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死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります  作者: 穂村満月
第六章.Let's get married

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71.クロの家

 トリトリ先生が、お詫びをしたいとのことで、クロの工場跡地に連れて行ってくれることになった。興味はなくもないのだが、連れて行ってくれると言うことは、一緒に行動するということだ。とても微妙な気持ちになる。もう魔法も魔法薬も教わる予定はないので、早くどこへなりと帰ればいいのに。

「ジョエル、絶対守ってね。先生を近付けないでね」

 工場跡地は、海街の近くだ。お姉さん大量発生地域なので、ジョエルはまた女装に戻った。

 先生に勝てそうな知り合い筆頭は、ジョエルだ。ジョエルバリアで、先生をガードすることを目指そう。

「ここだ。ここだ。大分崩れてしまっているが、なんとか入れるようにしよう」

 着いた場所は、海街から少し離れた街道脇、切り立った岩壁の前だった。


「無理だろう。ガレキをどけたとして、すぐ崩れるようなところにルルーを入れる訳にはいかないよ」

「先生が1人で入って、埋まってもらえば丁度いいよ」

「お前、また何かされたのか?」

「思い出したくもない」

「溝が埋まる気がしない!」

 先生が魔法でガレキをどけて、洞窟? を補強したというので、順に中に入る。先生、タケル、ジョエルと私、キーリーの順だ。先生が半径1km以内にいるならば、ジョエルにくっついていれば良い。転んでも倒れる前にガードしてくれる安全機能付きだ。

 キーリーが買ってくれた靴は、鉄板入りで重くて歩けなかった。まだ室内履きなので、足場の悪い場所は苦手だ。常に、足裏マッサージを受けてる状態なのだ。どこか悪くしてるのか、超痛いんだよ。だが、ジョエルがいれば、特に問題はない。耐えれなくなれば、すぐ抱っこで運んでくれる。ジョエルは、さぞかしウザいと思っているだろうから、今日はお姉ちゃんと呼んだ方がいいかもしれない。


 入ってすぐは、ホールのようだった。

 ずっと使ってなかったからか、ガレキと朽ち果てた何かが転がっているだけの、ただの広い空間だ。端の方に、ドアっぽい板が転がっていたり、穴が空いていたりする。

「こんなとこ来て、どうすんだよ。何も残ってねーし、シャルルに関係ないだろ」

「関係はないけど、歴史遺産の観光だよ。先生と末長くお付き合いするつもりがないから、今のうちに場所を聞いておきたかったんだよ」

「用済みになった後の未来が、くっきりと見えるね」

 和やかに会話をしながら、洞窟内を探索する。ホールの端の穴は、隣室の小部屋に繋がっていたり、階段に繋がっていたりした。上階も地下も、小部屋がいっぱいあった。

 小部屋は、狭い物で宿屋の私の部屋と同じサイズ、広くてその2倍くらいだ。天然の洞窟ではなく、岩を削って作ったとしか思えない四角い部屋だ。部屋のサイズも大体揃っていた。手掘りは大変すぎるので、魔法で穴を開けたのかな。ホールと同じく、大した遺留品は残っていなかった。

 だが、地下の小部屋探索中に黒髪の男を見つけた。



「シャルル!」

 男は私に飛びついてきたが、ジョエルオートで避けた。

「え、と。シュバルツ?」

 男は、シュバルツに似ていた。御形と大して変わらないサイズだったハズなのに、ちょっと大きくなっている気がする。育ったシュバルツ? 別人? ジョエルと偽ジョエルの違いがわからない私には、判別機能に期待が持てないが、この世界の黒髪の男など他に知らない。

 ジョエルとシュバルツが、睨み合いをしているので、とりあえず止めよう。シュバルツが、殺されてしまう。

「ジョエル、変質者じゃないよ。シュバルツだよ」

「シュバルツ、前に話したジョエルだよ。私のお母さんだよ」

 ジョエルから一旦離れて、間に割って入った。先生がいなくなったなら、ジョエルにくっついている必要もないもんね。

「お前の母親は、クロじゃないのか? だから、特別なのか?」

「違うよ。生みの親じゃなくて、育ての親。すごい親切で優しい人なの。怖い人から守ってくれて、ごはんを食べさせてくれるの。シュバルツも一緒に守ってもらおうよ」

「シャルルと一緒なら、どこでも構わない。俺のツガイがシャルルなら、ここでもいい」

「ルルーは、お前のツガイじゃない!」

 ジョエルに抱き寄せられた! 怖い。抱き潰される!

「ここは、クロの家だ。クロのツガイが暮らす場所だ。俺はツガイになるために、ここに連れてこられた。シャルルは、出荷するには育ち過ぎている。シャルルにツガイがいないなら、俺のツガイは、シャルルだろう」

「違う!」

 シュバルツは淡々としたものだが、ジョエルは熱くなっている。仲良くしようよ。なんで出会い頭にケンカだよ。

「ジョエル、気付いてないようだから言うけど、キーリーたちがいなくなってるからね。私は、前に体験したからわかるんだけど、ここはシュバルツたちの世界だから。ジョエルの世界の常識を持ち出しても、通じないんだよ」

 強いて言うなら、ジョエルの世界も私の世界じゃない。私にとってはよくあることで、ある意味、こういう謎の状況には慣れた。生活改善はしようと思うが、世界の常識を覆すのは無理だ。

「キーリーとタケルがいないのは、気付いていたわ。これが、海の城でルルーが体験した現象ね? でも、シュバルツは、じいさんじゃないじゃないの!」

「シュバルツは、そのうちじいさんになる予定なんだよ。前に会った時は、もう少し小さかったよ。可愛かったんだよ。そうだ。シュバルツ、ちょっとこっち来て」

 こっち来てと言いつつ、自分から寄って行って抱きしめた。

「よしよし。頑張って生きてたね。偉いえらい。なんだかよくわからないけど、また会えて嬉しいよ」

 ずっとやりたかった目標を達成した。大きくなり過ぎて、頭は届かなかったが、後で撫でさせてもらおう。

「ああ。俺も、ずっと会いたかった。生きてろって言うから、生きてたぞ」

 感動の再会だ。後ろから服を引っ張っている人がいるが、無視だ。破かないでね。

次回、家から脱出します。

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