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死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります  作者: 穂村満月
第六章.Let's get married

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72.博士と村

「さて、感動の再会は終わったから、次はジョエルのターンだよ!」

 仲良くできるように仲裁したハズなのに、ジョエルは、まだご機嫌ナナメな顔だった。折角の美女が台無しだ。

「シュバルツと結婚はしないよ」

「え? 何言ってるの? 違うよね」

 私は、前にジョエルにシュバルツと結婚しろと言ったらしい。どっちも男なのに、何の話をしていたのだろうか。

「ジョエルには、女性の釣書を送るように、お母様に言っておいたよ? お兄さんズが片付くまでは、届かないかもしれないけど」

「そんな物は、届かない。もう相手は決まってるもの」

「そうなんだ」

 あんなに嫌がっていた結婚相手、女性なら即決なのか。びっくりしたが、今はどうでもいい。どうせ戻るまでは、紹介もしてはもらえない。

「今問題なのは、ジョエルの結婚相手じゃなくて、シュバルツを助けて欲しいんだよ。ここの施設から連れ出して、シュバルツが安心して暮らせる場所を見つけて欲しいの。前は3日しかいられなかったの。時間がないんだよ」

「連れ出すのは簡単だけど、暮らす場所は難問ね。以前いた場所には戻せないとすると」

「村に連れて行ったら、ダメかな?」

「あの村なら受け入れてもらえるだろうけど、現時点の村に知り合いはいないよ?」

「そうか。そうだね」

「まあ、でも時間がないのなら、とりあえずここを出ましょう。先々のことは、出ながら考えればいいよ」


 洞窟の作りは、入ってきた時と同じだ。迷う心配はない。入り口にちゃんとドアが付いていたり、鍵がかかっていたりしたが、ジョエルさえいれば関係ない。鍵を無視してドアごと壊すか、壁に穴を開けて通るか、だ。そんなことをしていれば、騒音で人に気付かれてしまうが、用心棒程度にやられるジョエルじゃない。私とシュバルツが余計なことをしなければ、すぐに片付く。簡単に外に出ることができた。


 しばらく歩いた先で、ジョエルは、シュバルツに剣を渡すと、洞窟に戻って行った。ここで休憩して、待っていればいいらしい。

「お前の母親、すごいな」

「そうでしょ。強いし、美人だし、自慢のお母さんなんだよ」

 暇なので、また以前のように色々な話をした。特に、1番大事なのは、結婚して幸せに暮らしましたとさ、という話だ。複数の女性と浮き名を流して暮らすんじゃなくて、ただ1人の相手を選んで結婚して欲しいというお願いだ。最終的には、シュバルツの勝手ではあるものの、そうしてくれたら私のモヤモヤはなくなるのだ。自己満足のために、大事な話だ。


 ジョエルは、沢山の人を連れて戻ってきた。クロのツガイとクロの赤ちゃんとクロの商品予備軍だろう。黒髪御一行様だ。こんな沢山の黒髪は、久しぶりに見た。細かくカウントしていないが、3クラス分くらいいる。90人プラス赤ちゃんくらいの人数だろうか。

「ルルーの親戚かもしれないでしょう? そのままにしておくのも忍びないから、連れてきたの。それに、シュバルツ1人を隠すより、沢山いたらみんなで守りあえるかと思ったのよ」

 そんな話をしながら、村に向かって移動開始だ。いつかシュバルツに会ったら分けてあげようと、携帯食料なら死ぬほど持っている。水は、途中の街でジョエルに調達してきてもらった。水を運ぶ荷車に小さい子を乗せたら、移動速度が少し上がった。



