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ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
日常編
9/85

天然

 「こんにちはぁ」

つちださんの笑顔がまた、疲れとストレスをリセットしてくれた。

彼女は僕にとってオアシスの様な存在だ。

改めてそう思いながら、レジに向かう。

いつもの様にアメリカンドッグを注文しようとしたが、ホットスナックコーナーにそれはどうやらないらしかった。


 「あっ、アメリカンドッグ揚げます?」

そう訊かれ、「お願いします」と答える。


 「あっ、はぁい」

つちださんは背後のドアを開け、裏に入った。

何やら、笑い声が聞こえる。

つちださんが戻って来た。


 「ごめんなさぁい、アメリカンドッグなかったですぅ」

つちださんは申し訳なさそうな笑みを浮かべながら言った。

可愛いな。彼女の少し天然な部分を見る事が出来、思わず口角が上がった。

代わりに肉まんを注文すると、つちださんはそれを僕に渡しながら「ごめんなさいねぇ」と再び言った。

可愛い。改めてそれを実感しながら、「いえいえ」と返す。


 浴室を出て、レモンサワーを吞む。

水曜日という、折り返し地点を通過した。

あと、二日。息を吐く。

それから、レトルトカレーを盛り付け、テレビを点ける。

芸人のネタを、笑いながら判定する司会者。

UFOの映像に絶叫するタレント達。

難問を瞬時にクリアする東大生。

特に惹きつけられるチャンネルはなく、スマホでネットニュースを眺める。

アパレル店員に苦言。

嫌いな芸人を実名告白。

事務所を退所し、個人事務所を設立。

芸能人に因るSNSでの投稿やテレビ番組での発言を切り取ったものや、どうでもいい記事ばかりが並ぶ。


 Huluを開く事にした。

何かいい映画やドラマはないだろうか。

画面をしばらくスクロールしていると、ずっと気になっていた映画の存在を思い出し、それを再生した。


 期待外れだった。

設定は斬新で面白かったが、展開がイマイチに思えた。

途中から結末が読めた。そして、それを裏切ってはこなかった。

いわゆる実力派で主演クラスの俳優達が名を連ねており、彼等の演技力は申し分なかっただけに、残念だ。

話の展開や構成が、出演者の足を引っ張っている。完全に彼等の無駄遣いだ。

あえて続編がありそうな終わり方にしているのだろうが、それが公開されたとしても、恐らく観ないだろう。少なくとも、金を払って映画館で観に行く事はない。


 口コミを見てみる、賛否両論だった。

称賛は設定の斬新さに触れている意見が殆どで、批評はやはり、展開についてのものが殆どだ。

出演者の俳優がカッコ良かったという理由だけで、星を五つに設定している連中がちらちら目立つが、大半が自分と同意見らしい。


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