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第18話 強襲! 朝霧師匠を襲う敵、卑怯なやつらはポイポイしちゃうの!

「ほれ、これはどうだい!」


「きゃ!」


 わたしは毎週、朝霧道場に通って修行をしている。


「ふ!」


「甘いよ。君たちはこんなものかな?」


 わたしとお兄ちゃんは2人がかりで朝霧師匠と戦っている。

 でも、逆にわたしたちの方が押されている。


「めい、あきら、がんばれ!」


「もっと視界を広げるの!」


 ラーラちゃんやお母さんからの応援が飛ぶけど、わたし達と師匠では実力差がありすぎて一向に勝負にならない。


「足元が、がら空きだよ!」


 わたしが踏み込んだところに、師匠の脚払いが飛ぶ。


「きゃい!」

「う!」


 わたしは転びそうになり、お兄ちゃんと衝突する。


「はい、おしまい!」


 ポカポカと、わたし達の頭が軽くスポーツチャンバラの小太刀で叩かれてしまう。


「くっそー、今回も一撃も入れられなかった」


「おにーちゃんは、まだいいの! わたしなんて、触れるどころか、視線でセクハラ攻撃されちゃうんだもん」


 わたしは思わず胸を両腕で隠しちゃう。


 ……エロししょーのばかぁ。


 座り込んで文句を言い合う、わたし達。

 2人とも全くいいところなし。


「おいおい。ボクは一切メイちゃんには触れていないよ。だよね、タカコさん」


「まあ、確かに触ってはいませんが、兄弟子の視線は少し考え物ですわ。女子中学生相手に使っていいものなのかしらぁ」


「た、タカコさん。ボクは別に見てただけですよ。そう怖い顔しないでくださいな」


「いいえ、許しませんわ。ということで、朝霧さん一手御願いします」


 お母さんは、わたしに対する師匠の視線セクハラを理由に師匠に勝負を挑む。


 ……あれ、怒っていないよね。眼が笑っているし。どーやら、自分も暴れたいんだ。


「たかこまま、がんばれ!」


「では!」


 2人の激しい戦いが始まる。

 

「はい!」

「ほれ!」


 お母さんは太刀タイプ、朝霧師匠は小太刀。

 お互いの技をかわし、捌き、くるくると動き回る。


「これ、しばらく勝負付かないよね」

「ああ、そうだな」

「たかこまま、いけー!」


 わたし達は暫く呆れながら、2人の戦いを見守った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「さあ、帰るわよー」


「はーい」


 夕方になったので、わたし達は帰り仕度をする。


「はぁ、いい汗かいたわぁ。最近、敵の動きが静かで、出ても雑魚ばかりで張り合いないのぉ」


「後半は、おかーさんがししょーを独占していなかったぁ?」


「ごめんねぇ」


 まあ、わたしとお兄ちゃんでは師匠の相手にはならないし、良い見取り稽古にもなったので、わたし自身損はしていない。


「でも、参考になる動きはあったの。ししょー、また教えてくださいね」


「うん。もっと強くなったら奥義教えてあげるよ。『飛燕之長刀(ひえんのなぎなた)』とか、『飛龍之槍(ひりゅうのやり)』とか」


 朝霧師匠から、なにやら心をくすぐる技の名前が教えられた。


「なに、その中二病な技の名前! ししょー、早くわたしに教えてぇ!」


「この名前は昔からだから、中二的に聞こえてもしょうがないよ。それにどちらも奥義だから、正式にウチに入門して段位とってからだね」


 師匠は苦笑しながら、わたし達を見送ってくれた。


「タカコさん、どうやらですよ」

「はい、気をつけますわ。兄弟子もお気をつけてくださいませ」


 お母さんと師匠は周囲を一瞥(いちべつ)後、意味深な会話をする。


「2人とも何意味ありげな事、別れ際に言うのぉ? それ、もしかしてフラグ?」


「フラグにならなきゃいいわね。さあ、早く帰らないとマナブさんがお腹空かして待っているわ」


 なんかお母さんに適当に誤魔化されて、わたし達は「はりま市」へと帰った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「さて、そこで覗いている方。早く出て来なさい。せっかく人が居ない深夜の公園にまで来てやっているんです。恥ずかしがらずに出て来きたらどうですか?」


 朝霧は、誰も居ない午前二時の公園で大声を出した。


「出てこないのなら、その目を潰します!」


 ぴゅんと朝霧は手に持った杖を振る。

 すると、ぱきゃという音で何かが弾けた。


「ほう、ステルスの監視を一撃たぁ、やるじゃねーか。手前(てめえ)は、あのババアやメスガキ共の師匠って聞いてるぜ。手前を()れば、メスガキ共は酷く悲しむだろうなぁ」


 木陰から、両手に斧を持つ鎧姿の大男が現れる。


「へぇ。オマエさんは、ガンダルヴァっていうヤツですか。タカコ穣ちゃんやメイちゃんに、こっぴどくやられたって聞いてるよ」


 朝霧は杖をまるで刀の様に持ち、居合いの構えをする。


「ジ、ジジイ!! 軽く殺してやろうと思ってたが、みじん切りにして身元不明死体にしてやらあ! いけよ、ゴブリン共!」


 ガンダルヴァの背後から、短剣を持った10体のゴブリン型レギーオが飛び出した。


 しかし朝霧は、何も無かった様にステップバックした。


「ぎ!」


 ひゅんと音がした様にガンダルヴァには聞こえたが、ゴブリン3体が妙な声を出した後、朝霧の直前で止まる。


「おい、ゴブリン。どうした!?」


 他のゴブリンも、何かを感じたのか動きを止めた。


「『雲切之剣(くもきりのけん)』、なんてね」


 朝霧がボソッと呟く。

 次の瞬間、朝霧の前で止まったゴブリン3体の胴体が横一文字に切断され、倒れた。


「な、何があった!? 俺達はフィールドで守られているから、この世界の武器じゃ傷つけられないはず? どうして?」


「そんなの、そういう武器がこっちにはあるって事ですよ!」


 そう言った朝霧は、初老とも思えない踏み込みで一気にゴブリン部隊の中心に踏み込む。


「『八神之太刀(はっかのたち)』、こりゃメイちゃんの事言えないね。ボクも中二病だよ」


 ぼそりと朝霧が呟くと、残りのゴブリンが全て首を飛ばされて倒れた。


「てめぇぇぇ!」


 配下を一瞬で倒されたガンダルヴァは、怒声を上げて朝霧に斧を振り上げた。

「ガンダルヴァのアホは、メイ殿の身内を殺しに来おったかや。卑怯者がやりそうな事なのじゃ。しかし、逆に待ち伏せされた形になっておるのが面白いのじゃ」


 作中でカルラが監視型レギーオをメイちゃんの周囲に送っているのは述べられていますが、よりにもよって一番強い人に喧嘩売った形になってますね。


「おおかた、自分達は無敵だと思い込んでおったのじゃろ。じゃが、ちゃんと準備万端しておった訳じゃな」


 襲われるの分かっていて、武器など準備しないバカはいません、いやガンダルヴァはバカかな?


「そういえば、朝霧殿が呟くのは技の名前かや?」


 はい、神道流の奥義名です。まあ、私のような部外者には詳細は不明ですけど。


「じゃから、描写抜きでズンバラリンなのかや?」


 ま、まあ。そういう訳です。


「それで良いのじゃ。設定やら書きすぎは、作者殿の悪癖じゃからな」


 すいませんねぇ。


「では、明日正午の更新を楽しみにするのじゃ!」

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