表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【TRPG】怪談白物語用 フリーシナリオ集  作者: 牧田紗矢乃


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/11

クラゲにまつわる話

【キーワード】


①クラゲ

②毒

③浜辺

④カモメ

⑤波

⑥異常事態

⑦小学生

⑧光景

⑨救急車

⑩骨











 おっと、帰りの支度をするにはまだ早いですよ。

 待ちに待った百話目はこれからじゃないですか。

 今回お話しするのは……――そうですね、海にまつわる話でもしましょうか。


 皆さん、今年は海に行かれましたか?

 水着に着替えて海水浴もいいですし、ビーチにパラソルを立てて優雅にお昼寝するのもまた一興。

 ただ一つ、守ってもらいたいことがあるんです。

「【クラゲ】は拾うな」

 この言葉、どこかで聞いたことありませんか?

 【クラゲ】は【毒】のある触手を持っているから、というのも理由の一つではあるんですが、実はそれだけじゃないんです。

 海岸沿いのとある集落を訪れた時のことです。

 【浜辺】の一カ所にたくさんの鳥が集まっていました。

 五羽や十羽では済みません。

 ウミネコやら【カモメ】やらカラスやら、この辺り中のすべての鳥が集まっているんじゃないかと思うほどたくさんの鳥たちが一カ所に集まっているんです。

 何かあるのかなと思ってじっと様子を見てみると、そこには大量のゼリー状の物体が打ち上げられていることがわかりました。

 そう。

 【クラゲ】の大群です。

 何十、何百という【クラゲ】が山のようになっているんです。

 その山に鳥たちが集まって、あちらこちらで【クラゲ】をついばんでいるようでした。

 海の中で大量発生しているというニュースは聞いたことがありますが、【浜辺】に大量発生というのは初めて目にする現象でした。

 その日は【波】も穏やかで、自力で砂浜に上がってきたとしか考えられない状況だったんです。

 異変に気が付いた集落の人たちが、次第に集まってきました。

 試しに「この辺りではよくあることなんですか?」と聞いてみると、全員が黙り込んでしまう。

 そのくらい【異常事態】だったようです。

 そうこうしているうちに学校が終わって帰ってきた【小学生】たちが異変に気が付いて【浜辺】に集まってきました。

 好奇心旺盛な男の子はその辺に落ちていた木の棒を持ってきて【クラゲ】をつついたりしています。

 そんな時、漁師らしき人が口にしたのが「【クラゲ】は拾うな」という例の言葉だったのです。

 やるなと言われるとやりたくなるのが【小学生】。

 集落の大人たちが【クラゲ】を食べるのか、埋めるのかと処理の仕方を相談し始めた隙に、一人の男の子がクラゲに手を伸ばしてしまったのです。

 男の子の指が触れた、次の瞬間。

「わぁ!」と短い悲鳴が聞こえたかと思うと、漁師のおじさんたちが一斉に振り向きます。

 その時、驚きの【光景】が広がりました。

 【浜辺】に打ち上げられて死んでいると思われた【クラゲ】たちが、一斉に男の子に群がり始めたのです。

 一緒になって木の棒で【クラゲ】をつついていた【小学生】たちは、蜘蛛の子を散らすように四方へ逃げ出しました。

 【異常事態】の発生に大人たちが駆け寄りますが、相手も威嚇するように触手を動かしており、なかなか近付くことができません。

 そこへ、子供の名前を呼びながら走ってくる女性がいました。

 様子を見るに、その子の母親のようです。

 母親は子供の名前を叫びながら、周囲の人たちが止めるのも構わず【クラゲ】の塊の中へ飛び込んでいきます。

 【クラゲ】はターゲットを母親に変え、徐々に移動を始めます。

 母親は金切り声を上げながら手当たり次第に【クラゲ】を引きはがしては放り投げ、また纏わりつかれてを繰り返していました。

 その【光景】はまさに地獄絵図です。

 なんとかかんとか救出された時には、二人の体は【毒】のせいかどす黒く変色していました。

 その二人が助からないであろうことは誰の目にも明らかで、【救急車】が到着するまでは誰一人として口をききませんでした。

 気が付いた頃にはあれだけ大量にいた【クラゲ】も鳥たちもどこにも見当たらなくなっていました。

 その代わり、あの場所にはウミネコなのか【カモメ】なのか、カラスなのか。

 種類こそわかりませんが、鳥のものらしき【骨】がいくつも落ちていました。

 うっかりターゲットにされて、誰にも気付かれずにいたら。

 自分もこんな風に【骨】になっていたんじゃないか。

 言葉にならない恐怖感がありましたね。

「【波】のない日に出る【クラゲ】はああやって狩りをするんだ。わかったなら絶対に【クラゲ】は拾うなよ」

 【救急車】のサイレンが遠ざかる中、そう言い残して立ち去っていった漁師の背中は、今でも忘れることができません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