号室に住むことでした。

 管理人さんは、その【マンション】の他にも複数の物件を所持しており、それらの家賃収入で生活しています。

 そのため、大災害が起こって辺り一帯が更地になるようなことがない限りこの【部屋】に住み続けられる……――予定だったのです。


 【引っ越し】から間もなく、管理人さんの運転する車が居眠り運転のトラックに追突される事故がありました。

 事故は地方ニュースになり、それを見たAさんは驚いて管理人さんに連絡を取ったようです。

 話によると管理人さん自身に大きな外傷等はなかったものの、念の為に【検査入院】をすることになったそうです。

 運良くと言いますか、運悪くと言いますか、検査の過程で【偶然】にも悪性腫瘍が発見されました。

 医者にはできるだけ早く手術をと勧められ、管理人さんは【検査入院】していた病院から県外にある大きな病院へ転院することになりました。

 手術の後にもリハビリや投薬治療が控えているらしく、退院できるのは二ヶ月先か、三ヶ月先か。

 いずれにせよ三〇五号室はしばらく【空室】のまま。

 もし退院したとして、あの【マンション】に戻るとまた何かよからぬことが起きそうで気が進まないと管理人さんは話していました。

 そこで、管理人さんの親族が別の管理している物件の方へ荷物を移動させ、例の【部屋】は【空室】になったそうです。

 ……と、これが昨日までに起こったことの一連の流れです。

 どなたか住んでみたい方はいませんか?

 ご紹介しますよ。

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