表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります  作者: 穂村満月
第九章.これはハッピーエンドですか?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/125

ss.ジョエル実家の場合

 今日は、みんなでジョエルの実家に、結婚の報告に行く。

 自分の家に行く時は緊張したが、ジョエルの実家なら、まだ気が楽だ。自分の家じゃないから、どうでもいいとは言わない。こちらは、多夫多妻制の世の中なのだ。それだけで、なんでも大丈夫な気になった。


 暢気に構えていたら、そろそろ家に着くという時になって、重大任務が降ってきた。

「何を浮かれているのか知らんが、死ぬ気でナデシコを守れよ。お前が悪いんだからな」

「何が?」

 なんと、びっくり。ジョエルのお兄さん4人は、シャルルだった私を狙っていたらしい。私は、自分の身体に戻って安全かもしれないが、今度はナデシコが狙われるから、危険なんだって。弟の養女に手を出すのはギリギリセーフだとして、弟の嫁に手を出すとかあり得る? ないよね。いくらなんでも失礼すぎるだろう。何考えてんだ。心配性も大概にしやがれ。

 キーリーだけならいざ知らず、ジョエルもうなずいているとか、どういうことだ。おかしいだろ。

「おかえりなさい、ジョエル。いらっしゃいませ、皆様」

 ほらほら、いつもの美しいお母様だよ。普通だよ。

「ただいま、 母さん。わたしの新しい家族を連れてきたよ」



 いつもの応接室に行くと、ジョエル父とジョエル兄ズが揃っていた。ジョエル兄は、単独なら害はない。一番上か二番目だったかは、とてもいい兄だった。だが、揃うとロクなことをしない。嫌な思い出がフラッシュバックして、一歩後ろに下がったら、誰かに押し戻された。

「事前に伝えてあると思うけれど、ここにいる大人5人で結婚した。タケルは、変わらず養い子だよ。黒い男は、シュバルツで、女性2人はシャルルだったんだけど、分裂して2人に増えた」

「「「「「ぶ、分裂?!」」」」」

「あらあら」

 びっくりしたわ。どういう説明なの? 異世界云々という話はしない方向で合意をしていたのだけど、そんな話は初耳だ。いくら何でも、適当すぎるだろ。

 それが、この世界のスタンダードだというなら、構わない。しかし、お父様とお兄さんズの反応を見る限りは、違うだろう。お母様は動じていないので、まさか? いやいや、ないない。

「小さい方の、見た目がシャルルっぽいのは、ナデシコ。中身は別人だから、以前の話をしても伝わらない。記憶喪失ではない。

 大きい方が、シャルル。以前のシャルルの記憶を持っている。とはいえ、記憶喪失以前の記憶は、変わらずあやふやみたいだけどね」

 シュバルツに記憶障害と言われるのは、少し慣れてきた。記憶力の良過ぎるシュバルツに比べれば、そう言われるのも仕方がないと、諦めた。だけど、ジョエルにまで記憶について言われるのは、ちょっと悲しくなった。

「素晴らしいわ、ジョエル。私に娘が2人もできるなんて」

「良かったね。セレスティア」



「いつまでも立ち話は失礼だよ。皆様、こちらへどうぞ」

 シャルルの方へお兄さんが2人近付いていく。キーリーとジョエルが止めに行った。過保護だ。だが、2人が行ったんだから、大丈夫だろう。

「やあ、シャルルちゃん。大魔王魔法の調子は、どうかな?」

 おお! 誰だかわからないが、一番好きなお兄さんがこちらに来たようだ。なんだよ、やっぱり弟の嫁の強奪とか嘘じゃん。ナデシコのとこに行かないじゃん。

「ええ、おかげさまで、モヤモヤが赤にも紫にも黒にも変わる様になりました」

「そうか。それは、良かったね」

「これは俺のシャルルだ。近付くな」

 後ろで、興味なさ気に突っ立っていたシュバルツが、急に割って入ってきた。

 ちょっと前までは、先生への態度の悪さしか気になっていなかったが、ひょっとしたらシュバルツは、社会性や協調性が、まったくないのではなかろうか。無人島では、そんなものを育てる機会もないだろうし、そんなものは何の役にも立たない。お前、ふざけんなよの前に、姉として躾をしないといけなかったのかもしれない。

