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死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります  作者: 穂村満月
第八章.みんな可愛い私の弟妹

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99.シャルルとオーナーさん

 ごはんを作っている間に、鈴音に地図を書いてもらった。とても簡潔で、わかりやすい地図だったのだが。

「しまった。お金がない」

 オーナーさんちは、電車で二駅先だった。那砂なら歩ける距離ではあるのだが、シャルルには無理だ。しかも、往復するとか、時間の無駄だ。今日は、それほど時間がないのだ。

「致し方ない。ジョエル、私とキーリーを抱えて走って。馬よりは遅めで、お願いね。道案内できないから」

 まだ薄暗い外は、ほぼ人の目はない。今なら、騒ぎにならない、といいな。防犯カメラは避けきれないだろうけど、戻った後に騒がれる分には諦めよう。


 オーナーさんちに着いた。

 日はすっかり昇っているが、常識的に考えると、他所様の家を訪問する時間ではない。だからと言って出直せば、シャルルはどこかへ出かけてしまうかもしれない。店もほぼない住宅街で、見知らぬ外国人が3人連れ立ってウロウロしてたら目立つ。ジョエルが、絶対目立つ。だって、舞踏会仕様なんだよ! 着替えてくれば良かった。

 どうしよう! と思ったところで、ゴミ袋を抱えたオーナーさんが家から出てきた。今だ!

「おはようございます。オーナーさん。朝早くから大変申し訳ないのですが、ナズナいますか?」

 私は、適当な説明でシャルルに会おうとしたのだけど、失敗した。その謎理論では、妹くらいしか騙せない、と失礼なことを言われたが、キーリーが代わってくれて、シャルルに会うことはできた。

 家に上がりこむのはやめて、公園にきた。オーナーさんには、ファミレスを勧められたんだけど、残念ながら、お金がない。払ってくれると言われたけど、辞退した。

「シャルル、なんで家にいなかったかな。男の人の家に泊まるのは、ナシだよ。魔法は、ここじゃ使えないんだよ。何かあったら、どうするの?」

「ごはんの人は、やさしい。ジョエルと同じ。家は、ダメなの。お姉ちゃんになれないから」

「申し訳ありません。帰さなければ、とは思っているのですが、説得しきれなくて」

「いえ、オーナーさんがいい人なのは、わかりましたから。弟妹を助けてくれて、感謝しているんですよ」

 オーナーさんは、私が那砂で、那砂がシャルルになっているという荒唐無稽な話を信じてくれた。シャルルが全面的に認めたからこそ、話し合いの場を作ることができたのだけど、現代日本にそんな話を一撃で信じてくれる人がいるとは、思わなかった。私なら、鼻で笑ってお終いだよ。

「前々から、木名瀬さん一家のことは、気になっていたんです。支援が遅くなって、申し訳ない」

「いえ、うちのはただのワガママですから。それなりに面白楽しく暮らせていたのです。ですが、それについて、ご相談させて頂きたいことがあります。オーナーさんに、貴金属を換金するお手伝いを頼めないでしょうか?」

「換金?」

「私、少しですけど、色々持っているのです。できたらこれを売って、オーナーさんに返金と弟妹の生活資金にしたいのですが、私は不法滞在者だし、弟妹は未成年だし、シャルルにできるとは思えないので、申し訳ないのですが、お手伝い頂きたいのです」

 金持ちのオーナーさんが換金する分には、いっぱい金を持ってきても不自然じゃないかな? という企みだ。

「ただ、あちらの世界の金と、日本の金が同じ物質なのか確証がない上、下手すると隕石並におかしな鉱物かもしれないのですが」

「それは、若い人には難しいでしょうね。少量でしたら、お引き受け致しましょう。

「ありがとう御座います。後ほど、おうちに寄らせて頂いて、その時にお渡しします」

 あちらの十万以上の通貨は、金とか白金とかでできているのがある。槍は、銀だ。恐ろしいことに、鉄より柔らかいからと、銀は大した価値がない。後は、宝石類。緑の石は、どう見てもエメラルドでも翡翠でもない色だ。他のを含めて、売っていい物か、1番わからないのが、これだ。

「あと、シャルル。シャルルには、一度あっちに戻ってもらうよ。こっちが良かったら、こっちに戻るのは否定しないけど、一回は連れてくからね。シャルルの親を見つけて、捕獲してあるから。一緒に会いに行って、文句を言ってやろう! ね」

「ごめんなさい。私、ナズネェの全てを壊した。ナズネェの代わり、何もできなかった。私がダメなの。黒い所為じゃなかった」

 シャルルは、ジョエルたちの顔を見てから、ずっと泣いている。確か、前に再会した時に怒られていたから、まだ後を引いているのかもしれない。

「し、しょうがないな。今から、シャルルも私の妹だよ! 全部許す。大丈夫。大学なんて行きたきゃ、どこだって試験受けりゃ入れるし、気にしないでいいよ。

 シャルルは、ただの箱入り娘だよ。教育を受ければ、皆と一緒。私が教えてあげるから。お姉ちゃんは無敵だから、任せて!」

 まさかまさか、シャルルにお姉ちゃんと呼ばれる日が来るなんて! 今の見た目が自分なのが微妙だけど、いつかちゃんと元通りに戻って、完全なお姉ちゃんになってやるからね!!

次回、家に戻って家族団らん。弟妹パラダイスを奪われる予感。

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