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第30話 戦闘開始! ザコ敵なんて簡単にポイポイしちゃいたいの!

「おかーさん! 今どこ?」


「メイ! 連絡がずっと無いから心配していたのよ。わたくしは、あーちゃんと合流して現場へ移動中なの。ラーラちゃんも一緒ね」


 わたしは空中を飛翔しながら、お母さんに連絡を取った。


 ……ラーラちゃんも両親や仲間の敵討ちしたいもんね。


「わたしは変身して飛んでいるところ、あと2分くらいで到着しそう。あ、そうそう。わたし、カナエちゃんにバレちゃったの!」


「「えー!!」」


 お母さんとお兄ちゃんの驚く声がハモった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「そ、そういう事なのね。だからかしら、ちょっと前にカナエちゃんにあった時、『お母様もお気を付けて』って言われたの」


「メイ、お前油断しすぎだぞ。カナエちゃんなら秘密守るだろうけど、マスコミに俺達の正体バレたら大変なんだぞ」


「えー! おにーちゃん、誰にもバレなかったの? もしかしてバレるくらい仲良い友達いないの?」


 わたしは思わずお兄ちゃんに突っ込んでしまった。


 ……だって、カナエちゃん。わたしの事いっぱい、いーっぱい心配してくれたんだもん!


「そ、それは……。も、もーいいじゃないか! さっさと敵倒して、普通の暮らしに戻るぞ!」


「うん!!」


 ……おにーちゃんってば、優しいけどぶっきらぼうで、人付き合い下手だからねぇ。わたしが、ちゃんと教えてあげなきゃね。


 わたしはバイザーの中で笑いながら空中を飛翔した。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「マナブさん、どうやらのようよ」


 時は少し遡り、警報が出た直後の秋月宅。

 めずらしく平日に休みが取れたマナブが自宅に居た。


「そうか。じゃ、気をつけていくんだよ」


 マナブはタカコをそっと抱きしめ、軽くキスをした。


「ん……。もー貴方ったらぁ。ええ、絶対皆で元気に帰ってくるわ」


 タカコは眼を閉じてキスをした後、キリっとした表情で答える。


「まなぶぱぱ、たかこまま。わたし、いっしょ、たたかいたいの!」


 そんな時、ラーラは真剣な顔で2人に頼む。


「ラーラちゃん、本気なの? わたし達は戦う『力』も練習もしているけど。貴方は……」


「わたし、たたかう、ちから、ある!」


 ラーラは豊かな胸の谷間からペンダントを取り出した。


「これは!?」


「せんぞ、つたわる、たから。てき、こうげき、まもる」


 それは古びたプラチナ製に見えるペンダント。

 ただ、とても細かい模様が掘り込まれていて、何か魔法陣のようにも、電子回路の様にも見える。


「なるほど、そうだったのね」


「タカコさん、どういう事かな?」


「マナブさん、ラーラちゃんが無事に異世界から転移できた理由がそのペンダントなの。異世界から地球へ、地球から異世界へ転移を行う実験は地球でも行われていたのだけれども、『力』を基にした防御フィールド無しに生物を送ったら、何か他の物と融合して生きて送れなかったの。それが、敵が無人兵器、レギオーを主に使っている理由なの」


 無生物は問題が起きないものの、なぜか生物、それも高度な脳を持つ脊椎動物を異世界へ転送を行うと、生物同士、もしくは周囲の無生物と融合をしてしまい、生きて転送できなかった。


「それって、嘘って言われていた『フィラデルフィア事件』の惨状と同じじゃないの?」


「ええ、だから噂は本当だったのかも知れないわね。ラーラちゃん、本当に行くの? 危ないわよ?」


「わたし、おとうさん、おかあさん、みんな、かたき、うつ!」


 ラーラはいつものホヤっとした表情を引き締めてタカコを見た。


「うーん、しょうがないわねぇ。絶対、わたくし達から離れないでね」


「うん!!」


「2人とも気をつけてね」


 変身したタカコは、民族衣装に着替えたラーラを担いで飛翔した。

 それを見送ったマナブ、真剣な表情で情報端末から連絡をする。


「私だ。アレの準備は……。ああ、それなら良い。じゃあ、迎えを頼む!」


 端末を切ったマナブ、苦笑しながらタカコ達が飛んでいった方向を見た。


「さて、久しぶりに僕も頑張りますか。お父さんだけ後ろで応援は寂しいものね」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「東京都新宿区に大規模転移を確認、敵規模は大隊級。現在、関東地区担当戦士が急行、警察、自衛隊も対応中。名古屋市内には中隊規模を確認、さっそく戦闘を開始。大阪は道頓堀に中隊、現在市民の避難中。福岡も中隊規模、警察隊と接触との事です」


 テルミナス本部、東京にある中央合同庁舎第二館の地下深く、秘匿された地下5階に設置された指揮所にて命令が飛び交う。


「上の警察や、市ヶ谷(自衛隊)にも随時情報を流せ! これが国家存亡の危機だ。なんとしても国民を、国土を外敵から守るんだ!」


 神楽(かぐら)本部長が指揮官席で吼える。

 敵の規模は想定よりも多い。

 特に全国に散らばって攻撃をされたので、防衛体制の維持が難しいのだ。


「はりま市は、どうなっている!」


「はい、敵は小隊規模ですが、ヒトが居ます!」


「やはり、狙いは秋月一家か!」


 神楽は、唇を噛み締める。

 おそらく、はりま市以外の敵は陽動、倒されても痛くも無い無人兵器達。

 いやがらせにしては規模が大きいが、それだけ秋月一家に恨みがあるのだろう。

 と言って、無視も出来ない規模の侵攻だ。


「秋月に連絡は付くのか?」


「はい、情報リンク正常に稼働中です。あと1分程で接敵!」


「今これ以上応援を送る事は難しい。秋月、頼むからなんとかして凌いでくれ!」


 ほんわか穏健派のタカコ、徹底交戦派の神楽。

 お互いに思うところはあるものの、長く一緒に戦ってきた戦友でもある。

 そして、メイは神楽にとっても生まれた時から知っている姪っ子みたいな存在だ。


「『彼』とメイがキーなのか? ラーラも無事で居てくれ」


 異世界の存在とはいえ、幼く小さな少女を見てしまった神楽。

 最初ほどはラーラに対して不信感も無い。


「神よ。居るのなら、戦士の皆の武運、そして無事を頼む!」


 神楽は天を地下の部屋から仰ぎ、祈った。

「徐々に戦闘の雰囲気が近付くのじゃ。しかし、異世界帝国は大盤振る舞いなのじゃな。本命がメイ殿なのじゃが、日本国内に大隊規模を投入とはな。世界ではどうなのじゃ?」


 主要国の首都には小隊規模のレギーオを送る嫌がらせはしています。

 おかげで在日米軍も、うかつには動けない状況ですね。


「策士とは言えぬが、バカでもないのじゃな。さて、メイ殿はどう戦うのかなのじゃ? ガンダルヴァもどういう姿なのか、気になるのじゃ!」


 それは、明日をお楽しみに!


「では、皆の衆、明日を待つのじゃ!」

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