「すみません。この子は、無人島から出てきたばかりで、社会性に欠けているのです。無視して下さい。

 シュバルツ、今日は挨拶に行くって言ったよね。ジョエルのお兄さんなの。仲良くするの。できるよね」

「できない。お母さんは、嫌いなんだ」

「ええっ、そうなの? そういうことは、もう少し早く言って欲しかったな」

 なんで、そんな大事なことを今頃言うんだよ。ご家族の前で言うとか、タイミングも最悪だ。わざとか。わざとかもしれないな。

「早く言ったら、どうなった? 俺だけと結婚したか?」

「ご挨拶に来るのに、村に置いてきた」

「そうか。それなら、やり直さない」

「みんなと仲良くするか、黙って大人しくしてるか、どっちがいい?」

「黙って大人しくしていよう」

 シュバルツは、私に抱きついてきて、ぴたりと動かなくなった。

 気持ち悪い。気持ち悪い。重たい。くそ邪魔だ!

「は、な、せ! 離して! いーやーだー」

 シャルルでなくなっても、サバイバル博士には力では敵わない。ムカつく!

「みんなに悪態をつくか、黙ってくっついているか、どっちがいい?」

「卑怯者! どっちも嫌だ」

「シャルルのためだ。仕方がない。悪態を振り撒く方を選ぶか」

 ようやくシュバルツから、解放された。以前と違って、体力的には問題ないが、心の底からゲンナリした。こんなに大きくなったのに躾がなっていないとか、どうしてくれよう。叱ったところで、鼻で笑ってくる弟とか、腹を立てずにいられるだろうか。

「あらあら、シャルルちゃんは、シュバルツ君と仲良しなのね」

「違います。今は、嫌がらせをされている最中です」

「、、、、、帰る」

 シュバルツは、魔法を使って、消えた。

「え? ちょっとシュバ? あーもう、すみません、自由な子で」

「ジョエルは、あの子に嫌われているのね」

 お兄さんだけでなく、お母様にまで聞かれていた。本当に、申し訳ありません!

「普段は、仲良くしてるんですよ。ただ、ちょっと難しい生まれなので、もしかしたらここに連れて来るのは、早かったのかもしれない、とは思いました」

「そうだったの。ごめんなさい」

「いいえ、私がもう少し気を遣わないと、いけなかったのです。表情の読めない子になってしまって、忘れていました。大変申し訳ないのですが、私も中座させていただきます。失礼致します」

「ええ、頑張ってきてね」

 折角、お母様に会えたのに、シュバルツの下に転移した。



 シュバルツは、自分の家で、ごはんを作っていた。何ごともなかったかのように、いつも通りに。

「シュバルツ、何か言いたいことがあるなら、聞こうか」

「もうすぐ飯ができる。ナデシコも来るだろうから、一緒に食べよう」

「何言ってるの? ごはんの話なんて聞いてないけど。ナデシコ? なんで?」

「今日は、赤魚の煮付けと肉豆腐と青菜の胡麻和えとひじきの五目煮と、、、そうだ、茶碗蒸しとプリンを蒸していた。持って来よう」

 今日は、囲炉裏端ではなく、ちゃぶ台にごはんが並べられていた。明らかに、今作り始めた量ではない。魔法を使ったにしてもおかしい。計画的犯行が伺えた。

「何それ、いつの間に豆腐とか開発してたんだよ」

「シャルルが好きだ、と聞いた」

「そんな理由で、作らなくていいよ。向こうで買ってくるよ」

「シャルルに必要な物は、全て俺が揃える。これは、俺のルールだ。邪魔をするな」

「いやいやいや、おかしいよね。私がしなくていい、って言ってるのに」

 いや、違う。問題は、豆腐の出所ではない。だが、見てしまうとツッコまずにはいられなかった。めちゃくちゃ美味しそうで、いろいろあったことをポイして、とりあえずごはんを食べるか、という気分が盛り上がってくる。ダメだ。しかし、温かいうちに食べた方が、絶対に美味しい。プリンすら、冷やす前に食べたい。

