91.魔法使いの村
シュバルツの告白により、黒髪の村に産業革命が起きた。私の魔力は、クロ全員に分けられる。私の魔力を村人に分ける事で、機械を動かす動力を確保したのだ。ほぼ第一次産業しかなかった村に、工場ができてしまった。
「サンギョーカクメーは、ボウセキからだろ?」
博士が好きな教科は、算数と化学だけではなかったらしい。シュバルツのよくわからないこだわりで、木綿糸と絹糸の工場が作られたのだ。なんで養蚕なんてしてるのかと思っていたが、これがやりたかったのか。
あの変な銅像の所為で、いつの間にか、シュバルツ様とシャルル様と村で祀りあげられていて、村人の誰も反対してくれない。クロたちを救った本当のヒーローは、ジョエルだと言ってるのに、聞いてもらえない。
私ありきの産業なんて始められても、責任が取れない。動力を別から引っ張ってくるまでは、是非やめて欲しいのだが、笑ってスルーされるのだ。あれ? 私は、シャルル様ではなく、誰かのペットのままじゃない? 呼び名が変わっただけとか、恥ずかしいだけだわ。
創薬ルームも、組織構造が変えられた。
村人Dがミキサーを使えるようになった時点で、私がお役御免になってしまったのだ。私の工房だったのに、なんということだ。働きたい! とは口ばかりで、サボってばかりいたので、文句も言えない。
技術主任にシュバルツを迎え、会計はキーリーだ。工房長に村人Dを任じることで、家賃をゼロにした。私は、お飾り社長である。弟子の所為で名前だけ有名になったので、名前を貸すのが主な仕事で、時々薬師に充電して、どうしてもっていうなら創薬の真似事をしてくれてもいいけどさ、という経営状態もまったく把握しないダメ社長になることが決まった。何もしなくとも収入が得られるおいしい地位のようでいて、誰か1人に裏切られたら終わってしまうデンジャラスな身分である。
またフリダシのペットに戻ってしまった。。。
「お前の魔力頼みだからな、しっかり補充しろよ」
「はい」
「これが、本来のクロが狙われた理由だろう」
「え?」
「鳥頭が当代随一の魔法使いだと言っていたが、魔力内包量だけなら、あいつは、この村の子どもにも劣る」
「え?」
「教育を施せば、希代の魔法使いを量産できるんだ」
「恐ろしい!」
産業革命の起こりをこの目で見てしまった衝撃に気を取られていたが、一番の問題点を理解していなかった。天狗っ鼻の魔法使いを鼻で笑うような魔法使いの軍団って、国家規模の軍事組織にならないか? あんまり魔法を乱発されたら、充電を1人でやるって、ツライんですけど。
「特別のクロがいなければ機能しないが、これだけの魔法使いを保持できるのなら、犯罪行為上等だったんだろうな」
「魔法を使いこなせないシャルルでも、貴重な人材って聞いたよー」
「特別のクロが確保できなくとも、クロの保持がステータスだったのかもしれない。愛玩動物になる前は」
「あいが、、、」
「俺が、復活させてしまったんだ。責任を持って守るが、お前自身も自分の価値を理解しろよ」
シュバ衛門の庇護下に入るの決定だ。ジョエルバリアとシュバルツバリアの二重展開で、完璧かな? もう姉の沽券とか、どうでもいい。
「誘拐怖い! もうタケルから、絶対に離れない!!」
お昼寝中のタケルをギュッと抱きしめた。
「それは、魔獣だろう。お前に最後まで付き従うことはできない。自分で自分を守れ。今度は、俺が先生になってやる」
「ハイスペック博士と、同等の能力を求められても困りますー」
「お勉強は、得意だろう? 叩き込んでやる」
のほほん創薬ライフを終わらせたのは、そういうことか。弟妹のためと思えば主席も取るが、弟妹を失った私に勉強ができると思うなよ?
次回、魔法特訓の後、章が変わります。
次章で当初計画では終了だったんだけど、
終わっていいネタにならない予感。




