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ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
日常編
5/85

奇怪

 四ノ宮はいつもの様に、カロリーメイトと助六と牛乳のゴミを棄てた。何故、いつもこのメニューなのだろう。

大体、カロリーメイトは炭水化物と摂取すると栄養補助食品としての立場がないじゃないか。カロリーメイトなしでも成立してるじゃないか。


 椅子に腰掛けた四ノ宮は、デスクの引き出しから取り出したアイマスクと耳栓を装着し、こめかみを指で回すという食後のルーティンを始めた。

この一休さんタイムは、毎日十分以上にも及ぶ。

アイマスクと耳栓までして集中しなくてはならないのだろうか。

この時間には話し掛けるなというサインなのだろうか。

どうしてもこの時間にこの場所でやらなくてはならないのだろうか。

この男は何から何まで謎だ。行動のいちいちが謎だ。


 デスクには、お茶の紙パックが常に二本置かれている。五〇〇ミリリットルのペットボトル一本ではなく、二五〇ミリリットルの紙パック二本なのが尚更謎だ。

あの男がデスクの上のお茶を飲んでいるのを、一度も見た事がない。

牛乳を飲む前に、まずそのお茶を飲めよと、いつも思う。

普段は黒縁眼鏡を掛けているが、たまに縁なしやべっ甲柄の日があるのも謎だ。

状況に応じて変えるならともかく、日単位で違う眼鏡を掛けて来るのは意味が分からない。

一体、何用と何用と何用なんだ。


 四ノ宮が席を立ち、両手をデスクの角に置いて屈伸を始めた。

十三時半らしい。

午後の業務が始まってまだ三十分である故、まだ屈伸をする程の時間じゃないだろと、いつも思う。

そもそも屈伸をする時間を決めているのも謎だ。


 十四時前の休憩時間になった。

トイレに行く人。業務を続ける人。新聞を広げる人。

四ノ宮はいつもの様に冷蔵庫から取り出したヨーグルトを持って席に戻った。

何故、この時間なんだ。何故、昼食とは別なんだ。何故、いつも同じメーカーなんだ。

冷蔵庫にいつも入っている彼のヨーグルトには〝宮〟と、頭文字ではなく最後の文字が書かれているのも謎だ。


 十五時前の休憩時間になった。また、謎のルーティンが始まる。

四ノ宮はデスクの引き出しから取り出した歯磨きセットを持って、給湯室に向かった。

何故、いつもこの時間なのだろう。何故、昼休みではないのだろう。

食後すぐに歯磨きをしたいから会社で済ませるのなら分かるが、こんなに時間が経過したのなら、もういっそ家ですればいいのではないのだろうか。

全く意味が分からない。


 終業時間になった。

四ノ宮はいつもの様にデスクの引き出しから取り出したモンスターエナジーをぐびぐびと飲み、帰って行った。


 何故、この時間にエナジーを摂取するのだろう。何故、モンスターエナジーは冷蔵庫に入れず、常温のものを飲むのだろう。デスクの上のお茶はいつ飲むのだろうか。


 あの男は尋常じゃない程のコミュ障だ。

発言は必要最低限で、その際は気持ち悪い程たじろぎ、声も震えるのだ。


 以前、謎のルーティンを指摘された際は「えっ、あっ……」としばらく言葉に詰まり、挙句にはトイレに逃げ出した。

周りにいた全員がドン引きした。恐怖すら感じた。

それを境に、あの男のルーティンには何も言わないという暗黙の了解が出来たと共に、業務以外であの男に話し掛ける人は本格的にいなくなった。

あんな奴が何故、面接に受かったのだろう。

謎のルーティンに加えて壊滅的なコミュニケーション能力が気持ち悪さを増している。

甚だ、嫌悪感を覚える。


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