13話 久しぶりマルクさん
此処に来てそれなりの日数が経過した。
私のこれまでの仕事ぶりが評価されたのか、初心者冒険者から指名される事が増えてきた。
魔物を探知出来るのもあるが、発光で魔物の目を眩ました隙に逃げられるという安心感もあるらしいので、勉強したい人だけでなく、まだ探索に不安が残る人も私をこぞって指名するようだ。
そのお陰で私の探知能力は向上したし、発光時間も増え、若草草原を始めとしたあらゆる知識も増えた。
更に冒険者が倒した魔物のマナを吸収し、身体も随分と大きくなった。今のランタンでは入れなくなった為、少し改装までしてもらった。何だか最近、身体が異様に元気な気がする……もしかしたらそろそろ進化するかも?
「モヨ、最近大活躍だな。初心者以上の冒険者の間でも少しずつ話題になってるらしいぞ」
『嬉しいです!この調子で頑張ります!』
「頑張れよ」
レイトさんからお褒めの言葉を頂きつつ、本で勉強しながらひたすら指名を待つ。
「モヨさん、指名が入りました。今日は青金洞窟でグレムリンを討伐するそうです」
『はーい……って、ええっ!?』
青金洞窟。それはランク4以上の冒険者しか入れない難易度の高い洞窟だ。
『あの、私……そこはまだ勉強出来てなくて……』
「大丈夫です、相手はレベル6の冒険者なので。モヨさんは魔物探知をするだけで大丈夫との事です」
『レ、レベル6の冒険者……!?』
どうやら今回は高レベルの冒険者と探索をするらしい。確かレベル6はミノタウロスを1人で討伐出来る腕前らしいが……
『(な、何故そんな高レベルの人が私を指名したの……?)』
私は戦々恐々としながらも、ランタンに揺られて冒険者の元へと運ばれた。
「こちらが貴方のお手伝いとなる、ヒカリダマのモヨさんです」
ギルドスタッフに運ばれた先に居たのは……
「あ、久しぶり!(大きくなってる!)」
『マルクさん!』
私が生まれて初めて出会った心優しい冒険者、マルクさんだった。相変わらずの爽やか好青年、という感じだ。
『お久しぶりです!』
「モヨ、相変わらず元気そうで良かったよ!君の話は周りからよく聞いてるよ、詐欺師や強い魔物を倒す手助けをしたってね!すごいね!(あの子がこんなに成長するなんてなぁ……)」
『いえいえ!あれは冒険者の腕が良かったからこそ成功したのであって、私はあくまで補助を……』
「謙虚だなぁ……あ、そうだ!今日はこの2人も一緒に探索するんだ!」
マルクさんはランタンを持ち上げ、近くにいた冒険者2人の前に差し出した。
「俺はドラだ(丸い……)」
1人は重そうな鎧を身に付けた、物凄くガタイのいい強そうな男性だ。ドラさんはじっと私を見つめている……
「私はリーサ……久しぶり(何か前見た時よりデカい気がする)」
「あっ!リーサさん!」
もう1人は、前にブラッドバットに襲われていた、魔物を使役出来る女性冒険者だ。
「あれ?君達知り合いかい?」
「そんな感じ。危ない所を助けて貰ったって所(本当は助けたのは冒険者だけど)」
『あの時リーサさんを助けたのはグラさんです!』
「そうだったね(ちゃんと自覚あるんだ)」
リーサさんはうんうんと頷き、私が入ったランタンを撫でた。
「さて、自己紹介も済ませた事だし……そろそろ出発しようか!」
『はい!』
仕事に対して少し不安はあるが、今の自分の実力をフルに使ってマルクさん達を手助けしよう。
「さてと……リーサ、今日もよろしく頼む(此処から青金洞窟までは遠いからね)」
「分かった」
街から外に出ると、マルクさんがリーサさんに頼み事をした。リーサさんはそれに対して軽く頷き、空に向かって合図を飛ばした。
『何をするんですか?』
「見てれば分かるよ」
『?』
とりあえずこの場を見守っていると……空から3匹の魔物がリーサさん目掛けて接近してきた。
やがて地上に着陸し、目の前に現れたのは……超巨大なカラスだった。
「ギャッギャッ!(キタゼキタゼ!)」
「ギャーッ!!(トバスゼトバスゼ!)」
身体にクラのようなものを付けたカラスは大興奮で翼をバサバサしながら、リーサさんの元に元気に駆け寄る。
『もしかしてこの子達は、リーサさんの仲間の魔物ですか?』
「そうそう。ビッグクロウで右からカレレ、バチ、ドライ」
「ギャッ(カレレ!)」
「ギッ!(バチ!)」
「……グッ(ドライ)」
『おー、これはこれはご丁寧に……あ、私の名前はモヨです!』
「ボエ!(モヨ!)」
「グェ!グェ!(モヨ!モヨ!)」
『はい!モヨです!よろしくお願いします!』
私の挨拶に元気よく返事をするカレレとバチ。初めて魔物とまともに話が通じたかもしれない。
「へぇ、モヨも魔物と話が出来るんだ(もしかしたらモヨも魔物を使役出来たりして……)」
『会話をしたのはこれが初めてです!魔物の言葉は分かりますが、どう頑張っても野生の魔物とは会話が出来なさそうで……』
「まずは弱い魔物と会話してみたら?少しは魔物との話し方とか分かるようになるかも」
『成る程……頑張ってみます!』
「いい返事するじゃん。さて、世間話はこのくらいにして……皆んな、急いでこの子達に乗って」
「分かった」
マルクさん達はカラスの背中に慣れた手つきで飛び乗った。
「カレレ、バチ、ドライ、青金洞窟に飛んで!」
「「「グエーーーッ(リョーカイ!)」」」
3匹は元気よく返事をすると、魔力を込めた羽ばたきでその場から勢いよく飛び立ち、青金洞窟のある方に向かって飛び始めた。




