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死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります  作者: 穂村満月
第三章.さよなら大好きだよ

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38.閑話、シャルル視点

 私の名前は、シャルル。16歳、ということになっている。本当の年齢なんて、知らない。



 私の最初の記憶は、おじいさんとの生活だ。父親でも、祖父でもないおじいさんだ。どうして一緒にいたのかは、わからない。

 私は、部屋に閉じ込められていた。おじいさんに会いに行こうとしても、ドアは開かなかった。窓がない部屋だった。日に2度か3度、おじいさんが食事を運んで来てくれる。時には、文字を教えてくれたり、積み木で遊んでくれたりするが、それ以外は、ずっと1人だった。

 ある日を境に、おじいさんが来なくなった。お腹が空いて耐えられなくなって、何日かかけてドアを壊した。おじいさんは、別の部屋で寝ていた。もう動かなかった。

 しばらくおじいさんといたけれど、食べ物がなくなって、外に出た。

 それからは、色々な家を転々とした。


 街を歩いていると、声をかけられる。いろんな人が、ごはんを食べさせてくれた。家に住まわせてくれた。時々、肉になってしまった。怖くて、逃げた。

 ある人は、私を冒険者ギルドに連れて行った。魔法使いになったけど、何をしたらいいか、わからなかった。その人も、死んでしまったからだ。

 そんな中、キーリーと知り合った。キーリーは、ごはんとベッドをくれたけど、それだけだった。他の人たちみたいないろいろはなかった。だから、キーリーは肉にはならなかったし、私も逃げ出さなかった。

 しばらくしたら、ジョエルが増えた。ジョエルは、お菓子をくれた。美味しかった。お菓子は甘い、と教えてくれた。


 キーリーとジョエルは優しかったけど、自由はなかった。やっぱり部屋から出られなかった。出ると危ないから閉じ込められていたんだ。理由はわかったけど、みんなと同じように生きたかった。

 ずっと窓の外を見ていた。私の髪が茶色なら良かった。私の髪が金髪なら良かった。黒髪でも生きやすい世界なら良かった。そう呟いたら、黒髪の沢山いる世界に連れて行ってもらえることになった。



 目が覚めたら、黒髪がゴロゴロ転がっていた。黒髪が沢山いた。黒髪が外に出た。黒髪が、外にもいっぱいいた。

 みんなが、私をナズネェと呼んだ。私は、黒髪だったけど、シャルルじゃなくなった。


 学校は、よくわからなかった。アルバイトも難しかった。ごはんは作らないと食べれないって言われたけど、作るがわからなかった。みんなに笑われた。

 外に出られるようになったけど、やっぱり私は みんなと同じじゃなかった。みんなは私と違った。同じ黒髪なのに、同じじゃなかった。


 ごはんをくれる人の家に行った。ごはんを作ってくれたすごい人だ。ごはんの作り方を教えてもらった。次の日も次の日も、ごはんの作り方を教えてもらった。ごはんの作り方は、1つじゃなかった。難しかった。でも、頑張ったら美味しくなった。嬉しかった。

 ごはんの人に、アルバイトの話をした。ごはんの人は、アルバイトの人だった。ごはんの人は、私に違う仕事を作ってくれた。ごはんを作る仕事だった。私は、毎日ご飯を作った。

 ごはんの人は、1番仲良しになった。ちょっとジョエルに似ている。時々、お菓子をくれるのだ。

 学校とアルバイトに行かなくても、ごはんの人にごはんを作る仕事で、ごはんを食べれるようになった。いっぱいいた黒髪とも、ごはんを一緒に食べた。みんな嬉しそうに笑った。笑われなくなった。



 やっと楽しくなってきたのに、私はシャルルに戻った。ジョエルとキーリーがいた。また宿屋の生活に戻った。

 黒髪の世界と、ごはんの人の話をしたら、優しかった2人が、すごく怒った。怖かった。なのに、2人は肉にならなかった。どうして?  私は、みんなと同じになりたかっただけなのに。私は、どうしてもこのままここにい続けないといけないの? 

 私は、祈った。あの人にまた出会えますように。

次回は、間違い探しです。

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