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死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります  作者: 穂村満月
第三章.さよなら大好きだよ

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39.シャルル?

「ルルー、シャルル! 起きなさい‼︎」

「ひぅっ、ごめんなさい!」

 目を開けたら、金髪翠眼美女が目の前にいました。

 誰? 何? どういう状況? よく見たら、部屋もどこだここ???

 部屋と呼ぶには、やたらと狭い部屋。それでいて、狭いくせにベッドが置いてあり、もうベッドで終わる部屋だ。あのドアからベッドを入れるのは、角度的に無理なんじゃなかろうか。ベッドを入れてから部屋を作ったのか、部屋の中でベッドを作ったのか?

「ルルー、もう人様に迷惑をかけるのは、辞めなさい。常識をわきまえて、観念なさい!」

 訳がわからなすぎると声も出ないんだね。美女は、私に向かって怒っているようだけど、昨日は飲み会もなかったし、自分の布団でおやすみを言った記憶がある。どんなに寝相が悪くったって、知らない部屋で起きることはないだろう。夢遊病か? 寝ながら歩いて、美女と知り合って、すごい親しくなって、、、って、そんなことは起きる訳がない。

「なんだこれ!」

夢かと思ったけど、ちゃんと身体が起き上がった。声も出た。リアルな触感もある。多分、夢じゃない。何故だ!

「ルルー? どうしたの? どこか具合が悪いの?」

 美女に心配そうな顔をされて、すっごい気が咎めたけれど、ごめんね、ちょっと今はよくわからないから。

「ごめんね、ジョエル。ちょっと1人にして」

 と部屋から追い出させてもらった。

 って、ちょっと待て。ジョエルって、誰だよ? あの美女の名前か? 名前を知ってるってことは、やっぱり知り合いなのか。誰だよ。知り合いに、金髪美女はいないよ。

 最近会ってない小学校時代の友達が染めました、というのとは、訳が違う。どう見ても、日本人とは人種が違う。流暢な日本語喋ってるから、親が帰化した日本人かもしれないけれど、知り合いにハーフもクォーターもいないんだよ。整形でも、あり得ないだろう。

 謎が謎を呼んで、ますます大混乱しそうになったところで、また問題発見。部屋の窓に映った自分の姿が知らない人でした。。。えー。


 窓に映った私の姿は、真っ黒な髪と瞳。日本人の黒髪は茶髪かもしれないと思うほどの、スーパーブラックの髪を胸元まで伸ばし、血色の悪い白い肌に乗る黒い瞳も印象的だった。やたらとフリフリひらひらした薄緑の服から細い手足が伸びている。

 年齢は、中高生くらいに見える。日本人だったら、という前提の話なので、人種が違ければ、多少前後するだろう。

 これが自分だとは、全く信じられないけれど、私と同じ動きをしているので、私なのだろう。確かに手で摘んだ髪色も同じ色だ。

 何故だ? 何が起きた? ジョエルなんて人は、あだ名やアニメキャラクターを含めても、全く覚えのない名前だ。まったく思い出せない。  



 しばらく部屋で1人で葛藤してたら、ジョエルがやってきてご飯に誘われた。食事する気分にはなれなかったけれど、部屋から出た。

 私がいた部屋は二階で、階段で一階に降りたら、広い食堂があった。元アルバイト先の牛丼屋のような形のカウンター席が真ん中にあって、丸いテーブルや、四角いテーブルが、周囲に雑然と置かれている。イスの形もバラバラで無秩序だったが、材質が同じだからか、統一感を感じなくもない。

 適当に選んだ席につき、ジョエルが注文した何かを食べる。カツサンドに見えたが、カツの肉は豚ではない。何の肉だか、わからない。


 食事しながらジョエルの話を聞いて、これが異世界転生ってヤツなのだろうか? と思った。

 前世? の私は、まだ死んでないと思うし、神様にも会ってないし、ライトノベルと違くない? 前の私はどうなった? と思うのだけど、夢の途中とかでなければ、それが1番しっくりくるような気がした。転生先の身体が、ちょっと育ちすぎてる気もするし、今までの記憶がほぼないし、この身体の持ち主の精神を追い出して乗っ取ったとかじゃないといいな、と思う。返したくても、身体の返し方もわからないしね。


 そして、ここは図書館のティーンコーナにずらずら並んでる、ファンタジー風味のライトノベルのような世界で、転生先のシャルルさんは魔法使いで、ジョエルさんとキーリーさんと一緒に冒険者として暮らしているらしい。ライトノベルの世界って何だって思うけども。冒険って何だよ、って思うけども。現状確認してるだけなのに、ツッコミどころしかないのが切ないよね。これが、ただの自分の妄想だったら面白いのに。早く目よ覚めろ。いや、一生目を覚さない方がいいような気もする。


 魔法使いって聞いた時は、ちょっと心が踊ったよ。魔法なんて使ったことないからね。電気やガスがなくったって、魔法があれば便利に暮らせるかもしれないし、不思議現象、いっぱい起こしてみたいじゃない?

 だけどよ? 魔力は沢山あるみたいだけど、自分で制御出来ないから、周りの全てを巻きこんで暴走させることしかできないって聞いて、恐怖を感じた。それは、使っちゃいけない魔法だ。うっかり飛び出して、大変危ないらしい。

 しかもね。記憶はないハズなんだけど、なんでか知ってた知識では、シャルルの魔法は魔法じゃないらしい。この世界では、魔力を持ってる人が呪文を唱えると魔法が使えるらしいのだけど、シャルルは呪文を唱えても魔法が使えない。だから、暴走魔法しか使えない。その暴走魔法は、何故か無詠唱で使用可能で、うっかり飛び出すから、大変危険らしい。  


 その使い道の謎なシャルルを仲間にした理由は、ちょっとわかった。魔力を持っている人が冒険者になることは希少で、魔法使いと名乗るだけで、引く手数多なんだそうだ。なみいるライバルたちを押し除けて、仲間の座を勝ち取ってみたら、使えない魔法だと知ったけど、今更放り出すのも気が咎めたのだろう。戦闘ができない女の子を放り出すことができない面倒見のいい美女のジョエルさんは、男性ですって。  


 見た目完全に女性だし、服飾が異文化で誤解してしまった訳でもなく、心が女性という訳でもなく。両親が女の子が欲しかったというから、女の子の服を着ているらしい。似合ってはいるけれど、それは本当に親孝行なのか?

 さっき男装に、わざわざ着替えてきて見せてくれたんだけど、白馬の王子みたいな人が出てきて、少し腹が立ちました。ズルいよね。


 もう1人の仲間のキーリーさんは、中肉中背。髪も瞳も茶色で、とても背景になじむ人。一緒にいて落ち着くー、と思ったら、結構な毒舌家のようでした。

「お前、いい加減にしろよ。これ以上、変なことするな!」

 私は何もしてないのに、ひどいいい草じゃない?

「私が何したって言うの? 変かもしれないけど、悪いことなんてしてないよ」

「るる!」

 どこからか、入ってきた黒猫が、膝に乗ったと思ったら、しゃべった。ファンタジー!

「何この子、可愛い!」

「タケル、やくそくまもった。える、なかよし」

「そっかー。可愛いね」

 黒猫? タケル? 宅配便? 偶然かな???

「える、るる、もどった」

「戻った? まさか、また?」

「シャル、うちのイケメン、どう思う?」

「ムカつく」

 あら、うっかり! ほほほほほ。

「あいつかもしれない!」

手抜きではないです。滝汗。

よく見ると、ちょっと違います。



次回、キーリーがやらかします。

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