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陰陽相見える  作者: 霜月昴
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四話 お見合い④



 夜になって禍々しさを増したその大木の靄は明らかな敵意をこちらにむけている。

 「ヤバイな」

 このままでは危険だと判断した俺はその場から離れることにする。あの邪霊の放つあの靄に取り込まれれば精神を壊され最悪死に至る。

 靄は俺に向かって迫ってくるが、捕まらないように逃げ回る。しかしすぐに退路を塞がれ邪霊が迫ってくる。

 「水生小符・水渦連砲」

 そこへ水鉄砲が靄を打ち払う。

 (水の護符!もしかして) 

 視線の先には一人の少女が立っていた。

 身長は160cm半ばくらいか、栗色の髪と大きな瞳の少女。お見合いの写真でみた彼女とそっくりだった。大きな黒い瞳からは意志の強さを感じた。

 視線はそこで彼女から俺を狙って迫ってくる靄へ移る。

 「金生小符・鉄亀甲壁」

 亀の甲羅ほどの大きさの鉄の壁で靄との接触を防ぐ。それから多方面から護符による援護が入る。彼女の仲間たちだろう、靄は徐々に小さくなっていった。

 (このまま祓えそうか?)

 そう思った瞬間に靄は急速に肥大化する。

 そして彼女の死角からせまっていくのが見えた。

 「金生小符・鉄面角壁」

 正方形の鉄で出来た小さな壁が靄の侵入を阻む。それで彼女は死角の靄の存在に気付いて距離を取る。

 「正面から大きいのが!」

 俺も彼女も迫り来る靄を直視する。彼女は俺のもとに駆け寄り援護を求めてくる。

 「もっと堅固な壁はできますか」

 「長くて一分だ」

 並みの陰陽師ならば五分ほどはできるだろうが、三流の俺にはそれが限界だ。

 彼女もそれを思ったのかすこし眉を寄せてから「分かりました。お願いします」といって護符を取りだす。

 俺は彼女が護符に呪力を篭め始めたのを確認してとっておきの一枚を使う。

 「金生大符・金剛堅壁」

 ダイヤモンド並みの硬さの壁が彼女の前に守るように出現する。その硬さを維持できる時間が一分と言う事だ。その間にも彼女は呪力をこめる。

 「御柱なる神々よ 我が命の危機となれば 御身の力を欲っさん 我が血と呪と言を以って しばし我に力を貸し給え」

 護符に呪力を注ぎ込む。俺が同じことをするなら一日一時間呪力を注ぎ込みそれを数日続けて出来ることを彼女は一人で即席でやってのける。

 才能が違うと思った。


 「水生大符・竜泉昇牙」

 龍の形をした水が螺旋を描きながら登っていく。それで靄は霧散する。

 霧散した靄は再び集まろうとしたとき

 「火生封符・炎獄煉火」

 炎の渦が靄を取り囲むように封じる。その封印で邪悪な気配は消失していった。


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