105.閑話、シャルル視点
ナズネェが、私とジョエルを結婚させようとしている。それをキーリーが後押ししている。このままでは、私はジョエルのお嫁さんにされてしまう。
言いたいこと、して欲しいことがあるのなら、ちゃんと言わないと、誰にもわかってもらえないと、ナズネェは言っていた。嫌だと、ちゃんと言わないといけない。ジョエルなら、ワガママを言っても受け入れてくれる。ジョエルを味方にしよう。キーリーは、ダメだ。キーリーは、敵だ。
「ジョエル、話したいの。聞いてくれる?」
「ああ、構わないよ」
ジョエルの部屋を訪ねたら、中に招き入れてもらえた。この話は、誰かに聞かれてはいけない。小声でこっそり話す話だ。大丈夫。今なら、キーリーも先生も、ナズネェと一緒だ。私のことなんて、誰も気にしていない。
私がイスに座ったら、ジョエルはベッドに座った。手早く話を終えなければいけない。
「あのね。ナズネェが、私たちを結婚させようとしてるけど、ジョエルは嫌でしょ?」
「!! いや、嫌ではないよ。シャルルのことは、嫌いじゃないよ。だけど、恋人ではなく妹のように思っていて、ね」
思った通りだ。ジョエルは、私を傷付けないために断れなかっただけで、私と結婚したい訳じゃなかった。ナズネェが、私がジョエルのことを好きだと言ったから、人前では断れなかったのだ。
「気を遣わなくていいの。私は、結婚したくないの」
「そうなのか。それならば、結婚はやめよう」
ジョエルの説得は、簡単だった。ナズネェの言った通りだ。でも、ここまでは前座で、大事な話はここからだ。
「それだけじゃ、ダメなの。ナズネェの結婚もなくしたいの」
「まさか!?」
「そうなの。ジョエルと同じなの。協力して欲しいの。ジョエルも嫌でしょ?」
「わたしは嫌だけど、ルルーは嫌がっていなかった。だから」
そこも気を遣ってたの? バカなの? 優しいの? ずーっと私を守ろうとしてた可愛がってくれてた人だから、できる人だと思っていたのに、私以上にダメな人だったのかもしれない。だからこそ、私に優しくしてくれていたのかもしれないけれど。
「ナズネェは、私たちのために我慢してるだけ。キーリーの扱いに困ってるだけ」
「それは、助けてあげないといけないね。でも、わたしたちが結婚しないなら、責任を取る必要はなくなるだろうから」
「ナズネェは、結婚したくないから止められるけど、キーリーが止まらないの。必死だったの。ナズネェは、強く押されるとどこまでも流されるって、先生も言ってたの」
キーリーも悪い男だけど、先生も侮れない。ナズネェに隠れて、私に話をつけに来た。ナズネェの頼みなら聞いてもいいけど、先生なんて知らない人だ。これからお世話になる予定だけど、信頼してはいけない人だ。
「結婚だよ? 押された程度で、決められないよね。前は、人間全てを拒否するほど、嫌がっていたよ」
「色々なことがありすぎて、考えるのが嫌になってるんだって。今は、お金集めを頑張ってるから、自分のことは、適当なんだって」
本当は、ナズネェが恋愛話が苦手だから、耳をふさいで放置してるだけだ、と聞いた。なんでもできるナズネェでも、苦手なことがあるのに驚いた。どっちに転んでも、ナズネェならどうにでもできるから大丈夫なのかもしれないけど、ナズネェを助けてあげたいというより、私がナズネェをキーリーに渡したくないのだ。邪魔する方法があるなら、やるべきだ。ナズネェは、ワガママに生きろと言っていた。
「それは、いくらなんでも」
「そう、先生が言ってたの。結婚を止める方法も教えてもらったから、一緒に付き合って欲しいの」
「どうするの?」
「ナズネェは、私のことを可愛い妹だと思っているから、私がキーリーのことを好きだって言ったら、絶対に結婚をやめるって」
「それは、やめた方がいい。そんなことを言ったら、シャルルがキーリーと結婚させられるだけだ」
「そうなの。先生は、ナズネェを守ろうとしてるだけで、私のことは、どうでもいいの。私とキーリーを結婚させて、ナズネェを自分の物にしたいだけなの。キーリーより危ないの。だからね、私は、先生のことも好きだって言うの」
「それは、、、いいの?」
「絶対に、2人を止めるの。どうせ私は、ナズネェの妹にしかなれないの。ナズネェなら、妹が二股でも可愛がってくれるの。だからね。2人を止めてる間に、ナズネェを取らないでね!」
ジョエルとの結婚を断るのに、ジョエルを好きだと言うのは、いくらなんでもおかしい。そこまで変な子だと思われたくない。
「それが、本題か」
「そうなの」
「わたしは大穴にも入っていない。大丈夫だよ」
ジョエルは、清々しい笑顔を見せた。
なんでなの? どうして、そんな顔ができるの? ナズネェが好きだって気持ちが、全身からにじみ出てるんじゃないかってくらい、私も一目でわかったのに。
「頑張らないの?」
「頑張る方法もわからないし、ルルーは、そんな物を欲しがっていない。シャルルも頑張らないんだろう?」
「そんなことを言っても、困らせるだけなの。何かをどうにかして、振り向いてもらえたとしても、私じゃナズネェを幸せにはできないの。ナズネェには幸せになって欲しいから、私じゃダメなの」
だけど、ジョエルは男だ。キレイな顔をして、誰よりも強い、みんなに好かれる男だ。頑張れば、絶対に手に入る。頑張れば、ナズネェを幸せにすることだって、できる。なのに、なんで?
「シャルルは、わたしの可愛い妹だ。どこまでも協力しよう」
「私も。ジョエルに幸せになって欲しいな、って思った。明日、ナズネェのところに一緒に行ってね」
「ああ、共に戦おう」
強力な味方ができるハズだった。だけど、私は、ジョエルも守ってあげないといけない人だと思った。
こういう話を一人称で書く方法が、わからない。閑話なしの話を書けるようになりたいです。
次回は、ストレス発散で家出します。もう恋愛話は嫌だ。




