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死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります  作者: 穂村満月
第八章.みんな可愛い私の弟妹

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100.家族団らん

 今日は、平日だ。あまり遅くならないうちに、オーナーさんちに寄って、貴金属を一通り提供し、換金ができるかどうか確認して頂くことをお願いして、帰宅する。

 誰かが学校から帰ってくるまでは、どうせ家に入ることもできないので、のんびり寄り道しながら歩くことにした。

「シャルルは、普段、何して過ごしてたの?」

「ごはんの作り方を教えてもらったの。頑張るとね、美味しくなるの」

「そっかー。じゃあ、シャルルは、ダコタさんの食堂で働けるかもしれないね。ダコタさん、私が引っこ抜いちゃったし。ちょうど良いかもしれないよ?」

「ダコタは、きらい」

 さっきまで表情豊かだったシャルルが、急に無表情になった。村人D、何をした。

「そうなんだ。まあ、何があったとしても、ジョエルがいれば大体大丈夫だよ。部屋から出たくなったら、ジョエルを連れてけば、どこでも行けるし」

「でも、、、」

「ジョエルとキーリーも悪いけど、シャルルも悪いんだよ。外行きたいとか、ごはん作りたいとか、相談しなかったんでしょ? 言わなきゃシャルルの気持ちなんて、誰にも伝わる訳ないんだよ」

「うん」

「シャルルも、バイトが大変なの、わかったでしょ? 2人は、バイトして、シャルルにごはん食べさせてあげようと頑張ってたんだよ。それでも、私が温泉行きたいって、駄々こねたら連れてってくれたよ。優しい人だと思うよ」

「私が悪かったの」

「落ち込まなくていいよ。ダメなのわかったら、直せばいいだけだよ。じゃんじゃんワガママ言っちゃえ」

「うん」

「あ、あそこ。ちょっと寄り道してく」



 私は、宝飾店に足を踏み入れた。一文無しのくせに、入ってくるんじゃねーよ、って感じだけど、気にしない。服装だけなら、仮装か上流階級か紙一重だ。黙っていれば、わかるまい。

「なるほど、これが結婚指輪ってヤツなのか」

 宝飾品のデザイン研究に立ち寄ったのだが、キーリーが食いついてきた。シャルルにプレゼントくらいは考えていたが、キーリーが光物好きとは思わなかった。言われてみたら、今日もペンダントと指輪を付けていた。一番のキラキラ好きは、キーリーだったのか。予想外だ。

「違うよ。結婚指輪は、あっちの対になってるヤツだよ。この辺のは、おしゃれでつける用。そっちのが、多分、婚約指輪用」

「結婚と婚約って、何が違うんだよ」

「婚約してすぐ結婚する人もいれば、婚約だけしてしばらく結婚しない人もいるからかな? なんでだろうね。考えたこともなかったよ。私には用のない知識だよ」

 いくらなんでも弟妹たちの結婚指輪まで、お姉ちゃんが用意する必要はないよね? そんな甲斐性のない子に育てるつもりはないんだよ。

「俺たちより年上だったんだろ? 何して過ごしてたんだよ」

「弟妹パラダイスだよ。初恋でひどい目にあったから、もう男なんていらないんだよ」

「初恋?!」

「15年くらい前にね。お父さんにボコボコにされたんだよ。もう打ちのめされて、立ち上がれないんだよ。身内であの言われようなんだから、他人なんてもういいよ。お腹いっぱいだよ」

「それ、数に含まれないヤツだろ」

「今なら、面白いお父さんだな、って言うけど、当時の私は、小さくて可愛かったんだよ。ベコベコになったんだよ」

 最近、少しだけ思い出した父の記憶だ。あの頃の私は、父のことしか見ていなかった。父に振られて、鈴音と仲良しになったのだ。以降、どんどん弟妹が増えて、母だけでは手が回らなくなって、御形以降はほぼ私の子になった。

 鈴音に成績で負けたくないと、教科書片手にミルクをやっていた。特に何を教えたつもりはないのだが、波久部のおもちゃ教材を使って、いつの間にか一歳で平仮名とカタカナと数字とアルファベットを覚えていたのに気がついたので、面白くなって、私の宿題の時間は、一緒に机を並べていろんなことを教えた。高校受験をする頃には、得意教科だけは、御形に教えられる有様で、否応なく危機感を煽られた。

