過去5
13
この川は子供たちが遊んでいた周辺三十メートル程が浅くなっている。一番深いところで一メートル程だ。
そこ以外は深く、クラスの男子の中でも比較的身長のある俺でさえ、足が着かないほどだ。山がすぐ隣という事もあり流れの速さだけで言えば俺が人生で見た川の中ではトップクラスの速さだ。それ故、足が着いたところで、その流れの速さによって押し流されてしまう。
そんな川に泳ぎが苦手と言っていた瑠美が、そのうえ、セーラー服を着たまま飛び込んだのだろう。周囲に瑠美が着ていたセーラー服が見当たらない。
そんな状態の瑠美がこんな川に飛び込んで、瑠美が無事ではないという事は想像に難くない。
まだ、咳き込んでいる花ちゃんをオロオロとしている将太含め、三人に任して、俺は近くの民家に走った。自分で警察に電話してもよかったが今の自分にまともに説明する自信が無いので、俺は大人を頼ることにした。幸いにもこの小さな村は殆ど全員が知り合いだった。
インターホンを押すのももどかしく、扉をバンバンと叩く。
慌てて出てきた身長の低い、ふくよかな女性、佐藤さんは殆どパニック状態の俺の話を直ぐに理解し、慌てて二駅先の町にある警察署に電話をしてくれた。
警察への連絡は佐藤さんに任せ、俺は瑠美が流されていったであろう下流に向かって川沿いに走った。瑠美が見つかるかもしれないという、淡い希望を胸に。
川が通行が困難な雑木林の中を流れていっているところまで、俺は何回も川を往復した。
読んでいただきありがとうございます。




