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死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります  作者: 穂村満月
第二章.家族になろうよ

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26.実家からの手紙

 今日の朝ごはんは、フレンチトーストですってよ、奥さん!

 私を太らせよう作戦は、まだ続いていたようで、毎食、ハイカロリーな食事が提供される今日この頃ですが、私は、幸せです。

 卵だよ? 砂糖だよ? バターだよ? 日本なら、特売品で買える定番商品だけど、ここでは違う。手に入るところでは手に入るけれど、お金があれば手に入る物でもないのだ。

 この辺りは畜産もやっているので、卵やバターは手に入る。さっき拾ってきた産みたて卵に、今振って作ったバターだ。日本の生活では、食べたことのない鮮度だ!

 ここでは、そもそも卵を産んでるのは鶏じゃないとか、ミルクの元は牛じゃないとかの違いがあるので、単純に比較はできないのだが、冷蔵庫がない暮らしは鮮度が命。贅沢な暮らしをしているなぁ、と前々から思っていたところで、先日の事件の詫び第一弾として、冒険者ギルドから、砂糖が大量に届いたのである。

 今日までの甘味は、主に蜂蜜だ。美味しいのだけど、私は蜂蜜のレシピはあまり持っていない。蜂蜜なんて高級食材には、ご縁がなかったからね。だから、砂糖を待っていた! 多分、3日で飽きるだろうけど、その間、甘味三昧をすると決めた。

 まぁ、フレンチトーストは、蜂蜜派だな、って食べてから思ったけれど。



「ギルドも理解が早いな。侮れねぇ」

「ふぁにが?」

「ジョエルに詫びを入れても許されねぇことが、よくわかってる。喉元すぎれば娘のご機嫌取りをする方が、建設的って話だ」

「怒ってても、何の腹の足しにもならないよね」

「瞬時にその境地に行きすぎなんだよ」

 失礼なことを言われた気もするが、いろんなことがありすぎると、些細なことなど、どうでもよくなるよね? ジョエルが許してくれて、村の人とタケルが仲良くできたなら、後のことなんてどうでもいいよ。

 シャルルが誘拐されるのなんて、いつものことなんでしょ?

「もう食べちゃったから、受け取ってね」

「もちろんよ。本当に怒っているから、詫びの品を受け取るだけ受け取って、無視し続けてやるの。わたしは今回のことでSSSランクになったから、もう完無視よ」

 ギルドの建物を粉砕して、居合わせた人を全員再起不能にしたら、普通、犯罪者として罰されると思うんだけど、何故かジョエルは、出世した。冒険者としてレベルが高いどうこうではなく、経営にケチをつける人になったらしい。活動する気はまったくないようだけど、逆らうなら首を切ってやる人になったそうだ。意味がわからない。そんな役職はなかったそうだから、無理矢理脅して作ったのだろう。

 この世界の倫理観は、本当にどうなっているのだろうか。私を誘拐しても、特に罪に問われることもないようだから、警察組織がまるっとないのかな。


 和やかに食事を楽しんでいると、行商のおじさんが来た。朝早くから来るとは、珍しい。

「いたー! ジョエルさん、お手紙ですよー」

「捨てておいて」

「ダメですよ。受け取ってから、捨ててください」

「いらない」

 こんな押し問答をするとは、ギルドからのお手紙だろうか?  見ていたら、手紙を渡された。

「シャルルちゃん、ジョエルさんに手紙を渡す仕事を依頼します。礼金は弾みますから」

「はあ」

 勢いで受け取ってしまった。どうしよう、これ。と、思ったら、ジョエルに手紙を引ったくられた。お仕事完了!

「卑怯よ!」

「それでは、失礼しますよ」

 おじさんは、逃げ帰って行った。


「ギルドからの詫び状?」

「違うの。実家からのクソ手紙」

 実家⁈ ダメだ。そのワードは、ダメだ。

「ひどいよ。お父さんとお母さんとお兄さんたちのこと、嫌いなの?」

 まったく知らない人の話なのに、涙がちょちょぎれちゃうよ。私は、還りたいのだ。ズルい。羨ましい!

「や、違うの。誤解だわ。確かに、わたしの心配をしている体で送ってきてるのよ。だけど、わたしは嫌なの」

「実家がどこだかわかってるんだから、たまには帰ったらいいじゃない」

「絶対、嫌よ。帰ったら、見合いが待ってるもの」

 ああ、そういう。ジョエルも、そんな年頃なのか。年貢の納め時ってヤツだね。

「見合い相手、全員男なのよ? どうしろって言うのよ」

「「それは、クソだな」」

 そうだった。こんな女装子のジョエルを生み出したのは、ご両親だった。女性物の洋服を着て、親孝行をしているジョエルだが、心は女性じゃないらしい。男性の釣り書など送って来られても困るだろう。娘が欲しかったと言われても、限度がある。

「男性側も困るだろうね」

「困ってくれたら、助かるのよ」

「「ああ」」

 八方塞がりだ。確かに、手紙を捨てたくなる気持ちもわからなくもない。自分だったら、どうだろうか? いや、そんな状況になる意味がわからないな。全然、感情移入できないよ!

「キーリー、助けてあげて!」

「いや、無理だろ。俺に、どうしろと?」

「キーリーと結婚しましたって、実家に帰ればいいんじゃない?」

 キーリーは、速攻逃げ出したけれど、ジョエルの方が足は早い。あっという間に捕まった。

次回、ジョエルの実家に遊びに行きます。

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