表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/105

8話 意地っ張りグラさん

 サラサさんとの仕事を終えた次の日の朝……


「モヨ、おはよう。昨日は大活躍だったらしいな」


 レイトさんは挨拶共に真っ先に、昨日の詐欺事件の話題について触れてきた。


「違法魔導具使う奴らと遭遇したが、無事捕獲したらしいな」


『えっ……いえ、違います!あの時大活躍したのは冒険者の方です!私は手助けをしただけで……』


「そうか。だが、モヨを利用した冒険者はお前の事を凄く褒めてたぞ」


『えっ!?そうなんですか!いや、それほどでも……』


「生後数十日の奴が何を謙遜してんだ」


 私が照れていると、部屋に男性ギルドスタッフが入ってきた。


「モヨさん、冒険者のグラさんからご指名が入りました。若草草原で自由探索だそうです」


『はーい!』


 ギルドスタッフに呼ばれた私は、急いでランタンの中に入り込んだ。


「モヨ、頑張ってこい」


「はい!行ってきます!」


 今日はどんな冒険者とお仕事するんだろう。そんな事を考えながら、ギルドスタッフの手でギルドへと運び込まれた。



「チッ……(いらねえって、こんなの……)」



 ランタンに揺られ運ばれた先にいたのは、大きな剣を背負った元気そうな青年だった。逆立つ短髪を揺らしながらイライラしている。


「こちらが貴方のお手伝いとなる、ヒカリダマのモヨさんです」


「……(うるせぇ……)」


 青年はイライラしながら、私が入ったランタンを雑に受け取った。


『わわっ!?』


 ランタンがグラグラと揺れ、不意を突かれた私は壁に何度か激突してしまった。


 そして青年は鞄にランタンを乱暴に付けると、早足でギルドから出て行ってしまった。





「くそっ……(何で俺がこんな物を……)」


『(この人、物凄く不機嫌だ……)』


 この青年は、どうやら不本意で私を持ち歩いているらしい。誰かに言われて仕方なく……と言う感じかな?


 でも、とりあえず挨拶だけはしておこう。


『初めまして!モヨです!』


 私は青年に向かって元気よく挨拶をした。私に気がついた青年は不機嫌そうな顔でランタンを持ち上げ、中にいる私をギロリと睨みつけた。


「俺の名はグラ……」


『グラさんですね!宜しくお願……』


「言っとくがな!俺は仕方なくお前を連れてくんだからな!お前の言いなりにはならねぇ!」


『ええっ!?言いなりって……』


 彼は更にまくし立てる。


「俺はお前みたいな奴に指図されんのが大嫌いなんだよ!だから今日はずっと黙ってろ!いいな!」


 何か物凄い怒ってる……てか、何か誤解されてない!?違う違う!私は命令なんてするつもりはない!


 ここは何とかして誤解を解かないと!



『『『待ってください!!!!』』』



「うわっ!?」


 私はテレパシーで思い切り大声を上げた。


「な、何しやがる……!」


 青年は私の大声が脳に響いたのか、空いてる手で頭を抱えながらしゃがみ込んでしまった。


『誤解です!!私はあくまで冒険者のサポートをするだけです!!命令なんてしません!!』


「だ、だが……」


『そりゃ私だって頭はあるので色々と提案はすると思います!ですが、最終的に行動をするのは貴方です!指示なんてものは出しません!』


「……」


 私の言葉を聞いてグラさんは口をつぐんだ。彼の顔を見るに、まだ怒りは消えてないようだ。



『…………グラさん、そもそも私は生後数十日です。まだ0歳なんです』


「…………えっ?」


 私の歳を聞いたグラさんの眉間からシワが消えた。顔から怒りは消え、困惑の色が見え始める。


「お前……赤ん坊なのか……?」


『そうです!この世界の知識はからっきしなので、命令なんて大層な事は出来ません!最終的に冒険が成功するかどうかは貴方に掛かっています!』


「お、おう…………」


『……グラさん、精一杯サポートするので、どうぞ宜しくお願いします!!』


「そ、そうか…………えと……急に怒鳴って悪かったな…………」


『いえ!分かってくれたのならそれで十分です!では気を取り直して……グラさん、今日は宜しくお願いします!!』


「……宜しく(こいつ、とりあえず悪い奴じゃ無さそうだな……)」


 グラさんから敵意が感じ取れなくなった。どうやら少しは誤解は解けたようだ。良かった……



 何とか仲直りを済ませ、若草草原へと移動中……



『所でグラさん』


「何だ?」


 私はとりあえず、今日のグラさんの目的について尋ねてみる事にした。


『今回は若草草原で何をするご予定なんですか?』


「今日はこの辺の魔物を適当に狩るだけだ。モヨは魔物が何処にいるのかを俺に教えろ、いいな?」


『分かりました!私にお任せください!』


 最初はどうなるかと思ったけど、これなら何とか自分の仕事が出来そうだ。よし、今日も張り切って頑張るぞ!




『グラさん!あの大きな植物の影にビッグラットがいます!』


「あれか!とりゃあ!!」


 若草草原に到着したグラさんは全力で駆け込み、植物目掛けて大きな剣を振り下ろす。だが、グラさんは見当違いの方に振り下ろしてしまった為、ビッグラットに攻撃は命中しなかった。


「ヂューッ!!(ナンダコイツ!コレデモクラエ!)」


 ビッグラットは素早い動きでグラさんから距離を取り、そこから全速力で駆けてグラさん目掛けて突進を仕掛けてきた。


『グラさん!?』


「うわっ!?」


 ビッグラットの突進をモロに食らったグラさんはその場に転倒、ビッグラットはその隙をついて遠くへと走り去ってしまった。


「くそっ!!(見習いの時に何度か戦った魔物だったのに……!)」


 グラさんは顔を歪め、握り拳を思い切り地面に叩きつけた。


『大丈夫ですか……?』


「これくらい俺は平気だ!くそっ……!(初めての1人での討伐とは言え、あんなザコにやられるなんて……!クソだせぇ……!)」


 グラさんはとても悔しそうだ。


『グラさん……次行きますか?』


「ああ、頼む!(次は絶対に倒す!)」


 グラさんは私の問いに元気よく答えてサッと立ち上がった。どうやら、やる気は十分あるようだ。


『(グラさんは何処かで冒険者になる特訓はしたみたいだけど、まだ魔物との戦闘経験が浅いみたい……)』


 なら、とにかく魔物と戦わせて経験を積ませるまで!


『グラさん!あの木の根元にグリーンワームが居ます!』


「よし!」


 私の情報を聞いたグラさんは元気よく返事をして駆け出し、構えた剣をグリーンワーム目掛けて振り下ろした。


「ギュッ!?」


 攻撃を受けたグリーンワームはのけぞり、それでも反撃をしようとグラさんに顔を向けた。


「当たるか!(何度も同じヘマはしねぇ!)」


 グラさんはその場から急いで飛び退き、グリーンワームの糸攻撃をかわす。そして魔物が攻撃をした隙を突き、グラさんは再び剣を振り下ろした。


「ギッ……!」


 魔物はその場に倒れて煙を吹き出し、魔石やマナ袋などのアイテムを残して消えてしまった。


「よ、よし……やったぞ……!(初討伐だ……!)」


『グラさん!おめでとうございます!』


「へっ……これくらいどうって事ねーよ!(やった……!1人で初めて野生の魔物を倒せた……!)」


『流石グラさん!では、この調子でどんどん魔物を倒していきましょう!』


「おう!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