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第24話 発表! わたしは、みんなを守りたいから、悪いやつらをポイポイしちゃうの!

「お忙しい中、マスコミの皆さまお集まり頂き、ありがとうございます。本日の会見ですが、すでにニュースなどでご存じかと思いますが、世界を襲う侵略者についてです」


 金曜日午後7時、ゴールデンタイムに総理大臣がテレビ等を通じて発表を始めた。


「今までパニックを避けるため、更に小規模であったために公表はしておりませんでしたが、現在地球は異界からの侵略を受けています」


 まるでアニメや映画の世界の話をするように、首相は話を続ける。


「彼らは尖兵、我々はレギーオと呼んでいますが、異形なる兵士を地球に送りつけ、破壊活動や殺戮を行っています。アメリカでも侵略者に対して戦闘を行っています」


 首相の横のモニターには、アメリカの市街地で行われた戦闘映像が写され、M1戦車やA10攻撃機がレギーオに対して攻撃をしているシーンが見える。


「彼ら、レギーオは異界技術を要して作られたロボットと思われ、通常の兵器では対処が難しいです」


 映像は、日本での戦闘シーンに変わり、一部モザイクが掛かったレギーオがアップで写される。

 マスコミの一同に悲鳴に近い声が聞こえる。


「そこで、日本においてもレギーオに対抗すべく国家公安委員会管轄の秘密組織をつくり、今まで戦ってきました。その組織名は『対異界災害対策局』、通称テルミナスと言います」


 組織の存在はマスコミにリークはしていたものの、正式に政府から公表されたのは、これが始めてだ。


「今回、ネット上に拡散されました映像、兵庫県姫路市内にてレギーオ及びそれを操る敵との戦闘シーンです。レギーオは無人兵器ですが、今回世界で初めて敵、『異世界』の指揮官クラスが現れ、戦闘となりました」


 モニターには遠景ながら、ガンダルヴァとメイ達の戦う姿が写される。


「自衛隊及び警察の緊急展開部隊が対応をしましたが、全員負傷。更に現地を守備範囲にするテルミナス隊員も命に別状がなかったものの、撃破されました」


 マスコミは騒然となる。

 今までのレギーオですら対応が難しいのに、まさか対人戦、それもレギーオ以上の強敵との戦闘まで想定しなくてはならなくなったからだ。


「たまたま、姫路市内に居ました3人のテルミナス隊員が対応をし、苦戦はするも敵の撃破、異界へ追い返す事に成功しました」


 メイがガンダルヴァの必殺技を凌ぐシーンが遠景で写される。


「現在、テルミナスでは隊員の育成、対応兵器の開発、敵侵攻時の感知など、早急に対応中です。しかし、今までの様に秘密組織では資金、対応全てが遅れます。そこで、今回、国民の皆様に情報公開を行う事としました」


 首相はプロンプターを一瞥した後、正面のカメラに顔を向ける。


「今後、異世界からの大規模侵攻が考えられます。その際には、国民保護法に基づき、国民の皆様には早急な避難を御願い致します。警察、自衛隊は皆様の避難・防衛に力を尽くします。そしてテルミナスの力を用いて、必ず国民の皆様を、国土を守る事を宣言致します」


 首相は、力強く宣言をした。


「なお、今まで入手しました情報は国連等を通じ、世界各国に共有しております。この国難、いや世界難。新型感染症とも戦い勝利した我々に敗北は許されません。マスコミの皆様も、国民を煽らず、正しい情報をお伝えしますよう、宜しく御願い致します」


