表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/105

46話 とりあえず一件落着

 荒れ果てた遊園地の中。すっかり自体が収束したこの環境に兵士が次々と入ってくる。


「全部……私がやりました……」


 静かに泣くシルクに兵士達は戸惑う。


「お、お前……本当にシルクか?」


「ヨイトさんを……無理矢理作り変えて杖にして……ぐすっ……」


「ドラン様曰く、既に無力化されてるとの事だが……とりあえず油断はするな」


 兵士はすっかり大人しくなったシルクさんに手錠を掛け、戸惑いながらも連行していく。




 一方、魔法大会の参加者とウインクさんの仲間のステータスは既に元通りに戻しておいた。


「さっきのやつ、凄かったなぁ……」


「ちょっと走っただけで物凄いスピードが出て……普通に殴っただけで相手が地面にめり込んだぞ」


「チーターが暴れる理由が何となく分かったような気がしたよ……」


 この場に大勢の治療師も駆けつけこの場にいた全員を診て回ったようだが、シルクと戦って怪我をした人は殆ど居なかったようだ。何とシルクさんと生身で戦ったレイトさんとドランさんもほぼ無傷だった。



 とりあえず私も何か手助けをする為にその辺を見て周ろうとしたが、私に手伝える事は特に無さそうだった。なのでその辺をぶらぶらする事にした。


『何か困ってる人はいるかな〜?』


「モヨ〜!」


 私がその辺を見回す仕草をしていると、遠くにいたエメラルドさんが私に気付いて駆け寄ってきた。


「モヨ、大丈夫だった?」


『はい!私は無傷です!エメラルドさんはどうでしたか?』


「僕も平気〜。それにしても……あの時のモヨ、すっごくカッコよかったよ!やるじゃん!」


『エメラルドさんだって!あの指示は凄かったですよ!あの指示のお陰でシルクさんの元まで辿り着けたんですから!』


「あったり前じゃん!」


 エメラルドさんと一緒に軽口を言い合いながら笑う私達。


 あの戦闘の際、お互いに意識を共有したからか、死線を共に潜り抜けたからか、いつの間にか私とエメラルドさんは仲良くなっていた。


 エメラルドさんの小生意気な発言に笑って反論したり、逆に私が何かを言えば少し毒の含んだ言葉で返す。


 私と会話をするエメラルドさんの心にはもう、初対面の時のような相手を下に見たりする様子は無かった。


 逆に、私が魔法の子になったからと言って変に態度を改めるような事もしなかった。


「…………ねえ、モヨ」


 2人で楽しく会話をしていると、ふいにエメラルドさんが真面目な面持ちで私の顔を見た。


『エメラルドさん、どうしましたか?』


「今度僕さ、グリーンタウンに遊びに行こうと思ってるんだけど……その時に、グリーンタウンの案内とか頼めるかな?」


『勿論です!友達として、一緒に街を周りましょう!』


「友達って……まあ、いっか。ありがと」


 エメラルドさんは此処で何故か緊張が解けたらしく、微笑みながら話を続ける。


「僕さ、一度でいいから『世界一安全で住みやすい片田舎』のグリーンタウンを観光したかったんだよね」


『すっごく平和で良い所ですよ!是非!その時は何か奢ってください!私、進化して食べ物食べれるようになったみたいなので!』


「もちろん!ちっちゃいモヨなら幾ら奢っても大した金額にはならないだろうしさ!」


『やったー!』


 エメラルドさんとの約束を取り付けた私は両手を上げて大喜びした。その姿を見たエメラルドさんは「大げさでしょ」なんて言いながらも笑顔を見せた。



「良い景色ですね……」



 ドランさんはそんな私達を、何処からか持ってきた謎の大きなカメラに納めながら見つめていたのだった。




 数十日後……



 シルクは無事に逮捕され、私は新たに生まれた『魔法の子』として図鑑に登録されることになった。


 進化した私を見にグリーンタウンに学者が集まるかと思いきや、魔法の子はそんな気軽に近寄れないとか「魔法様の機嫌を損ねたらまずいから研究なんて出来ない」との事で、今回は私の元には殆ど人は来なかった。


