38.閑話、シャルル視点
私の名前は、シャルル。16歳、ということになっている。本当の年齢なんて、知らない。
私の最初の記憶は、おじいさんとの生活だ。父親でも、祖父でもないおじいさんだ。どうして一緒にいたのかは、わからない。
私は、部屋に閉じ込められていた。おじいさんに会いに行こうとしても、ドアは開かなかった。窓がない部屋だった。日に2度か3度、おじいさんが食事を運んで来てくれる。時には、文字を教えてくれたり、積み木で遊んでくれたりするが、それ以外は、ずっと1人だった。
ある日を境に、おじいさんが来なくなった。お腹が空いて耐えられなくなって、何日かかけてドアを壊した。おじいさんは、別の部屋で寝ていた。もう動かなかった。
しばらくおじいさんといたけれど、食べ物がなくなって、外に出た。
それからは、色々な家を転々とした。
街を歩いていると、声をかけられる。いろんな人が、ごはんを食べさせてくれた。家に住まわせてくれた。時々、肉になってしまった。怖くて、逃げた。
ある人は、私を冒険者ギルドに連れて行った。魔法使いになったけど、何をしたらいいか、わからなかった。その人も、死んでしまったからだ。
そんな中、キーリーと知り合った。キーリーは、ごはんとベッドをくれたけど、それだけだった。他の人たちみたいないろいろはなかった。だから、キーリーは肉にはならなかったし、私も逃げ出さなかった。
しばらくしたら、ジョエルが増えた。ジョエルは、お菓子をくれた。美味しかった。お菓子は甘い、と教えてくれた。
キーリーとジョエルは優しかったけど、自由はなかった。やっぱり部屋から出られなかった。出ると危ないから閉じ込められていたんだ。理由はわかったけど、みんなと同じように生きたかった。
ずっと窓の外を見ていた。私の髪が茶色なら良かった。私の髪が金髪なら良かった。黒髪でも生きやすい世界なら良かった。そう呟いたら、黒髪の沢山いる世界に連れて行ってもらえることになった。
目が覚めたら、黒髪がゴロゴロ転がっていた。黒髪が沢山いた。黒髪が外に出た。黒髪が、外にもいっぱいいた。
みんなが、私をナズネェと呼んだ。私は、黒髪だったけど、シャルルじゃなくなった。
学校は、よくわからなかった。アルバイトも難しかった。ごはんは作らないと食べれないって言われたけど、作るがわからなかった。みんなに笑われた。
外に出られるようになったけど、やっぱり私は みんなと同じじゃなかった。みんなは私と違った。同じ黒髪なのに、同じじゃなかった。
ごはんをくれる人の家に行った。ごはんを作ってくれたすごい人だ。ごはんの作り方を教えてもらった。次の日も次の日も、ごはんの作り方を教えてもらった。ごはんの作り方は、1つじゃなかった。難しかった。でも、頑張ったら美味しくなった。嬉しかった。
ごはんの人に、アルバイトの話をした。ごはんの人は、アルバイトの人だった。ごはんの人は、私に違う仕事を作ってくれた。ごはんを作る仕事だった。私は、毎日ご飯を作った。
ごはんの人は、1番仲良しになった。ちょっとジョエルに似ている。時々、お菓子をくれるのだ。
学校とアルバイトに行かなくても、ごはんの人にごはんを作る仕事で、ごはんを食べれるようになった。いっぱいいた黒髪とも、ごはんを一緒に食べた。みんな嬉しそうに笑った。笑われなくなった。
やっと楽しくなってきたのに、私はシャルルに戻った。ジョエルとキーリーがいた。また宿屋の生活に戻った。
黒髪の世界と、ごはんの人の話をしたら、優しかった2人が、すごく怒った。怖かった。なのに、2人は肉にならなかった。どうして? 私は、みんなと同じになりたかっただけなのに。私は、どうしてもこのままここにい続けないといけないの?
私は、祈った。あの人にまた出会えますように。
次回は、間違い探しです。