 首相は頭を下げ、会見は終わる。


「では、質問を受けます。質問がある方は挙手をした後、所属、お名前を御願いします」


 官房長官が質問をマスコミに促した。


「はい!」

「どうぞ」


「○日新聞の高津です。今回の情報公開、やや遅かったものの、最悪の事態になる前に発表頂き、ありがとうございます。お聞きしたい事は3点ほどあります」


 新聞社の記者が、首相を冷たい眼光で睨む。


「まず最初、敵兵のレギオーが通常兵器では倒せないというのは、映像に映っていました剣や槍で戦っているという事に関係しているのでしょうか?」


 時代遅れの兵器でレギーオを倒している。

 その事は、全マスコミが気になっている事だ。

 米軍は、戦車砲まで使って倒しているのを、こちらでは少女が槍で倒しているのだから。


「次は、敵の指揮官クラスと何か会話をしている様に見えましたが、敵はどのような言語を話しているのでしょうか?」


 異世界と戦う上においても、相手とコミュニケーションが取れるのと、取れないのでは大きく話しが違う。

 レギオー相手では話し合えないかもしれないが、ヒト型であれば対話、ひいては和平も考えられるからだ。


「最後に、テルミナスの隊員について。映像にあった隊員、特に1名はどう見ても未成年の少女に見えます。少年兵の問題もありますが、そこのところをどうお考えですか?」


 世界的にも少年兵問題は悲惨である。

 小型の自動小銃(アサルトライフル)が兵器として用いられて以降、子供でも扱えるから戦場に洗脳や家庭事情から戦うことを強いられた少年兵が投入される事案が多発している。


 世界でも少年兵問題は注目されており、国連総会にて2002年に「武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書」が発効されている。

 因みに男の子は兵士として使われるが、女の子は性的虐待に会う例が多い。

 日本でも自衛隊生徒は「兵士」としては扱われていない。


「質問、ありがとうございます。では、この事につきましては、テルミナスの神楽(かぐら)本部長から説明させて頂きます」


 本来、テルミナスでは局長が最高責任者であるが、政治家が就任しており、実務関連は本部長が行っている。


「神楽です。では、質問にお答えします。最初の質問ですが、最後の質問とも関係しますので、纏めてお答えします。2番目の質問ですが、今回敵が話していたのは日本語です。しかし、それがネイティブなのか、機械翻訳なのかは不明です。すくなくとも日本語でアプローチは可能と思われます」


 本部長の答えに、マスコミは騒然とする。

 敵は日本語を解して、ヒトでありながら攻めているからだ。


「海外では、指揮官クラスのヒトが現れた事例は発表されていませんので、英語などを話すかどうかは不明です。しかし、アメリカの例もありますので、レギーオによる侵略が行われているのは確実です」


 この答えに、会見を中継している海外マスコミも騒然となる。

 いつ何時、母国も異世界から侵略をうけるのか、もしくは受けているのか、分からないからだ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「うわぁ、結構細かいとこまで発表しているんだ」


 わたしは家族全員で首相会見を見ている。

 難しい言葉が分からないラーラちゃんには、お父さんが説明をしている。


「おそらくだけど、数週間以内に敵は大きく動くと思うの。ガンダルヴァを撃破されて黙っては居ないでしょうね」


「うん、俺も同意見。次が大変な戦いになるな。お、お、俺がメイを守るからな……」


 お母さんは、ふむふむという感じ。

 お兄ちゃんはわたしの方を一瞬見て、顔を赤くしながらも守ってくれると言ってくれた


 ……でもね、おにーちゃん。わたしも皆を守りたいんだよ。今時のオトメは守られてばかりじゃないもん!


「わたしだって、皆を守るもん! おかーさんもおにーちゃんも、おとーさんもラーラちゃんも! ぜーったい負けないもん!」


「めい、ありがと!」


 わたしの宣言にラーラちゃんはわたしの頭を撫でてくれる。


「こちらこそ、ありがとー!」


 わたしは、ラーラちゃんを抱っこして撫で返した。


 ……やっぱり、ラーラちゃんは柔らかくてイイ匂いなのぉ。あーん、白い百合の花咲いちゃうかもぉ。わたしは、おにーちゃんが好きなのにぃ!

「あけましておめでとうなのじゃ! 今年も作者殿共々宜しくなのじゃ!」


 あけましておめでとうございます。

 令和3年、西暦2021年も宜しく御願い致します。


「今回は、首相会見と硬い内容なのじゃな。まあ、大規模侵攻を考えれば、国民保護法を活用するのは当たり前なのじゃ!」


 ええ、せっかく便利な法があるのですから、活用しなきゃですね。


「しかし、痛いとこを突っ込まれたのじゃ。少年兵問題は、やっかいなのじゃ。ボコ・ハラム等の過激派どもは、学校を襲い女子生徒を拉致するし、無理やり麻薬等を用いて兵士にしたてあげておる。自爆兵にするなぞ、卑劣極まりないのじゃ。ワシ、倒しに行きたいのじゃ!」


 ホント、困った問題ですよね。

 メイちゃんの少年兵問題については、明日の更新でお話しますね。


「では、楽しみにしておるのじゃ。ブックマークや評価を待っておるのじゃ!」

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