 因みに、私が飛ばした粒子はこの世界で最も小さい光の精霊『ホシクズ』という名で登録された。



 そして、ある日の晩……



 真夜中の静かなグリーンタウン。遠くの飲み屋のある辺りは未だに騒がしく明るい。


 そんな趣のある真夜中、私はギルドの屋根の上で小型のラジオのスイッチを押した。


『あーあー、聞こえますかー?』


 私はラジオのツマミを特定の部分まで回しながら、手に持っている音鳴石に声を掛ける。


『オッケー!ばっちり聞こえるよー!』


 あの後、なんやかんやでエメラルドさんと打ち解けた私は、決まった日に通話機能付ラジオで喋るくらいの仲になっていた。


 エメラルドさんの話によると、今の都会の子は仲良しの人と何らかの手段で通話するのが流行っているとの事。


 そこから逆算するとつまり、エメラルドさんは私の事を友達として見てくれている。という事なのだろう。


 本人からは「友達も兼ねてるけど、読まれた僕の心を外に漏らさないよう監視も兼ねてるからねっ♪」と本心から言われた。


『僕があげたラジオはまだ元気そう?』


『はい!』


 エメラルドさんがグリーンタウンに観光に来た際にお土産として、ある程度遠くても通話ができる通話機能付ラジオを手渡してくれた。


 そのおかげで、私はこうして遠く離れたスカイタウンにいるエメラルドさんと対話が出来ている。この状況、何だか青春って感じがする。


 この通話機能の付いたラジオは最新式。遠くの人と話せる超画期的で最先端な機械なのだが、欠点も沢山ある。


 このラジオは登録したラジオ同士でしか会話出来ないのだが、登録出来るラジオは1つだけ、音質があまり良くない上に壊れやすい欠点があった。


『エメラルドさんの方はどうですか〜?あっ、これはラジオとエメラルドさん2人含めてって意味です!』


『ラジオも僕も大丈夫〜!ラジオは頑丈なやつだし、今日の僕は勉強したり歌と踊りのレッスンしたり……それにしても、モヨが進化してから世間は物凄く変わったよね』


『ですね!私の分身が消えた時は、ギルドの仕事はどうしようかと焦っていましたが……私が新たに作った呪文のお陰で冒険者は安全に冒険ができるようになりました!』


 魔法の子になった私は、私が居なくても安全に冒険ができるよう『ステータス表示』の次に『マップ表示』の魔法を作った。


 ステータス表示はその名の通り、呪文を唱えた人間の現在の実力を、様々な本にある力の計測から引用して脳内に直接お教えする魔法だ。


 『相手のステータス表示』と言えば、魔物相手の能力も知れる。だが、もしこの魔法を悪事目的で使用しようとしてもステータスは一切表示されない。


 『マップ表示』は、魔法使用者の周りの様子を簡潔に伝える魔法だ。周囲の環境が分かるだけでなく、周りにいる魔物も表示してくれる。ヤバそうな魔物や悪い人が出たら警告が出る親切設計だ。


 この魔法も勿論、悪い人や悪事には使えないようになっている。


 光の精霊の1つ1つに私の意思が宿っているので、魔法が使えるかどうかは完全に私の気分次第だ。


『あっ、そう言えばさ。シルクのチーター事件の犯人って結局どういう扱いになったの?モヨの話だと異星人が犯人だって言ってたけど……』


『上の人達に話は信じて貰えましたが、逮捕は難しいとの事で……』


『だよね……異星人なんてどうやって捕まえるんだよ……』


『私的には、異星人の存在をあっさり信じてくれる方が不思議でしたね』


『異星人にまつわる話は昔からあるからね〜、歴史の授業でもそんな逸話とかあるし……そうそう、今スカイシティでは異星人にまつわる映画が話題でさ……』


 そこから話題はスカイシティに移り、スカイシティの流行について色々と教えてくれた。


 田舎から来たエルフ(モドキ)が、アパート住みでも様々な植物を育てられるようにと作った植物屋が大繁盛し、今はサラリーマンの間ではベランダで小さな野菜を育てるのが流行している事。


 遊術師という見栄えを重視した魔法を使ったパフォーマンスが流行し、道路でパフォーマンスをしている人が増えている事、などなど……


『いいなぁ〜スカイシティ!物凄く面白そうです!』


『なら遊びに来れば?僕は近いうちに休みが取れそうだし、もしモヨと休みの日が被りそうなら一緒に街を歩こうよ。それなりに街に詳しい僕が案内するよ』


『本当ですか!?』


『こんな事に嘘なんてつかないよ。前にグリーンタウンの案内をしてくれたお礼も兼ねて案内させてよ』


『やったー!!絶対行きます!!』


 新たな友達、エメラルドさんと共にスカイタウンを観光する約束をした私は大喜びでその場から飛び上がり、興奮冷めやまない私は光をまといながら高速でグリーンタウンの夜空を飛び回ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