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第9話 睡眠! 猫娘と一緒のお布団で、ぬくぬくして悪い思いはポイポイしちゃうの!

「ラーラちゃん、照明(あかり)消すね」


「うん」


 わたし達は、照明を消したわたしの部屋で一緒に寝ている。

 わたしはベット、ラーラちゃんはベット横に来客用のお布団を敷いてだ。


「今日は色々あったけど、もう大丈夫だから安心してね」


「めい、わたし、わからない。ていこく、こわい。でも、めい、こわくない。どこ、ちがう?」


 ラーラちゃんは、自分の身体をぎゅっと自分で抱きしめて怖がる。


 ……暗くなったから、向こうで怖かった事思い出しちゃったんだね。


「さっきも言ったけど、わたしには分からないの。命は大事、ひとつしかないし、消えた命はもう取り戻せないから。命が消えたら、絶対悲しむ人が居るの。だから、わたしは、もう誰も傷ついて欲しくないし、泣いてほしくないから戦うの」


 わたしは、自分が戦っている理由をラーラちゃんに話した。


 ……これが全部の理由じゃないけど、嘘じゃないしね。


「ラーラちゃん、今怖いの?」


「うん。くらい、こわい、おもいだす」


 ……やっぱりね。


「じゃあ、ラーラちゃん。わたしのベットへ来て」


 わたしは、ベットから起きだして、お布団をめくる。


「?」


 ラーラちゃんはわたしの方を見て不思議そうな顔をする。


 ……うわー、緑の眼が光って綺麗!


 常夜灯の薄暗い中、ラーラちゃんの眼が光る。

 瞳孔の形が地球人と同じでも、やはり猫系から進化した人類なのだと、わたしは思った。


「こっちだよ!」


 わたしは、ラーラちゃんを抱っこして自分のベットへと引き寄せた。


「あ!」


「暖かいでしょ。今日は抱っこして一緒に寝ようね」


 わたしは、布団の中でラーラをそっと抱きしめた。


 ……やっぱりラーラちゃんは良い匂いするし、どこ触っても柔らかいのぉ。


 わたしは、ラーラちゃんの呼吸音と心臓のときを刻む音を聞きながら、いつのまにか眠りに入っていった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 わたしは、横で気持ち良さそうに眠るメイを見ている。

 この少女は、一切の差別心も無く、わたしを見てくれる。


「帝国のヒトと同じなのに、全然違うよね。メイ、貴方は」


 わたしは、温かいメイの身体を抱きしめる。


「むにゅあ。ラーラちゃぁぁん……」


 メイは、寝言でわたしの名前を呼ぶ。

 その呼び方は、父や母がわたしを呼ぶときと全く同じ。

 何の代償も求めない無償の愛のある呼び方。


「お父様、お母様。帝国の原点と思われる国に来ましたが、わたし何とかなりそうです」


 天井を見ながら、わたしは思う。

 帝国に滅ぼされてしまった母国、多くの国民が帝国との戦いで失われてしまった。


 帝国は、超古代文明が作った遺跡を起動し、封印されていた異形の兵、レギーオを解き放った。

 レギーオには普通の武器は効き難く、同じ古代遺跡由来の神器でしか確実に倒せない。


 戦いの際、母国の王族に伝わってきた神器を使って、父は多くのレギーオ達を倒した。

 しかし、多勢に無勢。

 消耗しきったところを、大量のレギーオによって文字通り押しつぶされるように殺されたと聞く。

 そして母は、その後わたしを逃がすために囮となり、父の後を追った。


「ラーラちゃん、ぜーったいまもるからねぇ……」


 横で寝ているメイは、なおも寝言でわたしを守ると言ってくれている。


「分かったから、メイ。貴方は絶対わたしを裏切ったりしないものね」


 わたしは苦笑して、メイの額にわたしの額をくっ付けた。


 メイ達は、神器に近い武具をなんらかの形で作り上げて、レギーオを倒している。

 自分達の姿形を変えているところから、魔法的な効果で身体能力をも上げているのかも知れない。


「この世界、凄いかも」


 メイの部屋を見ただけでも、わたしには作り方どころか、使い方すら分からないものが多い。

 お風呂とかも、パイプから暖かいお湯が出てくるのは不思議だし、今も天井で薄く光る照明が不思議でしかない。


「帝国も元はこの世界の人達。もしかしたら、メイ達が帝国を倒してくれるのかも?」


 わたしは淡い希望を持つ。


「でも、本当はわたしが(かたき)を討たなきゃダメなのに!」


 復讐に他の人を巻き込むのは、ダメな事だ。

 しかし、強大な帝国相手にわたし1人でどう戦えるか分からない。

 でも、メイ達に力を借りる事は出来るだろう。


「メイ、巻き込んでごめんね。でも、『ありがとう』」


 わたしは、メイに帝国語で感謝の言葉を言って、眼をつむる。

 久しぶりに安心して睡眠が取れる。

 わたしは、メイの心臓の音を聞きながら眠りに付いた。


 いつもよりも安心して眠れたのか、わたしは悪夢に悩ませられる事も無く、久しぶりに幸せな頃の父母に夢の中で会えた。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ラーラ、エリサベタ。ここから逃げよ! 余がここで敵を食い止める!」


