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死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります  作者: 穂村満月
第九章.これはハッピーエンドですか?

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ss.木名瀬家の場合

完結記念

 私は、ジョエルとキーリーとシャルルとシュバルツを連れて、また我が家に帰ってきた。今度は、抜かりなくあちらで武装解除をさせて、靴を脱いでから飛んだ。

 間違えていなければ、今日は土曜日のハズだ。ちょっと朝早く来すぎて、誰も起きていないのだが、日も間違っていないといいな。


 学校は休みなのに、律儀な鈴音は、6時に目覚ましで起きた。みんなの朝ごはんを作るためだろう。全てを押し付けることになって、ごめんね。

 私は、申し訳なさに身を縮めたのだが、あっさりと見つけられてしまった。

「姉ちゃん? うわ。こないだより、増えてる? 何事?」

 そうか。私一人が小さくなろうとも、急に部屋に5人も増えて、気付かれない訳がなかった。うっかりしていた。

「おはよ、鈴音。元気してた?」

「もう、なんでいつも寝室に発生するのかな? 居間に行ってよ。お客さんまでいるのに」

「やっぱり、この家でもおかしいのは、ナズナだけなんだな。安心した」

 キーリーだけでなく、みんなが呆れたような顔をしていた。

 なんだと! 失礼だな。弟妹に見惚れて、ちょっと色々忘れてただけじゃないか。

 私は、みんなを居間に押し込んでから、朝ごはんの準備を始めた。今日は、たくさんお土産を持ってきたんだよ!



 鈴音が、みんなを叩き起こしたようだ。若干、準備の方が終わっていないのだが、全員そろったので、朝ごはんをスタートすることにした。

「すっげー。これ、どうしたの?」

「お姉ちゃんが、お友達と一緒に作ってきたのだよ。焼きたてだから、あったかいうちに食べてよ」

「作ってきた? とうとうマジもんのパン屋を越えてきたよ」

 食卓には、調子に乗って山のように焼いてきた惣菜パンを積み上げた。どうやら作り過ぎたようで、食卓からこぼれ落ちそうな状態になっている。サラダやスープも持ってきたのに、並べるところがなくなって、どうしようかと考えあぐねているところだ。うちの食卓は、6人用だ。座るだけなら6人は余裕だが、きちんとしたごはんを並べるなら、4人分が精々なところで、今日は10人もいるのだ。もう少し考えて並べなければならなかったのだ。

「ホントだー。なず姉が、太っ腹になってる!」

「おはようございます」

「はいはーい。みんな狭いから強引に座って。ごはんを食べるよー」


「いただきまーす」

「まさかなず姉が、パン食い放題を許してくれる日がくるとは」

「初めて食べるねー」

「そっかぁ、覚えてないか。お父さんがいた頃は、たまに食べてたよ」

「あんたたちは、給食で食べてるんじゃないの?」

「食パンとかバゲットとか、そんなんしか出て来ないよ」

「バゲットって、何? 給食のおかずと合わなくない?」

「パンだけで大騒ぎって、どういうことだ?」

「パン食の文化じゃないの」

 皆で、わいわいガヤガヤパンに手を伸ばす。喜んでもらえたようで、何よりである。

 いつか食べさせてあげたい、という夢が叶った! もう毎日持って来よう。朝晩、焼きたてを持って来よう。ご飯食がいいって怒られるまで、ずーっと持って来よう。弟妹の笑顔は、何よりのご馳走だ。

 みんながパンを手に取って、少しスペースができる度にサラダとスープを配膳していった。小さい子とシャルルが優先だ。野郎共は、後回しだ。欲しかったら、パンを減らせばいい。



「で、今日のご用事は? パン屋の開店報告じゃあないんでしょ」

「決まってんじゃん。キーリー兄ちゃんがいるんだし」

「それより、しれっと増えてる人の紹介が、まだなんだけど」

 食事を終えるまでは、安全だと思っていた。パンだけで話題をかっさらえると思っていた。そのために食べ切れないほどのパンの山を用意したのだ。うわー、ウインナーだー、コーンマヨもあるー、というだけで、食事の時間を乗り切る予定でいた。しかし、現実は、5分もったかどうかだった。

「諦めろ。いい加減、腹を据えろ。お前が言い出したんだろうよ」

 キーリーが、殺し屋一歩手前だ。簡単に言ってくれるが、こちらの文化を考えたら、言えることと、言えないことがあるんだよ。私は、お姉ちゃんなんだよ? あんまりおかしなことを言いたくないんだよ。ある意味、プロポーズ以上の窮地に陥っているよ!


「姉ちゃん、別に隠さなくていいし、みんな知ってるから。結婚の報告に来たんでしょ? あれ? 婚約の報告かな」

「!! 何故、バレてるし!」

 5人で結婚しました、なんて変な話をどう切り出したらいいのか、まったくわからなかったのだが、前に来た時、そんな話したかな? あの時は、誰かと結婚するつもりなんて、これっぽっちもなかったのに、なんでそんな話をしたんだろう。深層心理では、この結婚を望んでた、ってコト? 嘘だろ。

「いやだって、前にそんな話したじゃん」

「そうだっけ? それなら、言っちゃうか。こないだね、なんか、その場のノリで結婚が決まってさ。もう結婚しちゃったんだよ」

「なず姉、お兄ちゃんの前でそれ言っちゃダメだよ」

 ヤバい。鈴白にダメな方向で、心配されている。安心させるためには、ラブラブアピール? いや、無理だ。絶対にしない。

「大丈夫だよ。全部バレてるし。でね、大学行ったり、日中はこっちで過ごすんだけど、生活拠点は向こうにすることにしたんだ」

「ちょっと待って。キーリーさん、裏切ったの?」

 ひぃ。波久部が怒っている。何故だ。確か、弟妹の希望は、キーリーと結婚して帰って来るなだったのでは? そうか。これは、キーリーから聞いた、また聞きだ。騙されたのか!

