表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります  作者: 穂村満月
第五章.空虚無用

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/125

69.閑話、パーカー視点

 シャルルちゃんが遊びに来ると聞いて、仕事を休んで、家で待っていた。余計なことに、兄たちも一緒である。ベイリーなんて、村まで会いに行ったりしていたんだから、今日は仕事に行けばいいものを。

 シャルルちゃんの到着の知らせを聞いて、ダッシュで玄関に向かった。走るのなら、俺が1番だ!

「シャルルちゃん?」

 見てみて、君の薬を愛用しているよ!

 アピールしようと思ったのに、何故かシャルルちゃんは、伏せた。シャルルちゃんが開発した薬なのに、使った客の状態が気に入らないって、どういうこと? 倒れるほど似合わなかった? また、よくわからない地雷を踏んでしまったのか?!

「あなた達、一度部屋に戻りなさい。呼ぶまで出てこないこと」

 母さんに命令され、渋々引き下がった。



 兄と一緒に部屋で待機していたら、俺だけ母さんに呼ばれた。シャルルちゃんのお茶会に参加させてもらえるらしい。やった! と、喜んだが、依頼内容が微妙だった。王子様の仮装をしないといけないらしい。

 どんな格好か、わからないうちは良かった。だけど、服を見繕われた後、どうして俺が選ばれたかを察した。1番簡単に陥落させられる、と思われたのだろう。

 上は普通のスーツだが、下は蛍光ピンクとグリーンのタイツの上に、オレンジのバルーンパンツを履く。そこに赤い花を乗せた背負子を担ぐのだ。意味がわからない。仮装にしても、何を目的とした仮装なんだよ。王子様って、なんなんだ!

「シャルルちゃんの地元では、王子様が女の子の憧れなんですって」

「本気? 絶対聞き間違いか何かでしょ」

「でも、ジョエルが、こんな格好で馬に乗ったらいいって、言っていたの。貴方たちのことをジョエルと見間違えていたから、貴方でもいいんじゃないかしら。それとも、ペイトンに譲る?」

「行く」

 不安しかないが、兄に譲るのも癪だ。どうせ兄が着ても俺と同じ顔だと言われるくらいなら、自分がやって話す機会を逃さない方がマシだろう。



「シャルルちゃん。王子様は、これであっているかしら?」

 多少の間違いはあったようだが、王子様の話は本当にしたらしい。

「上半身は、基本白で、金糸銀糸で縁取られてて、袖がレースでバッサバサで、胸元スカーフがビラビラで、、、かぼちゃパンツは、2色の縦縞で赤と黄色だったかな? もしかしたら、紺のチュニックを着てたかもしれないし、そうそう! 赤いマントを付けて、王冠かぶって、、、すみません、タイツと靴は、どんなだったか、記憶にないです」

 女2人で、真面目な顔をして話し合っていたが。

「やっぱり、それ、褒め言葉じゃないよね!」

 バッサバサとか、ビラビラとか、憧れに対して使う言葉とは思えない。シャルルちゃんは、会話に独特のセンスを発揮することがあったが、きっとこれは、シャルルちゃんの憧れではない。百歩譲って、シャルルちゃんの友達がこれを好きなんだとして、シャルルちゃんの好みの話ではなかったのだろう。

「ありがとう。参考になったわ。張り切って作るから、2人で並んで歩いてね」

 俺の役目は、終了した。だけど、部屋に戻る前にお願いしておいた。

「俺の分も作ってね」

「勿論よ」



 母さんは、昨晩、とても張り切ったようだ。朝食を食べに行ったら、王子様の服が5着並べて置いてあった。

 昨日の仕事の報酬で、1番先に選んでいいと言われたので、上が白のロングトレーナーで、下が脛の辺りで絞られた黒のバルーンパンツ、黒のタイツに黒ブーツの王子様服を選んだ。レースとリボンが付いていない服は、これしかなかった。

 次に、ジョエルが出て来たので、止めた。

「お前の服は、もう決まっている。選ぶ必要はない」

「なんでだ」

「この服だ。脛を出して歩ける男は、お前くらいだ。兄貴たちに、これを着せるつもりか?」

「そういうことなら、それでいい。わたし用の服なんだろう」

 母さんが、そんなうっかりをするハズがない。ジョエルの服だけは、わかる。何故、ジョエルの服だけわかるのか、もう少し考えれば良かった。


 エメリーはモスグリーン、ベイリーは茶色の色違い王子様。白の袖レースシャツにそれぞれの色のベストとバルーンパンツなのだが、タイだけでなく、至る所にリボンが付いている。色付きで、1番目を引く服だとは思ったが、リボンの量が俺には耐えられなかった。

 ペイトンは、ハイネックのトレーナーにバルーンパンツ。全身黒だ。金髪なら映えたかもしれないが、今は髪も黒い。パンツが1番ロング丈なのは惹かれたが、服のデザインもへったくれもなく、黒いという印象しか持てなそうな気がした。敵は、あのシャルルちゃんだ。絶対、黒いねーとしか言わないだろう。

 着替えたら、出陣だ。



 思わぬ反応を得た。

「きゃあぁあ。すっごい、格好いい!」

 シャルルちゃんでなければ、よくある光景だが、基本困り顔しか見せないシャルルちゃんが、喜んでいるだと? 服をかえただけなのに??? 服が大事だったのか!

 だが、そう思ったのは、まだ早かった。

「大好きです。格好良いです。メロメロです。私も着てみたいですー」

「「「「「「え?」」」」」」

 格好良いって、俺のことじゃなかったの? なんで? 服だけ?

「え? これ、女性用ですよね? モデルが男なだけで」

 そうだったのか。試着を頼まれたから、てっきり男物だと思っていた。そういえばシャルルちゃんは、ジョエルに着せたいと言っていたのだ。王子様が女物でも、なんの不思議もなかった。


 あっという間に、シャルルちゃんは真っ白王子様になって戻ってきた。納得した。王子様は、女の子の服だ。とても可愛い。

 ここで、大事な質問が降ってきた。

「ところで、参考までに聞くのだけれど、どの息子が1番いいかしら?」

 勇んで母さんの横に並んだ。俺だ! 俺を選んでくれ!!

「どのジョエルも格好いいですけど、私は、このジョエルが1番好きです」

 このジョエルって、何だ? 選んだのは、ジョエルだった。

「ですって。良かったわね、ジョエル」

 ジョエルの服だけ決まっていた理由が、わかった。母さんは、ジョエルの味方だったのだ。昨日、生け贄になってやったのに、なんてことだ。



「酷いな。母さんは、ジョエルの味方だったんだね」

 勝てないのは分かっているが、非難した。

「5人とも、大事な私の息子よ。特定の誰かを贔屓するつもりなんてないのよ。でもね、シャルルちゃんを捕まえようと思ったら、誰が1番有利だと思う? ジョエルがシャルルちゃんを連れて帰ってきてくれたら、誰のお嫁さんになっても構わない、と思っているのよ」

 背筋が凍った。まったく勝てる気がしない理論だった。母さんに反発したら、その最終決戦に混ぜてあげないけどね、ということなのだろう。

 しかし、それはシャルルちゃんにとっての幸せなのだろうか。母さんに任せておけば、大体上手くいってしまう実績を考えると、不安が大きくなった。

次回、新章入ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 今日一気にここまで読みました。面白かったです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