26話 豪華なデパート
私達は宇宙ギルドから移動し、ついに異星『レベル1・グリーン』の星に到着した。
芝滑りの施設内に転移した私達はそこで、自動で芝を刈る芝刈り機を発見した。
「勝手に動いてる。綺麗なゴーレムだね」
『これはゴーレムじゃありません』
「違うの?」
『あれは、人工知能が搭載された自動芝刈り機です!このような機械を導入している一部の地域は、人類滅亡前と変わらない環境を機械によって維持し続けているんですよ』
「そうなんだ……もう使ってくれる人間はいないのに……」
エメラルドさんは眉を下げ、憐れみのこもった目で芝刈り機を見つめる。
『この都市では掃除ロボットも幾つか稼動しているので、街も結構綺麗なんですよ。では魔物狩りの前に、軽く街の探索でもしてみましょうか!』
「いいね!元々は宇宙旅行のつもりで来てたわけだし、色々と見てみたいな!」
エメラルドさんは表情をパッと切り替え、満面の笑みで両手を合わせた。物凄く嬉しそうだ。
「僕、ショッピングモール的な施設があったら行ってみたいな〜!ドランさんはなんか行きたい所ある?」
「私は遊園地が気になりますね」
「遊園地もいいね!どんなアトラクションがあるか見てみたいかも」
『では、とりあえず街に出てみましょうか!お2人とも、私についてきてください!』
「はーい!」
私はエメラルドさんとドランさんを引き連れて丘を下り、照明のついた子綺麗な施設を通り抜けて外に出た。
「すご……!」
外に広がっていたのは、コンクリートの建物が立ち並ぶ綺麗な街だった。
大きなビル、カラフルな広告、何も走っていない広い道路。ビルの出入り口付近で、大きな掃除ロボットらしき機械が動き回っているのが見えた。
「未来的ですっごく綺麗!」
エメラルドさんは薄桃色のレンガが敷き詰められた歩道の上を歩きながら、くるくると辺りを見回している。
「あ、今の僕すっごく可愛いかも。カメラでちゃんと撮っといてよね」
『バッチリ撮影してるよ!』
上空に浮かんでいるシルバーディスクのバスラは、エメラルドさんの指摘に答えながらスマホやカメラで撮影をしている。
「あ、空になんか飛んでる。あれも何かの機械?」
『あれはドローンですね。どうやらあの機械は何かトラブルがないか、空から見回りしているようです』
「トラブルかぁ……もう目立ったトラブルなんて発生しないだろうに」
エメラルドさんは飛んでいくドローンを目で追いかけながら、再び悲しそうな顔をする。
「……モヨ、機械っていつか壊れるでしょ?あの空飛んでる機械も、さっきの芝刈り機も、いつか壊れちゃうんだよね?」
『いえ、暫くは大丈夫かと……どうやら機械を修理する機械があるみたいなので』
「材料がなくなったら終わりだね」
『材料を自動で採掘し、自動で部品を生産して送り届けるシステムがあるらしいです』
「この世界の機械くたばる気配ないね」
機械より先に建物が崩壊しそう……
『あ、エメラルドさん見てください!向こうに見える大きい建物が、この街で1番大きなデパートですよ!』
「デカっ!?」
私は他のどんなビルよりもオシャレで巨大な建物を指し示す。エメラルドさんは分かりやすく反応をする。
「すごーいっ!!あんなのもう飛び込むしかないじゃん!みんな行くよ!」
「窓から飛び込みますか?」
「今のは言葉の綾!普通に真正面から入るよ!」
エメラルドさんはハイテンションでデパート目掛けて駆け出した。すると、上空を飛んでいたドローンが唐突に警告音を鳴らしだし、走るエメラルドさんを追いかけ始めた。
『ピピピーッ!そこの歩道を走るエアスケボーの子、止まりなさい!』
「エアスケボーって何!?」
どうやらあまりにも速過ぎたらしく、ドローンが勘違いを起こしたらしい。
『街中でのエアスケボーは禁止ですよ!』
「だからエアスケボーって何!?」
エメラルドさんは素早いドローンを引き連れながらデパートに駆け込んで行った。
『エメラルドさーん!バッチリ撮れてるよー!』
「こんなの撮ってんじゃねーっ!!」
何とかエメラルドさんからドローンを引き離した後、私達は改めて大型デパートに乗り込んだ。
「すっごく広い!」
「全体的にまとまっていますね」
デパートの中はとても綺麗で、それでいて物凄く広かった。全体的にシンプルで、それでいてオシャレなデザインの内装だ。
「すっごく綺麗……なんか未来って感じだよね!」
「全体的に物が少ない印象ですね」
「物がゴチャついてなくてまとまってる感じだよね。僕らの住んでる星も、いつかはこんなオシャレになるのかな?」
『私達の星もどんな進化をたどるか楽しみですね!さて、とりあえずどこから攻めますか?』
「食品売り場」
「この僕にグロテスクな現場見せるつもり?」
『いえ、大丈夫です。日の切れた食品は全部ロボットが回収しているので、今はとても綺麗ですよ。あるのは日持ちのするお菓子や缶詰とか……』
「お菓子あるの?ちょっと気になる……でも、お金ないと周りにいるロボットに止められるんだろうな……」
『止められますね。この国はデジタルマネーという実体のないお金しか使えませんから、その辺からお金を回収して使うこともできないようです』
「人がいないからって勝手に回収するのはダメだよね?」
『ダメですね……でも、人が完全に絶滅している世界の物だったり、明らかに著作権切れしている商品なら、商品そのものをスキャンして、後でギルドで再現することはできるようですね』
「再現!?えっ、その辺の物を丸々再現できるの!?」
『はい!……まあ、それもギルドの通信装置を復活させる必要があるみたいですけどね。材料とかうんぬんかんぬん……』
「やっぱり魔物狩りは必須かぁ……とりあえず、このデパートを全部見て回ろっか」
『はい!』