「俺の所為じゃない。波久部の策でもダメだっただけだ。俺は、フラれた」

「私たちの名前を使ってもダメって、どういうこと?!」

「お前らに会えない寂しさを埋めるために、どんどん偽の弟妹を増やしていったんだ。シャルルは妹だし、そこのクソでかい年上の男まで弟だと言い張ってるんだ。御形と大して変わらんとか言うんだぞ。おかしいだろ」

「ああ、その人、弟だったんだ。なず姉の何歳年上なんだろう」

「違う。俺は夫だ」

 シュバルツが、渋面で暴露した。私が言うまで黙ってろ、と言って連れてきたのに! くっそ、小っちゃい子には、優しくしろという教育も忘れていた。悪い子だ。

「思わぬ伏兵が、現れた! あんたと結婚したのか」

「シュバルツ、まだ早い! これから説明するんだから。

 あのね、結婚相手なんだけど、そこのシュバルツと」

「本当に、その人と結婚しちゃったの?」

「ジョエルと」

「え? 略奪?」

「キーリーと」

「振られてないじゃん」

「シャルルと」

「妹じゃなかったの?」

「結婚しました」


「ちょっと待って。まさかのハーレム? 女の子も込みで?」

「違うでしょう。シャルルちゃんのハーレムに、間違って混ざってるんじゃない?」

「家政婦さん枠か」

「それだ!」

 やっぱり弟妹たちを、驚かせてしまったようだった。ふしだらだと、嫌われてはいない様子なのは良かったが、安心していいのかわからない評価を受けている気がした。ハーレムの家政婦枠って何だよ。

 弟妹が、ハーレムなんて言葉を口にしてるのが、すごい嫌だ。それを回避するために、離婚したくなった。やっぱり内緒にしとけば良かったかな。

「失礼なヤツらだな」

「あのね、シュバル?!」

 説教してやるつもりが、頭を乱暴につかまれて、口を塞がれた。なんでだ!

「ぎゃー、キスしたよ」

「秘密兵器兄ちゃん、すげぇ」

「何してくれてんだ!」

 シュバルツの手癖の悪さを注意するのも、忘れてた! 言わなくても、わかれよ。弟妹が、いるんだよ。クロの家は、いつでもそんな感じでしたか、そうですか、くっそ!

「魔力が、まったく働かないんだ」

「実験は、時と場所を選んでして! こっちの世界は、魔法も魔力もないんだよ」

「それなら、どうやって帰るんだ? 騙したのか」

「タイマー式で戻るんだよ。夜になったら帰れるから、心配いらないよ」

「シャルルの話は、もう信じない」

 シュバルツに、羽交締めにされた。

 キスしたり、抱きついたり、ふざけんな! と怒り狂おうとして、気が付いた。シュバルツは、ふざけている様子はない。悪い顔をしていなかった。

 シュバルツの時代に置き去りにされたジョエル。私を助けに来たら、龍の結界に閉じ込められた。私の通訳で誘拐されて、殺すと脅された。思えば、シュバルツには、ロクな経験をさせていない。私の信頼度が0パーセントで、自分の頼みの綱である魔法が使えない状況を、恐怖しているのかもしれなかった。

「わかったよ。今日は一日、座イスになってていいから、パン食べてても良い?」

 返事が返ってこない。いたたまれない。弟妹が、小さい声で「座イス扱いだよ」と言い合っている。失敗した。

「御形、悪いんだけど、この黒い人に算数の難問を出してあげて。気が紛れるかもしれないから」

「算数? じゃあ、1たす1は、なーんだ?」

 難問だと言ったのに!

「1の内容は、何だ? 個数か? 質量か? 化学変化を起こしてもいいか?」

「やべぇ。この人、マジで弟じゃん。えー。何にしたら面白いかな」

 算数ですらなくなった! まぁ、何でもいいや。2人とも、楽しそうだから、放っておこう。


「そういう訳で、こっちで大学出て、就職して働いて、向こうに寝に帰るんだけど、入学式とか運動会とか授業参観とか資格試験の勉強指導とかは、もちろん参加するし、学費も生活費も全額用意するから、安心して」

 もちろん、朝ごはんと夕ごはんの支度も、掃除と洗濯もするつもりだ! 那砂の身体に戻っても、龍の力は失われなかった。私は、自由だ!

「寝に帰るってのが、ヤバいよね。絶対、本人、わかってないよね」

「そこの波久部! 聞こえてるよ。お姉ちゃんは無敵なんだと、いつも言ってるでしょう!!」

 バイトがなくなったのだ。楽勝だ。今度こそ、やり遂げてみせよう!

「じゃあ聞くけど、こんなに沢山連れ帰ってきて、一人目は、誰の子どもを産むつもり?」

「いい質問だ」「ああ、はっきりしてくれないと困るな」

 全員の視線を集めた。ワクワク楽し気な子らは、いい。殺人鬼たちの視線が怖い。なんで、シャルルにまで睨まれているのか。ああ、そうか。結局、どっちが本命か、まだ聞いていなかった。

「それは、シャルルの子じゃないかな?」

 私は大学に通って、就職するつもりなのだ。子を産む予定など、微塵もない。そのうちシャルルが誰かの子を産むだろう、というつもりで言ったのに、私がシャルルの子を産むつもりでいると誤解され、全員の袋叩きにあった。

 じゃあ、どうしたら良かったんだよ。みんなで話し合って、いい案を教えてくれよ。

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