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陰陽相見える  作者: 霜月昴
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一話 お見合い①

  陰陽師は古代日本において発生した官職の1つ。陰陽五行思想に基づいた陰陽道によって占筮せんぜい及び地相などを職掌として配置された者を指していた。中世以降の民間において個人的に占術等を行う非官人の者をも指すようになり、中・近世においては民間で私的祈祷や占術を行う者を称し中には神職の一種のように見られる者も存在するようになった。

 しかし現代ではその多く陰陽師がその職を失っていた。ある陰陽師の家は裏社会の組織と手を組んだり

、またある陰陽師の家は地域に根を下ろし、またある陰陽師は日本中を放浪するなど多くの変化があった。


 ※


 私は水成桃葉(みずなりももは)。陰陽師の家系に生まれた16歳の高校生だ。陰陽師は古代に成立した職業で現代では廃れているが形を変えて現代にも存在している。それが木火土金水の五つの宗家を筆頭にして街の治安を守っている。私はこの街にある五つの宗家の一つ水成(みずなり)の娘だ。

 水成はこの街の宗家の中でも一、ニを争う名家だった。強力な術を使い敵勢力を打ち倒していた。だが私の父の代で没落し、五つの宗家にも数えないと言うものまでいる。

 父は陰陽師としての才よりも商売人としての才の方があったため商売人として成功した。しかし陰陽師として大成していない父を尊敬できないでいた。そして私は水成家を宗家として復活させるために活動している。


 高校に進学してから本格的に陰陽師としての活動を行っている。一方で高校生として学業にも励んでいる。色々なことが順調に進んでいる中で父さんが厄介事を持ち込んできた。

 それは見合いの話だ。しかもお相手は一回りも離れている年上の男性らしい。

 陰陽師と言う家柄ゆえに優秀な呪力を持つもの同士で見合いをさせることはこの世界ではよくある事だ。一般人からみれば時代錯誤だろうが私たち陰陽師は呪力という才能がなければ成り立たない。だから私も必要とあれば歳の差のお見合いを受けることを考えているが、今は水成の家を再興させるために陰陽師活動を始めたばかりだ。そんな時期にこんな話を持ってくる父への不満は募るばかりだ。

 「私の邪魔をしようとしているとしか思えないわ」

 父は水成の家を没落させてしまったことに責任を感じている。

 その上その後始末を私にさせているように感じて後ろめたさを感じているのだろう。そんな父の心情も理解できない事はないが、私は陰陽師の仕事にやりがいを感じている。だからお見合いの話を断ろうと思っている。

 その事を父さんに伝えると当然激怒された。

 しかし怒りたいのはこちらの方だ。

 結果大喧嘩となりヒートアップしたところに母の仲裁が入った。

 「あなたいきなり許婚と言っても桃葉は納得しないでしょう」 

 「う、うむ。しかしな」

 「話を纏めたい気持ちは分かりますがまずは当人達の気持ちを汲んであげないと」

 「うむ、それはそうだが具体的にどうすれば」

 「簡単ですわ。お相手の鐘刃家の颯兵さんも陰陽師でありその訓練を受けているはずです。ならば桃葉の陰陽師の仕事に手伝いとして同行してもらいましょう。そうすればお互いの事が良く分かるわ。それでお互いが合わないというならこの話は無かったことにしましょう。どうかしら?」

 そう言って私と父を見るお母さん。

 合うわけが無い。そんな確信めいたものを感じていたがそれでこの話を断れるならそのほうが私にとって都合が良い。

 そんなわけで私はお母さんの提案を承諾した。

 その後でお母さんは

 「まるでデートみたいね」

 と呟いたが「違うわよ!」と否定する。

 「呪われた大木の前でデートだなんてムードなんて一切ないじゃない!」

 「あら、ムードがあったら良いわけ?」

 それ以上口論すると泥沼になりそうだったので私はそこで会話を打ち切った。

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