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うす味ときどき濃い味

作者: いさむ

「いただきます」

晩ごはんの時間です。今日のお品書きは、麻婆豆腐。ふりかけののりたまで人気のまるまる丸美屋です。いくらでもご飯がすすんでお腹も心も丸くなります。


「召し上がれ、まるみちゃん」

「だれが、まるみちゃんや」

確かに丸美屋の麻婆豆腐食べとるし、体型も太り気味で、温厚な性格だねって言われることがあるけども。名前は違うわい。


「ごめん、男だから、まるおくんか」

「そういう問題やないねん」

女というのは、どうしてこう、余計なことをいう生き物なんだ。いや、僕の姉だけかもしれないから、極端な考えはよそう。


「じゃあ、どういう問題なん?」

「か、辛口にせんかい」

「味かよ。キズついたかと思って1秒心配して損した。そんなこといって、何事も甘いほうがいいでしょ」


あ、じゃあ甘口で。まてまてい。

折れるな自分。あまあまのラクラクは、人生ダメにする、一番アカンやつや。負けるな自分に。


「これ以上甘やかさんとってや。現状から脱出するためには、このままじゃいけんのや」

「じゃあ、デザートのプリンはお預けね。がんばれ、お姉ちゃんは応援してるよ」


脱ダメ人間宣言。かれこれ、何回言ったか覚えていない。運動、食事、睡眠、生活習慣の改善。そして、ダイエットと姉依存をやめること。ハッキリいうとハードルは高い。


「明日からにしよ」

「切り返しはや。さすがのお姉ちゃんも、1秒の心配を気苦労だとおもったのは初めてだよ。もう少し気張れよ」


鬼滅の刃に出てくる炭治郎の師匠、鱗滝左近次さんもビックリの判断のはやさである。しかし、ベクトル方向が良ければの話である。


「くう〜プリンは今日もプリプリでたまらんですなあ」

「反省のカケラもねえな。お姉ちゃんだって、いつまでもいると思わないでよ。結婚して、とついで遠くへ行くことになったらどうすんの?」


それは一大事だ。そのときは、是非ともそのフィアンセにこう言いたいものだ。『俺の姉に触んじゃねえ』ってな。いやホント、困るんで、自分も連れてってください、お願いします。足ペロします。


「彼氏いんの?」

「今はいない。もし、できたときはカレーや、麻婆豆腐に、1,600,000スコヴィルのキャロライナ・リーパーっていう唐辛子いれるから、そこんとこ夜露死苦」


なにそれ怖い。辛すぎて病院送りになるやつやん。あ、彼氏できたときは、弟は用済みってこと。そゆこと。というか、スコヴィルってなに。キャロライナって外国人の名前ですか。


「これからも、うす味甘口でお願いします」

「よろしい。作ってもらってるんだから、味のことで文句言わない。あたまにマヨネーズぶっかけるわよ」


こうして、今日も姉に煽られ、指導され、甘やかされ、お世話され、過ごしております。


味が薄いとか、濃いとか、甘いとか辛いとか、無職とか正社員とか、いろいろありますが、安心してください。姉がいますから。


「ごちそうさまでした」










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