44.閑話、セレスティア視点
評価ありがとうございました。
ヘタレて適当なこと書いてたのを、反省しました。
私は、セレスティア。年齢はないのよ? 素敵な旦那様の妻と、5人の息子の母と、いくつかの店舗経営をしているわ。
私は、いつも通りの生活をしていたのだけれど、連絡もなく急に、離れて暮らしている末息子のジョエルが帰ってきたの。シャルルちゃんが困っているから、助けて欲しいって。細かい説明もなく、たいした準備もできず、すぐに来てと言われて、出かけたの。大事な将来のお嫁さん候補だもの。助けに行くのに異論はないのだけど、息子に抱いて運ばれるなんて、びっくりしたわ。シャルルちゃんのこと以外、目に入っていないのね。
道々で話は聞いたのだけど、シャルルちゃんを見るまでは信じられなかった。ユニークなことを言っては眉を8の字にしていた可愛らしいシャルルちゃんが、緊張して遠慮をしているのではなく、怯えて震えていた。泣いて、すべてを拒絶していた。
助けてあげたいけれど、どうしたらいいかしら。息子たちは頑丈だから、軍隊式で育ててきたけれど、シャルルちゃんは女の子だものね。
「覚えていないかもしれないけれど、おばあちゃんですよ」
ちょっと失敗してしまったけれど、抱っこすることができたわ。可愛い可愛いシャルルちゃん。本当に可愛い子ね。でも、泣いて嘆いて可哀想。
泣きながら今までの話を聞かせてくれて、やっと状況がわかったの。ジョエルは、まだまだね。こんなに可愛いシャルルちゃんが悩んでいるのに、何を悩んでいるかもわかっていないなんて。再教育が必要だわ。
「シャルルちゃん、お茶会をしましょう。前に一度したことがあるけれど、今日のお茶会は、男子禁制よ。可愛い娘と2人きりよ。楽しみだわ。準備するから、付き合ってね」
シャルルちゃんの部屋から出たってだけで、わらわら男たちが集まってきたわ。流石、シャルルちゃんね。男たちは、情けないわ。
「これから、こちらでシャルルちゃんとお茶会を開きます。まずは、あの部屋から出れるかを試してみようと思うの。協力して頂ける?」
皆に協力させて、軽食とお茶の準備、部屋の簡単な飾りつけ、それが終わったら出て行ってもらう。
残念だけど、私の査定では、シャルルちゃんの横に並べても良さそうなのは、宿屋の主人くらいね。もう少し若かったら合格なのだけど。息子は、論外の手前レベル。再教育くらいじゃ足りないかしら?
男たちを働かせている間、私の仕事は、シャルルちゃんの飾り付け。急すぎて、あまり持っては来れなかったのだけど、ドレスとアクセサリーを少しは持ってきたの! 可愛い娘のドレスアップよ。私の独り占めよ。とても素敵な時間だわ。非現実が、いい薬になるといいのだけれど。
戸締り確認をしたら、シャルルちゃんを食堂までエスコートする。戸惑っているシャルルちゃんも、可愛いわ。このまま私のペースで、なし崩しに外に出られるようになるといいけれど。震えているから、無理かしら?
「1番最初は、ジョエル母さんのホットココアよ! お茶もあるけれど、お菓子もいっぱい持ってきたけれど、まずはこれを一口飲んで頂戴」
上手くハマるか賭けだったのだけど、表情を変えることに成功したわ。やっとこっちを見てくれた。可愛いわ。
シャルルちゃんの話は、この年頃の女の子には難しい話だったけど、私くらいになったらそれほどじゃないわよね。家のため、お金のために好きでもない男と結婚するとか、自分の意思に関係なく無理矢理、、、なんて、よくある話の一つだと思うわ。そう思う人もいるって知って欲しくて、私の話を沢山した。長く生きていると嫌なことや、大変なこと、失敗したことも沢山あるから、ダメだった私の話を沢山した。
おかしな話をすると、笑ってくれるシャルルちゃん。このまま独り占めしていたかったけど、男性克服の練習をすることを承諾してもらえたわ。
「ジョエル、こちらに来なさい」
「はい」
「これから、あなたを使って、シャルルちゃんの恐怖症克服訓練を行います。速やかに間違いなく、私の指示通りに動くこと。誓いを破れば、もうシャルルちゃんには会うことはできないと、心に留めなさい。できるかしら?」
「必ず期待に応えてみせます」
「よろしい。ついてらっしゃい。皆様、頑張ってくるから、もう少し時間を下さいね」
「じゃあ、ジョエルを部屋に入れるわねー。ジョエル、入って扉の前に!」
久しぶりに動かしたけれど、ジョエルの動きは悪くなかったわ。教育が必要なのは、状況判断力だけでいいのかしら? 駒としてしか動けないのでは、使えないものね。
まだ距離は空いているのに、シャルルちゃんは受け入れられないみたい。ジョエルの魅力は、まったく通じていないのね。残念だわ。
「そんなに急に克服は無理よね。今日は、このくらいで終わりにしましょう。ジョエルは外へ」
「はい」
以前見た時は、ジョエルはまったく男扱いされていなかったから、なんとかならないかと思ったけれど、無理だったみたい。仲が良い時は女同士、仲が悪い時は男扱い。私の所為なのは認めるけれど、難儀な子になってしまったわね。
だけど、まったく何も成果がなかった訳ではなかったの。シャルルちゃんは、ごはんを食べてくれるようになった。震えてはいるけれど、表情は豊かになった。近寄れないけれど、会話はできるようになった。むしろ息子の方こそポンコツなままで、どうしてくれようかしら。
シャルルちゃんは、震えながら勇気を出してくれたのに。息子は顔を赤くするだけだったの。がっかりね。
次は、キーリー君を駒にする。
正直、息子よりも目端がきいて有望な子だったから、このまま放っておきたいのだけれど、シャルルちゃんのためと訓練することにした。
話をすればするほど、シャルルちゃんへの思いやりを感じられて、悲しくなったわ。いっそキーリー君を五男坊にしたいくらい。なんていい子なのかしら。
キーリー君は、シャルルちゃんに受け入れてもらうヤル気をまったく出さなくて、時間を沢山浪費したけれど、動いたらあっという間によくわからない方法で、一気に受け入れられた。
これはもううちの子たち、全員振られるんじゃないかしら。本命宿屋主人、対抗キーリー君、ジョエルは大穴に入れたらいいくらいかしら?
シャルルちゃんの人気を利用して、村の皆様にもご協力頂いて、もう大丈夫かな、と思ったところで、帰ることにしたの。 何の手配もなく、長期休暇を取ってしまったから、そろそろ戻らないとね。 そんなこと程度で潰れる従業員なんて雇っていないけれど、あまりのんびりしていたら、示しがつかないもの。
「ジョエル、私は帰るけれど、また何かあったら呼んでくれて構わないからね。私はシャルルちゃんが大好きだから、いつでも来るわ」
「本当に助かった。ありがとう。感謝してる」
「でもね。あなた、このままじゃ、選んでもらえないわ。シャルルちゃんの本命は、宿屋の大旦那、対抗キーリー君。ジョエルは、まだ大穴にも入ってないと思うの。少し頑張ったくらいじゃ、どうにもならないわ。死ぬ気で取り組みなさい。じゃあね」
「え? 大旦那? そうなの?!」
ぼんやりしていないで、励みなさい。
次回、那砂の心を一番占めている存在がわかるかも?