「あー、プリンだ。私の分もある?」

「ひっ!」

 何もない空間に、ナデシコが現れた。転移魔法は便利だが、心臓に悪い。

「勿論だ。いくらでも食えばいい」

「やったー」

「但し、飯を食った後だ。そうでないと、シャルルが悪鬼になるからな」

「大丈夫。いい子のお約束は、覚えたの」

「揃ったから、食うか」

 ナデシコとは、仲良くできてるな。女の子だからか? キーリー以上に女好きだからな。


「そんな目で見るな。ナデシコの好きなところは、顔だけだ。心配はいらない」

「そんな心配はしてないし」

 ごはんを食べながら、シュバルツの観察をしていたら、妙な誤解をされた。

「悪かったな」

「何が?」

 謝ってくれたからといって、安心してはいけない。悪いと思っている内容が、真っ当だった試しがないからだ。

「向こうにいれば、もっといい物を食わせてもらえただろう」

「その罪滅ぼしに、おかずの品数を増やしたの?」

「2人の好物を揃えたら、増えただけだ」

「そうなんだ。でも、食い物の恨みで怒ってるんじゃないからね」

 やっぱり誤解だった! 私は、どれだけ食いしん坊キャラなのだ。ジョエル実家での食事は、味を感じた試しがない。どうでもいい。

「だが、こうでもしないと、シャルルをこちらに戻せなかった。ナデシコとセットで、こちらに連れてくる必要があった。謝罪には、後日、一人で行ってくる。心配はいらない」

「悪いことをした自覚は、あるんだね?」

「非常識だとは知っているが、悪いとは思っていない。あれは、あちらの方がより性質が悪い。ナデシコはともかく、シャルルを置いておく訳にはいかなかった」

「なんでよ。お母様が、大好きなんだよ」

「ナデシコが狙われると聞いたから、まぁいいかとついて行ったら、2人とも狙われていた。1人で2人を守るのは、骨が折れる。せめて行くなら、1人ずつにしてくれ」

「シュバルツも過保護か。失礼すぎるわ。お兄さんズに謝って来い!」

「謝るだけで良ければ、いくらでも謝ってこよう」

「ナズネェ、あのね、私ね、『結婚しよう』って、お兄さんに言われたから」

「は?」

「あのままあの場にいたら、夫が4人増えそうだったけど、受け入れたい?」

「もうお腹いっぱいです。減らす方なら、検討できます」

「注意しても全く聞かないから、置いておく訳にはいかなかった。忘れているのかもしれないが、ナデシコでなくなっても、シャルルは黒髪だ。少々年増でも、あの兄のジジイっぷりの方が上だ。油断するな」

「折角の年増バリアが! って、誰が年増だ。嫌なら、別れろ」

 シャルルに言われるならわかるが、なんで年上に年増呼ばわりされなきゃいけないのか! 腹立つ。これは、マジで怒っていいヤツだよね?

「結婚の挨拶なんて、あの2人だけで充分だ。元々夫婦だったんだろう? しばらく俺は両手に花だ。シャルル、結界を張れ」

「何のために?」

「飯を食い終わる前に、お母さんが帰ってくる」

「え? ジョエルは、魔法使えないよね」

「足の速さが異常だ。勘もいい。だから、お母さんは嫌いなんだ」

次回、魔境に行って、ssも終了予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