「お父様!」


 今より少し幼い感じのするラーラちゃんが母親らしき人やお付きの方に引きずられて、壁にある隠し扉から逃げようとしている。


「おとーさまー!」


 ラーラちゃんが絶叫をした後、隠し扉は閉められた。


「ラーラ、必ず生き延びるのだ。そして帝国の魔の手から世界を守れ。出来れば、優しき者と結ばれて子を成せよ。其方(そなた)の子の顔が見れぬのが、唯一の心残りだな」


 ラーラちゃんのお父様らしき人、王様は、閉められた隠し扉を見て寂しそうな笑顔をした後、表情を引き締めて目の前に迫り来るレギーオの大群を睨む。


「アッピウス2世、ここにあり! 愚かな帝国よ。余がオマエ達の魔の手を此処で断ち切る!」


 ピカピカと輝く魔剣らしきものを構える王様。


「ほう、少しは歯ごたえがあるヤツが居たかよ。ここまでは、ザコばかりだったから、遊べなかったぞ。しかし、まだまだオレの糧には足らん。トロールの群れに何処まで耐えられるかな?」


 若い大柄な鎧姿の男が巨大な斧を両手に2本構えて、王様を見下す。


「笑止! かのようなザコは余の敵にあらず!」


 王様は奮闘して、迫ってくるトロール型レギーオをどんどん倒す。


 ……王様、ガンバレー!


 わたしは、自分が見ているのが多分ラーラちゃんの王国最後の日の戦いだという事に気が付いた。


 ……ラーラちゃん抱いて寝たから、伝わって夢に見たのかな? でも、ラーラちゃんは逃げたから、この現場を見ていないし、どうして?


 ラーラちゃんのお父様は、10匹以上のトロールを倒すけど、どんどん息が切れていって、動きが鈍くなる。


「はぁはぁ。もうおしまいか?」


 それでも強気に敵に吼える王様。


「じゃ、オレが相手するか。オレは帝国28部衆の1人、ガンダルヴァだ!」


 疲弊しきった王様に、卑怯にも飛びかかるガンダルヴァ。


「なんおぉ!」


 王様はガンダルヴァの両手に持つ斧を剣でかわし、受け止める。

 そして、ガンダルヴァに切りつける。


「なかなかやるねぇ。じゃあ、オレの必殺技見て死ねやぁ」


 ガンダルヴァは両手に持つ斧を合わせて、『力』を練った。

 そして一気に開放する。


「『パラシュラーマ(斧乱舞)』!」


 踏ん張ったガンダルヴァから雷をまとった斧が何個にも分裂して、流星雨の様に一気に王様を襲う。

 そのうち数合には耐えたものの、既に力を使い切っていた王様は、ガンダルヴァの必殺技によって致命傷を負った。


「ぐぅぅ。それだけの力を持ちながら、ナゼに外道に走るか!?」


「そんなのはオレが勝ちたいからさ。楽して勝てるに越したことねーだろ。さあ、死ね!」


 そして王様の首がガンダルヴァの斧によって飛んだ瞬間、映像は見えなくなった。


 ……まさか、この映像は王様の記憶なの? しっかし、ガンダルヴァってヤツ、卑怯で大嫌い! もし今度会ったら、ぎったんぎったんにして土下座させて、頭を上から踏んづけてやるんだもん!


 わたしは、夢の中でぷんすかした。


「娘を、ラーラを頼む。異世界の少女よ」


 そんな時、先ほどまで戦っていたラーラちゃんのお父様の声が聞こえた。


 ……やっぱりそうなんだ。王様がラーラちゃんを守りたくて残留念がラーラちゃんに()いていたんだね。


「だいじょーぶ! 王様、安心してください。ラーラちゃんは絶対わたしが守るの。そして、卑怯なヤツもぶっ飛ばすからねー!」


 わたしは、夢の中で胸をどーんと叩いた。

「かなりハードな内容なのじゃな。しかし、メイ殿のフィルターを通すと、ほんわかモードになるのは不思議な事じゃな。タイプとしてはナナ殿に似ておるな」


 チエちゃん、客観的なご意見ありがとうございます。

 メイちゃんには、ナナちゃんとリーヤちゃん、2人の要素を混ぜているところはありますね。

 ラーラちゃんは、リタちゃんに近いかな?

 作者として、まだまだキャラの引き出しが少ないので、どうしても既存で上手くキャラが生き出した子を参考にしちゃいます。


「そこは精進すれば良いのじゃ。ナナ殿やリタ殿、リーヤ殿同様、メイ殿は、とっても良い子なのじゃ! ワシも応援するのじゃ! ラーラ殿が背負った運命は過酷じゃが、メイ殿が横に居れば上手くいきそうなのじゃ!」


 ええ、私もそう思います。

 他にはアキラ君とのメイちゃんの恋愛も作品の軸にありますが、お察しのとおり彼にもいろいろあったりします。


「なるほど。そういう意味なのじゃな、あの発言は。上手く伏線を生かすのじゃぞ」


 はい、頑張りますです。

 では、明日の更新をお楽しみに。

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