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死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります  作者: 穂村満月
第五章.空虚無用

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65.実は、ずっと見ていたよ

 今日こそ移動日だ。とてもパン屋さんが気になるが、私が行っても誘拐されるだけだということは、わかっている。だが、気になる。

「お姉様、助けてくださいませ」

 お姉様と呼ばれたものの、シャルルと同い年にしか見えない女の子にすがられた。鈴音みたいで可愛いが、知らない子だ。シャルルの知り合いでもないと思う。だって、シャルルは超がつく引きこもりだ。

「ええと、、、誰ですか?」

「リストランテ・マウスィの娘です」

 知らんな! だ、れ、だ!

「昨日のパン屋さんだよ」

 すかさずおじさんがフォローしてくれた。やはり文字が読める男は違う。看板に書いてあったに違いない。

 そうか、あれは、パン屋じゃなかったのか。そうじゃなくても、この街の顔見知りなどほぼいないのだ。気付いて然るべきだったね。

「パン屋さんが、どうかしたの?」

「男がたくさ」

「タケル、パン屋にダッシュ! 私は待ってるから、パン屋さんを守って」

「それはダメ」

 タケルは、偽シュバルツに変化すると、私を担いで走りだした。ジョエルほどではないが、速い。人混みを走っているうちも速かったが、障害物に辟易したのか、家の塀や屋根の上を走りだして、すごい怖かったよ!

 おかげで間に合ったのか、パン屋さんは男に囲まれてはいたけど無傷だったので、タケルに大人しくさせるように頼んだ。家に帰らせるとまた来てしまうようなので、とりあえず店の隅に集めて座って待ってもらっている。おじさんが来るまで、待機だ。あれ? おじさん、後で来るよね? 来なかったら、どうしよう。

 むーん。こういう時は、どうしたらいいのだろう。何があっても、ジョエルやキーリーに丸投げしてきたので、脳がサビついている気がする。シュバルツの時もそうだったが、1人になると途端にどうしたらいいのか、わからない。パン屋さんにお礼を言われたので、間違ったことはしていないといいな、と思う。このまま放置して去ったら、パン屋さんがより面倒に巻き込まれるのだけはわかるが、だったらどうしたらいいの?

「こういうのは、ジョエルよりトリトリ先生案件な気がする」

「やっと呼んでくれたね」

 なんと! 背後にトリトリ先生が立っていた。え? いつから?

「先生?」

「ずっと呼んでくれるのを心待ちにしていたよ」

 久しぶりに会ったけど、やっぱりなんとなく気持ち悪い人だよね。申し訳ないから言わないけれど。

「ああ、金髪と茶髪は来ないから、オレにしか頼れないよ。存分に頼ってくれたまえ」

「そっか。良かった。村でのんびりしてるんだね。ジョエル、あの村が大好きだから、良かったよ」

「違うよ。オレが、お嬢さんの痕跡を消して、見当違いの方へバラまいたからだよ。しばらくは気付かれないハズだ。お嬢さんが、フードを取らないでいてくれたら、完璧だった」

「え? 探されてるの?」

 それって、一緒に出歩くより迷惑じゃない? なんで? 探さなくていいように、手紙を置いてきたのに。

「で、オレに何を期待しているのかな?」

「パン屋さんと、あっちのお兄さんたちが揉めてるから、仲良くさせて欲しい」

「それなら、確かにオレ案件だな。札束で人を殴るのは、得意技なんだ。安心して任せてくれたまえ。だが、君にも対価を要求してもいいだろうか?」

 そうだ。先生は、まったく関係ない人だ。何かあるとぽこぽこ奢ってもらったりしてきたが、本当はそれもいけないことだと思う。

「要求は、なんですか?」

「セクハラ解禁」

 !! 1番嫌なヤツ!

 すごい嫌なのだが、セクハラされても我慢すればいいだけだ。死にはしないし、イスやテーブルも壊れないし、パンも無駄にならない。だがしかし、先生のセクハラは、とんでもなくしつこいよ。息を吸うようにセクハラしてくるのだ。絶対に嫌だ!

「成功報酬なら」

 絶対に嫌だ!!

「本当に呆れるね。通りすがりのパン屋に、そんな価値があるのかい? その甘さをこちらにも分けて欲しいものだ。だが、覚悟は受け取った。任されよう」

 先生は、パン屋さんを連れて、お兄さんたちの方へ行った。揉め事の全てを金の力で解決しようとしている。ここで使ったお金を、私は返却することができるのだろうか? 毛染め剤は売れているが、金額の桁が違う気しかしない。

 地上げだの誘拐だのと言う単語が聞こえた。ひょっとして、引っ越せばいいだけの話だったのだろうか? 引っ越せなかった私が言うことではないが。

 ああ、セクハラ嫌だ。セクハラ怖い。先生なんか、嫌いだ。お願いを聞いてもらってる最中に言うことじゃないが、大っ嫌いだ。


 お茶を飲みのみ待っていたら、話がまとまったそうで、男たちは帰って行った。話してる間に、おじさんと娘さんも合流した。私も、おじさんに連れられて帰る。先生は、お店に残った。

「おじさん、また勝手なことして、ごめんね」

「そうだねぇ。悪い子じゃないとは思ってるんだけど、おじさんの寿命にも気を配ってくれると有難いかな」

 先生がお店に残ってくれたので、今度こそ次の街へ行く。頭を晒してしまったので、あまり長居はしない方がいい。

次回は、毛染め剤のお客様に会う予定です。

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