「そうか。じゃあ、俺の結婚指輪はコレだ。覚えておけ」

 白金の平打ちリングだが、何やら難しいデザインの彫刻入りだ。写真を見ながら真似しても、うまく彫れる自信が持てない。これは、買った方がいいヤツだよ。

「えー。後で絵を描いてよ。覚えられないよ。シャルルは、どれが好き?」

「こっちのピンク」

「おー。女の子だねー」



 買い食いをしたかったのだけど、お金がないので、お昼は携帯食料だ。ガリガリ食べながら、観光をする。特にコレ! って物を見せなくても、その辺を走ってる車とか、そこら中に建ってるビルとかで充分見所になってるのが、手間いらずだ。シュバルツも連れて来たら、良かったかもしれない。

 14時か15時か、それくらいに家に行ったら、田平がいたので、中に入れてもらった。一通り田平を堪能したら、夕飯の準備に取り掛かる。

 田平からお小遣いを巻き上げるのは、気が引ける。庭に出て、食材を探した。


「さあ、シャルル。我が家のレシピを伝授してやろうじゃないか!」

 タンポポとオオバコとハルジオンの天ぷらと、スベリヒユのおひたし、カラスノエンドウのナムル、ハコベの味噌汁、それに田平のリクエストでだし巻き卵を追加した。

 調理を始めたくらいで、大体全員揃ったので、出来次第、配膳していく。鈴音が帰ってきたところで、いただきますだ。

「「「「「「いただきまーす」」」」」」

 やっぱり食事は、大勢がいいね。

 私がシャルルとごはんを作っている間、みんなはトランプか何かで遊んでたから、すっかり仲良くなっていた。お父さんとお母さんが戻ってきたみたいだった。


「これが、元祖拾い食い料理か」

 キーリーは、御形と田平相手に超失礼な話をしていた。

「文句あるなら、食わないで。ナズネェの飯は天下一品なんだから。たまに変なの作るけど、アレは母さんとかスズネェの再現料理なんだよ。久しぶりなんだから、あんたの分だってオレは食うよ。原材料なんて、なんでもいいんだよ」

「美味いとか不味いじゃねぇんだよ。お前の姉ちゃんは、毒物を平気で食べようとする危険人物なんだぞ?」

「あー。それ、きっとオレ達がいないからだ。オレ達に害がなけりゃ、全然気にしないんだよ。正体不明の草を、食えるかどうか、食って確かめようとするんだよ。悪いけど、守ってやって。しつこく止めて」

「止めても止めても、毒きのこ食べたいって、言い続けてたぞ」

「すっげぇ、目に浮かぶ! お願い、どこまでも止めて」


 ジョエルは、危惧した通り鈴白狙いだ。片膝に乗せて、ごはんを食べさせている。許すまじ。

「次は、何を食べたい?」

「ぜんぶー」

「それは、難しいな」

「えーっ、鈴白だけなの? 私もナズネェの妹だよ」

「あんたいくつよ。恥ずかしいことを言うのは、辞めなさい」

「大きいからこそだよ。あーあ、だからスズネェは、彼氏できないんだよ」

「はい、平等。ケンカしない」

「むぐーっ!?」


 ジョエルなんて、連れて来なければ良かった。弟はキーリーに奪われ、妹はジョエルに奪われた。辞めてねって、ちゃんと言っておいたのに!

 でも、みんな楽しそうだ。会えて良かった。この力を得て良かった。ほっこりした気持ちで皆を眺めていたら、とんでも爆弾を投下された。

「シャルル姉ちゃんは、オーナーさんと結婚したけど、ナズネェは、どっちの兄ちゃんと結婚すんの?」

 田平だ。超可愛いニコニコ笑顔で、場を凍り付かせた。弟が済みません! って、謝り倒せばいいのか?

「違うよ。シャルルは、そこの金髪のお兄さんと結婚するんだよ。私は、どっちのお兄さんとも結婚しないけど」

「え?」「「えーーーっ!!」」

「そっかー。金髪兄ちゃんおめでとう!」

 正直、シャルルには、こっちの世界は向いてないと思う。力づくで、あちらに連れて行こう。

祝100回。100回記念で終わりにしたかったのに、終わりませんでした。


次回、そろそろ終わるために、あの方に頑張って頂こうかと思います。

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