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ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
日常編
12/85

安堵

 「こんにちはぁ」

その笑顔が、限界寸前だった僕の精神を一気に回復させた。

もう一日、頑張れそうだ。


 「あっ、ごめんなさい、今日もアメリカンドッグなくってぇ」

「いえ、大丈夫です」と返す。

アメリカンドッグなんかどうでもいい。そんな事よりも、つちださんにアメリカンドッグの人と覚えてもらえた嬉しさの方が勝っている。

昨日と同様、肉まんを代わりに頼む。つちださんが袋に入れたそれを、目の前に置く。


 白く、綺麗な手。

恐る恐る、左手の薬指に集中する。

指輪は、ついていない。安堵した。とても安堵した。

指輪がついていたらどれだけショックを受けていただろう。見た事をどれだけ後悔していただろう。


 支払いをするとつちださんは、「ありがとうございましたぁ」と、微笑んだ。

いつもはくりっとしているが、笑うと細くなって長いまつ毛だけが残るその目に、また癒された。


 「ありがとうございました」

お礼を言い返した。今日も、素敵な笑顔を見せてくれて、ありがとうございました。そう言いたくなる。

明日も、頑張れそうだ。

ゆっくりと自動ドアが閉まったコンビニを一瞥し、帰路につく。


 レトルトのカレーとさば缶、レモンサワーをテーブルに置き、YouTubeを開くと、〝DAYS〟の最新動画が更新されていた。

ファイティングポーズを取る四人に、チーズやヨーグルトのイラストが添えられているサムネをタップする。

プロテインのCMをスキップすると、動画が始まった。


 「さぁ、今回の企画は、賞味期限切れ神経衰弱ぅ~!」

四人に因るお決まりの挨拶の後、タイトルを発表したダイゴ。はルールを説明する。


 四人で神経衰弱をする。

最下位の人は、一位の人が獲得したカードに書かれた数字の日数の分、賞味期限がオーバーした食べ物を食べなくてはならない。

最下位の人が獲得したカードが三組の場合は一日、二組の場合は二日、一組の場合は三日、それぞれの日数に加算される。

ゼロ組の場合はそれぞれの日数が倍になる。

ジョーカーは二十日間とする。


 「そして、最下位の人が食べるものは、これで決めます」

ダイゴ。はスマホを見せた。画面にはアプリで作成されたルーレットがあり、ダイゴ。がそれぞれを紹介する。


 ヨーグルト。ベビーチーズ。ロールケーキ。りんご。トマト。クリームパン。ゆでたまご。カルビ。ポテチ。しめさば。

メンバーがいちいち大きなリアクションを取る。

また、面白そうな企画だ。その馬鹿馬鹿しさに、鼻で笑う。


 「よーし、何枚あるか数えましょう!」

AKITOが最後の一組を獲得し、それぞれが枚数を数え始める。

AKITOが八組。ゆーきが七組。ダイゴ。と澤田が六組。


 この場合はどうなるのかとメンバーがざわつく。

俺はジョーカーを持っているから澤田よりランクが上だという、ダイゴ。の意見は瞬時に否決された。

それから議論の末、一位であるAKITOが獲得したカードの片方ずつをシャッフルして二つに分けるという結論に至った。


 カードの分配が終わるとゆーきはルーレットを開始し、選ばれた選択肢を除外していきながら二人が食べるものを決定していく。

ダイゴ。は二日前のヨーグルトとゆでたまご、八日前のクリームパン、十一日前のカルビを、澤田は一日前のベビーチーズ、四日前のトマト、五日前のしめさば、十一日前のポテチを、それぞれ食べる事になった。


 大笑いするAKITOとゆーき。絶叫するダイゴ。と澤田。

二人の罰ゲーム執行は近日公開すると発表され、動画は新型iphoneのCMに切り替わった。


 テレビをザッピングする。

番組スタッフにおすすめの飲食店を訊かれて説明するタクシードライバー。

芸能人が詠んだ俳句を赤い筆で添削し、駄目出しをする女性俳人。

視聴者から寄せられたピンチな状況からの脱出劇を再現したVTRで熱演する芸人。

その時、先週放送されたドラマの見逃し配信が今日までだったのを思い出し、TⅤerを開いた。

まだ三話までしか観ていないが、これは相当期待出来るドラマだ。


 やはり、面白い。

続きがあまりにも気になり、第五話をリアルタイムで観る事にした。

斬新な設定と予期出来ない展開に因ってアドレナリンが分泌されたらしい。

毎回、SNSでトレンド入りしているらしいだけの事はある。

今後も益々このドラマは飛躍していくに違いないと、確信している。


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