 村に着くまで、一週間もかかってしまった。途中で、私とジョエルが消えずに済んだのは良かったが、遠かった! そして、わざわざ来たのに。

「おかしいわね。森はあるのに、村がないわ」

 そう。地形その他は見覚えのある場所なのに、肝心の村がなかったのだ。

「あの村、最近できた村だったんだね」

「丁度いい。新しく作ればいいだろう。最初は大変だが、変なヤツらがいない方が安全だ。必要なら、ここにも施設を作る。シャルル、道具を出してくれ」

 無人島サバイバルで生きていた博士がやる気を出している。ならば、できるだろうか? 少なくとも未来には村があるのだ。人が暮らせない土地ではないハズだ。

 私は、大工道具と家具用に買った木材を出した。

「今度は、タンスじゃないのか。随分とキレイな板だな」

 シュバルツとクロの男たちで、家を作るらしい。私は、クロの小さい子たちと炊き出しの準備を始めた。

 携帯食料は非常食だ。ジョエルが獲ってきた肉と、そこらで拾ってきた木の実や草で、食事を作る。私は、こちらでもそこらの木の実や雑草を食べようとしては、皆に怒られてきた。今では、食べられる物とそれ以外の判別は可能だ。食料調達は任せろ!


 1日では、家は出来上がらなかった。同時進行で5軒ほど建てているのだが、床と一部の壁ができている状態だ。生えている木を4.5本使って作るツリーハウスだ。基礎に時間がかからないから、簡易的に作るのだと言っていた。材料がほぼ生木なので、どうせ建て替えるから、当座は何でもいいらしい。もう短期計画と長期計画が出来上がっているとは、シュバルツは、やはり大きくなっていた。

 みんなは、家の床で寝始めたが、私は、テントだ。ジョエルには怒られたが、私は、シュバルツと同じテントで寝る。ジョエルは寝相が悪すぎるから、もう一つテントを出してあげた。


 家ができたら、村を囲う柵を作る。今は、ジョエルが食肉の確保兼害獣の駆除をしているが、前回を思えば、いついなくなるやらわからない。外部の人間も脅威だ。いざとなれば、砦として機能させなければいけないらしい。よくもそんな物をスラスラ設計できるな、と呆れていたが、ネタ元は私だと言われた。

 城に住んでいたつながりで、日本の城や海外の城について話したらしい。私の知ってる城って何だろう。秀吉の一夜城だろうか。白鷺城だろうか。行ったことも見たこともない城なのだけれど、本当に参考になる話をしたのだろうか? まさかとは思うけど、遠足で行った昭和時代に作られたコンクリート製の城もどきの話じゃないよね? あれは、ただの博物館だよ!


 ジョエルは、害獣駆除ができるし、護衛もできるし、木を根っこごと引っこ抜いて、農地と木材の確保をしている。一家に一人いたら最高! を地でいっているが、私は、色々飽きてしまって、創薬を始めた。これだけ沢山人がいたら、傷薬はいくらあってもいいよね。

「それは、なんだ?」

 最近は、作業はクロの男たちに丸投げで、設計しかしていないシュバルツが、やってきた。

「言ってなかったっけ? 私、新米薬師なんだよ。創薬してるの。前にあげた傷薬の材料、この辺なら適当に生えてるんだよ。あとね、髪の染料。弟子が作ったんだけど、みんなの髪を黒く染めたら、私の黒髪が目立たなくなるんだって」

「新米なのに、弟子がいるのか? すごいな。だが、他人を黒くするより、自分が黒じゃなくなる方が良くないか?」

「私もその予定だったけど、黒くする方が簡単だって言われちゃったんだよ」

「それは、そうかもしれないが。黒に色をいくら重ねても黒だからな。一度、色を抜く必要があるのか?」

「シュバルツも創薬してみる? 私の作れる薬はいくつもないけど、それで良ければ教えるよ」

「ああ、教えてくれ」

 私は、特級傷薬と解毒剤と髪の染料の作り方をシュバルツに教えた。


「ごめんね、シュバルツ。今回は少し長くいられたけど、もう終わりみたい」

「そのようだな」

 私の身体は、また光り出した。

「頭撫でさせて」

「ああ。生きて待ってるから。だから、また来てくれ」

「うん。また会いたい。会えて良かった」

 残り少ない携帯食料を全部出した。あと。

「これ、未来のシュバルツにもらったの。これが私の分で、きっとこれがシュバルツの分」

 シュバルツの手に指輪をはめた。私の分は左手の薬指だったのに、シュバルツのは右手の中指だった。何故だ。

「次は、結婚しよう。俺の妻は、シャルルただ1人だ」

 シュバルツに口付けされた。

 違うよ、シュバルツ! 口をふさがれた私は、否定する前に消えてしまった。

次回は、閑話です。

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